第422回 冬期講習の学習 5
「第422回 冬期講習の学習 5」
前回までは、5年生の冬期講習の学習内容について、首都圏の大手進学塾であるサピックスの冬期講習教材を利用しながら見てきました。
そこで、今回は、関西エリアの大手進学塾の浜学園で5年生が学ぶ冬期講習について、ご紹介していこうと思います。
浜学園の5年生の冬期講習会は、「浜学園マスターコースで夏以降に取り扱った内容の復習とその発展的展開」(浜学園ホームページより)を目指して、「図形・速さなど入試で必ずといっていいほど出題され、演習量がその得点力を大きく左右する最重要単元」(同)について、次のように全3回6講義で実施されます。
また、これらの講義で取り扱われる問題は、能力別で編成されたクラスに応じてその範囲が決められています。
では、どのような問題が取り扱われているのかを、浜学園の冬期講習教材(過年度版)から見ていきます。
(No.1 講義Ⅰ より)
A-8 次のxにあてはまる数を求めなさい。
【解答例】
(1)
問題図中にある2組の相似を利用します。
上の図より、①=3cmなので、⑤=15cm → x=15 とわかります。
(2)
こちらも問題図中にある2組の相似を利用します。
上の図より、①=3cmなので、④=12cm → x=12 とわかります。
(右側にある28cmの三角形を利用してもOKです。)
A問題では、上記のように2組の相似を用いる問題の他、ピラミッド型相似、チョウチョ型相似、直角三角形の相似などの基本についても演習問題が用意されています。
では、続けてB問題を見てみましょう。
(No.1 講義Ⅰ より)
B-3 下の図のように直角三角形ABCの中に正方形DBEFを作るとき、この正方形の1辺の長さは何cmですか。
【解答例】
問題図の中には、相似な三角形が3つ(大・中・小)あります。
このうちの2つ(大と中または大と小)を選んで利用します。
上の図より、③=60cmなので、①=20cm とわかります。
B問題には、上記の他、ダブルチョウチョ利用の問題、折り返しの問題、影の長さの問題など、中級レベルの演習問題があります。
さらに、C問題を見ていきます。
(No.1 講義Ⅰ より)
C-4 下の(図1)のように正三角形ABCの内部を点Pが辺ABを1:3に分ける点Dから矢印のように進み、(図2)のように辺ではね返りながら動きます。まずはじめに辺BC上の点Eではね返り、次に辺CAではね返り、さらに辺ABではね返ってちょうど頂点Cにくるとき、CE:EBの比を最も簡単な整数の比で表しなさい。
【解答例】
反射に関する問題です。
反射の問題を解くときは、反射する辺を対称の軸とした線対称な図形を次々と作図していきます。
上の最後の図について、AD:DB=1:3 なので、AD=②、DB=⑥ とします。
すると、ピラミッド型相似である三角形CDBと三角形CFAの相似比が2:1であることから、
FA=⑥÷2=③
CF=⑧-③=⑤
です。
CF:BD=⑤:⑥=5:6
ですから、三角形CEFと三角形BEDのチョウチョ型相似を利用すると、
CE:EB=5:6
が求められます。
この問題のように、C問題には入試レベルの問題が多く含まれています。
次は講義Ⅱの問題を見ていきます。
講義ⅡのNo.1は速さが学習テーマとなっています。
(No.1 講義Ⅱ より)
A-7 周囲720mの池のまわりを、Aさんは分速50mで、Bさんは分速70mで同時に同じところから出発して何周もまわり続けます。次の問いに答えなさい。
(1) AさんとBさんが逆向きにまわったものとすると、2人がはじめて出会うのは出発してから何分後ですか。
(2) AさんとBさんが同じ向きにまわったものとすると、BさんがAさんにはじめて追いつくのは出発してから何分後ですか。
【解答例】
旅人算の池タイプの基本問題です。
(1)
2人の道のりの和が1周になると2人は出会いますから、
720m÷(50m/分+70m/分)=6分後
(2)
2人の道のりの差が1周になるとBさんがAさんに追いつきますから、
720m÷(70m/分-50m/分)=36分後
A問題では、この問題のように、速さの3公式と旅人算の基本、グラフの読み取りなどについて復習をします。
では、続けてB問題を見てみましょう。
(No.1 講義Ⅱ より)
B-4 周囲720mの池のまわりを、AさんとBさんが同時に同じところから出発して何周もまわり続けます。次の問いに答えなさい。
(1) AさんとBさんが逆向きにまわったとすると4分ごとに出会い、同じ向きにまわったとすると36分ごとにAさんがBさんに追いつきます。Aさん、Bさんの速さはそれぞれ分速何mですか。
(2) (1)のとき、逆向きにまわったとすると2人の道のりが2回目に270mになるのは出発してから何分後ですか。
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【解答例】
(1)
A問題を少し発展させた内容です。
720m÷4分=180m/分 … AさんとBさんの速さの和
720m÷36分=20m/分 … AさんとBさんの速さの差
Aさんの方がBさんよりも速いので、
(180m/分+20m/分) ÷2=100m分 … Aさんの速さ
100m/分-20m/分=80m分 … Bさんの速さ
(2)
条件整理をしておくとミスを防げそうです。
下の図のように、1回目は出発してから2人が270mはなれたときで、2回目は2人が出会う前です。
(720m-270m)÷(100m/分+80m/分)=2.5分後
B問題は、この問題のように、線分図などに整理して解く問題を取り扱っています。
最後はC問題です。
(No.1 講義Ⅱ より)
C-5 右の図のようなAからGまでの道があり、その距離は30kmです。道ABとFGは平地で、他は坂道です。平地を時速4km、坂道は上りを時速2km、下りを時速6kmで歩くと、AからGへ行くのに7時間30分かかり、反対にGからAへ行くのに11時間30分かかります。このとき、道ABとFGの距離の合計は何kmですか。
【解答例】
「合計」がヒントになっています。
このヒントから、問題図を次のように書き換えることができます。
このように問題図を書き換えると、問題の条件を次のようにまとめることができます。
上の図で、往復の上りの距離の和と往復の下りの距離の和が等しいことから「上りと下りの速さの平均」を利用すると、この問題は簡単に解くことができます。
往復の上りの距離の和と往復の下りの距離の和を、それぞれ速さの最小公倍数である6kmと仮定(その他の距離に仮定してもOKです)すると、
6km÷2km/時=3時間
6km÷6km/時=1時間
ですから、上りと下りの速さの平均は
6km×2÷(3時間+1時間)=3km/時
とわかります。
つまり、往復60kmの道のりを、平地は4km時で、坂道は平均3km/時で進んだので、
7.5時間+11.5時間=19時間
かかったということと同じです。
あとはつるかめ算を利用すると、
(60km-3km/時×19時間)÷(4km/時-3km/時)=3時間
が、平地にかかった時間とわかりますので、平地ABとFGの距離の合計は往復で
4km/時×3時間=12km
片道では
12km÷2=6km
と求められます。
(この他に比を利用して消去算で解く方法もあります。)
このように、C問題では講義Ⅰと同様に、入試レベルの問題も取り扱われています。
ここまで浜学園の冬期講習教材を見てきましたが、Hクラスの場合は浜学園マスターコース小5テーマ教材の内容を、Sクラスの場合は浜学園マスターコース小5演習教材B問題の内容を、Vクラスの場合は浜学園マスターコース小5演習教材C問題の内容を、講習会で学ぶ単元について正確に解けるような復習ができていると、講習会で大きな成果を得ることができそうだとわかります。
従ってこれまでに見てきたサピックスの場合と同じように、浜学園の冬期講習を受講する場合も、復習などの準備を家庭学習で事前にできればいいなと思います。