第419回 冬期講習の学習 2
「第419回 冬期講習の学習 2」
5年生が冬期講習で学ぶ内容について見てきています。
前回は、首都圏の大手進学塾であるサピックスの冬期講習の第1回で学ぶ「割合に関する問題」をご紹介しました。
そこで、今回はサピックスの冬期講習の第2回で取り扱われる「平面図形」について、冬期講習教材「ウィンターサポート」(過年度版)から見ていきます。
5年生の場合、「平面図形」は、2月に三角形や四角形などの直線図形と円やおうぎ形の面積を求める公式、等積移動、等高図形の面積などを、春期講習では三角形の転がり移動を、夏期講習で円やおうぎ形の転がり移動と多角形の角の大きさ、線対称と点対称を、そして冬期講習の直前には曲線図形の復習、相似など辺の比と面積の関係について学ぶカリキュラムとなっていますが、6年生の学習を目前に控えた冬期講習ではどのような問題に取り組むのでしょうか。
さっそく、実際の問題を見ていきましょう。
(A問題より)
縮尺1/15000の地図上で8cm2に表された土地の実際の面積は( )haです。
【解答例】
「縮尺1/15000」を図にあらわすと次のような意味になります。
上の図から、縮尺1/15000の地図上に8cm2に表された土地の実際の面積は、
2.25ha×8=18ha
であることがわかります。
A問題の内容は冬期講習の直前に学ぶ平面図形(2)の復習です。
では、続けてB問題です。
(B問題より)
右図の四角形EFGHは、1辺が2cmの正方形ABCDを拡大したものです。
(1) EFの長さは何cmですか。
(2) 台形ADHEの面積は何cm2ですか。
【解答例】
(1)
わかりやすくするために、(1)に必要な部分だけに着目します。
上の図で、三角形OABと三角形OEFは相似です。
上の図から、EF=6cm とわかります。
(2)
(1)でわかったことを利用します。
上の図から、台形ADHEの面積は
(6cm+2cm)×4cm÷2=16cm2
とわかります。
他の問題も含め、B問題の内容も、直前に学ぶ平面図形(2)の復習となっています。
では、C問題はどうでしょうか。
(C問題より)
右図の四角形ABCDは台形で、AD=15cm、BC=35cm、Oは2本の対角線ACとDBの交点です。4つの三角形ア、イ、ウ、エの面積の比を、最も簡単な整数の比で求めなさい。
【解答例】
三角形アと三角形ウは相似で、相似比は15cm:35cm=3:7ですから、面積比は3×3:7×7=9:49です。
また、三角形アと三角形ウの相似からDO:OBも3:7となり、三角形アと三角形イの面積比の3:7がわかります。
三角形アと三角形エの面積比も同様に3:7ですから、4つの三角形の面積比は次のようになります。
問題CもA、Bと同じように、冬期講習の直前に学ぶ内容の復習でした。
さらに、問題を見ていきます。
次は、問題Dです。
(問題Dより)
右図は、縦24cm、横60cmの長方形です。斜線部分の面積は何cm2ですか。
【解答例】
求める図形が五角形ですから、「(面積公式のない図形は)まわりから引く」という方針がよさそうです。
はじめに三角形アの面積を求めます。
上の図より、①=20cmとわかりますから、三角形アの面積は
12cm×20cm÷2=120cm2
です。
次に三角形イの面積を求めます。
上の図より、①=8cmとわかりますから、三角形イの面積は
30cm×8cm÷2=120cm2
です。
従って、
斜線部分の面積=60cm×24cm÷2-(120cm2+120cm2)=480cm2
です。
(別解)
三角形の高さを求めずに解く方法もあります。
この問題は、問題図中にある2組の相似を見つけて解く少し発展的な内容となっています。
では、最後のE問題を見ておきましょう。
(E問題より)
右図で三角形ABF、三角形FBD、三角形FDE、三角形EDCの面積が等しいとき、CEの長さを求めなさい。
【解答例】
問題の作図手順がこの問題を解くヒントになっています。
上の図の①から、
FC=12cm×3/4=9cm
とわかり、さらに③から、
CE=9cm×1/2
=4.5cm
とわかります。
この問題は、問題図中にある複数の等高三角形を利用して解く、D問題と同じく、発展的な内容となっています。
この他に、E問題では「相似完成」という新しい内容についても取り扱われています。
これらD問題やE問題のように、相似や等高図形の発展学習となる問題では、問題図の中に複数のヒントが隠されていますので、一つひとつのヒントが見やすくなるように、ヒントごとに図をかいていくことが問題を正解させるためのポイントとなります。
さて、今回ご紹介したサピックス5年生の冬期講習 第2回は、冬期講習の直前に学ぶ平面図形の復習とその応用問題ですが、これらの応用問題を解くためには、相似や等高図形の計算が正確にできることが必要となります。
冬期講習前に相似や等高図形を学んだときには、このことを見越し、相似や等高図形の計算が正確にできるような家庭学習ができればいいなと思います。