第415回 「平面図形」の勉強方法 3
「第415回 『平面図形』の勉強方法 3」
5年生の2学期に学ぶ「平面図形」について、首都圏の大手進学塾であるサピックスの平常教材「Daily Support」(過年度版)を用いて、どのようなことを学ぶのかを見てきています。
前回に見た「辺の比と面積の比」のA~C問題は、「拡大図と縮図」や「縮尺」といった相似の導入と、「ピラミッド型相似」や「砂時計型相似」のような相似の基本でした。
今回は、「辺の比と面積の比」の後半となるD、E問題をご紹介していきます。
(D問題より)
右図で、四角形ABCDは台形です。対角線の交点をOとすると、三角形AODの面積が50cm2になります。このとき、次の問いに答えなさい。
(1) AO:OCを求めなさい。
(2) 台形ABCDの面積を求めなさい。
【解答例】
(1)
求めるAO、OCは、問題図の中にある「砂時計型相似」の三角形の辺です。
AO:OC=AD:CB=10cm:14cm=5:7
(2)
(解き方1)
三角形ODAと三角形OBCが、「砂時計型相似」であることを利用します。
(解き方2)
三角形ODAと三角形OCDが、高さの同じ三角形(等高三角形)であることを利用します。
高さの等しい三角形や四角形の考え方については、5年生の第1回の授業で、「Daily Support」のD、E問題において、面積が2等分されたときの辺の長さを求める問題を通して学んでいます。
このとき、高さの等しい三角形と台形の面積についても、「面積比=(上底+下底)の長さの比」であることにふれています。
(解き方3)
三角形ODAと三角形OBCが、「砂時計型相似」であることと、三角形ODAと三角形OCDが、高さの同じ三角形(等高三角形)あることを1つにまとめると、次のように計算することができます。
このように、D問題では「四角形と相似の関係にある三角形」という、塾のテストや中学入試において重要な問題について学びます。
なお、「Daily Support」の場合、「等高図形」については、「相似」の次の回で改めて詳しく学習します。
※塾によっては「台形クロス」、「台形ペケポン」と呼ばれています。
では、E問題ではどのような問題が取り扱われるのでしょうか。
(E問題より)
辺の長さが5cm、12cm、13cmの直角三角形に、右図のように正方形を入れました。正方形の1辺の長さを求めなさい。
【解答例】
E問題では、「直角三角形の相似」を学びます。
直角三角形の相似のポイントは、3つの角に「○、×、直角マーク」をかき入れて、どの辺とどの辺が対応しているかをはっきりとさせることです。
このことを利用して問題を解いていきましょう。
上の図から、図中の3つの直角三角形の辺に、次のような関係があることがわかります。
このことに、もうひとつの問題の条件「正方形を入れました」をあわせると、下のようにして正方形の1辺の長さを求めることができます。
ここまで、首都圏の大手進学塾のサピックスで2学期に学ぶ「平面図形」の中から、「図形の移動」、「相似」について、平常教材「Daily Support」を用いて見てきました。
今回見た「辺の比と面積の比」のD、E問題は、「四角形と相似の関係にある三角形」、「直角三角形の相似」という、塾のテストや中学入試において重要な問題の学習であることがわかりました。
次回は2学期の最後に学ぶ、「等高図形の面積比」、さらに「影の問題」など「辺の比と面積の比の応用問題」について考えてみようと思います。