第404回 夏期講習のあとの実力テスト対策 1
「第404回 夏期講習のあとの実力テスト対策1」
毎日、大変な夏期講習でしたが、特別講座やテストがない場合、今日あるいは明日からはお盆休みです。
このお盆休みを利用すれば、ここまで積み残しとなっていた夏期講習の宿題やテストの直しに取り組めそうです。
しかし、夏期講習が終わった後、サピックスでは6年生を対象に8月28日に「8月度 マンスリー実力テスト」が、また9月1、2日には4~6年生対象の「四谷大塚 第4回 公開組分けテスト」、「日能研 合格判定テスト(4・5年生は実力判定テスト)」が予定されていますので、これらのテストに向けた準備の時間もこのお盆休みの家庭学習の中に組み込めるとベストです。
というのも、6年生の場合はテストの出題範囲が無制限となっているため、夏期講習で取り扱った内容以上の出題もあり得るからです。
次の表は、ある年度に実施されたサピックスの「8月度 マンスリー実力テスト」の出題分野と夏期講習の学習内容との関係です。
この年度に実施された「8月度 マンスリー実力テスト」は小問が全部で25ですが、そのうち夏期講習で取り扱った問題の類題は4つ、夏期講習で学んだ内容をもとにした発展的な問題も4つで、それぞれ出題数の16%を占めています。
ですから、出題分野としては夏期講習のカリキュラムにあるものの取り扱った問題と類似点が少ない問題、夏期講習以前に学んだ内容からの出題や実力問題が、計算問題を除く残りの56%となり、名前の通り「実力テスト」となっています。
具体的に問題を見てみましょう。
まずは、夏期講習の類似問題の一例です。
マンスリー実力テスト
大問3-(1)
(図1)のように、正三角形の内側に正五角形がぴったりおさまっています。角アの大きさが15度のとき、角イの大きさは( )度です。
夏期講習サマーアプローチ
問題1
長方形の紙に、右の図のように正五角形を書きました。角アの大きさが角イの大きさの4倍のとき、角アの大きさは何度ですか。
【解答例】
マンスリー実力テスト
大問3-(1)
正五角形の1つの内角の大きさは108度ですから、ウ=180°-(15°+108°)=57° 三角形の外角のきまりを利用すると、イ+108°=57°+60° → イ=9°
夏期講習サマーアプローチ
問題1
正五角形の1つの内角の大きさは108度ですから、④+ウ=108° ①+ウ=72° → ③=36°なので ④=48°
どちらも正五角形の内角を利用する問題ですが、そこはやはり「実力テスト」、使う解法テクニックは別物です。
では、夏期講習で学んだ内容をもとにした発展的な問題は、どのようなものでしょうか。
マンスリー実力テスト
大問5
下の図のように,辺の長さが30cm・40cm・50cmの合同な直角三角形アとイがある直線に接しています。直角三角形アは30cmの辺が,直角三角形イは40cmの辺が直線に接しています。この状態から,直角三角形イが毎秒5cmの速さで直線と平行に矢印の方向へ移動します。次の問いに答えなさい。
(1) 省略
(2) 直角三角形アとイが重なった部分の形が五角形になっていることは,移動し始めてから何秒間ありますか。
夏期講習サマーアプローチ
問題1
下の図のようにある直線と1辺が重なっている平行四辺形と正方形があり、12cm離れています。この平行四辺形の底辺は15cm、高さは9cmで、正方形の1辺の長さも9cmです。この正方形を、直線にそって毎秒3cmの速さで矢印の方向に移動します。次の問いに答えなさい。
(1) 正方形と平行四辺形が重なった部分の図形は、何角形になりますか。できるものをすべて答えなさい。
(2)・(3) 省略
【解答例】
マンスリー実力テスト
大問5-(2)
下の図で直角三角形イがAの位置からBの位置まで動く間、重なりが五角形になります。
動く速さは5cm/秒ですから、重なっている時間は4.5秒間です。
夏期講習サマーアプローチ
問題1
正方形を少しずつ動かしていくと次の図のようになります。
答え 三角形、四角形、五角形、六角形
このように実際の問題を見てきますと、「8月度 マンスリー実力テスト」の問題は夏期講習で取り扱った問題と完全に同じではありませんが、考え方や作図などの作業は夏期講習で学んだ内容と重なるものが少なくありません。
上記の「角の大きさ」の問題でいうと、「8月度 マンスリー実力テスト」で用いた解法テクニックは、「導入と基本」にあったものと「正多角形の角」を組み合わせたものですし、「図形の移動」も「サマーアプローチ」でおこなった作図の一部に相似の計算が組み合わさった問題でした。
「8月度 マンスリー実力テスト」の最終問題である大問7の集合算も易しくはありませんが、これも夏期講習で取り扱った「条件の整理」が使われています。
ですから、夏期講習においては、そ
れぞれの問題で使われている解法テクニックを十分に理解して使えること、問題に応じた条件の整理方法や作図を自分の力でかけるようにしておくことで、「8月度 マンスリー実力テスト」のような実力テストで高得点を上げる異も十分に可能になるといえます。
夏期講習期間中は家庭学習の時間が慌ただしくなりがちですが、答えに○、×をつけるだけでなく、書かれている解説をよく読んで、自分の解き方との比較をしておき、お盆休みなどを利用して、改善すべき点を直し、不足している部分は補うような取り組みができるといいですね。