第403回 夏期講習で身につけておきたいこと 開成中対策 2
「第403回 夏期講習で身につけておきたいこと 開成中対策 2」
夏期講習も間もなく折り返しを迎えます。
塾によっては、週に1~2回しか算数の授業がない平常授業と違い、夏期講習では算数が1週間で4~5回も行われますから、宿題や復習、確認テストの準備も大変だと思います。
しかもそのように厳しいスケジュールの中で、夏期講習のあとに実施されるテストのことも考えていかなければなりません。
そのテストに向けて、前回は開成中のこれまでの入試問題の中から「速さ」について夏期講習の間に身につけておきたいことについて考えましたが、今回は「立体図形」を題材に、どのような勉強をしておくことが望ましいかを見ていこうと思います。
開成中で、直近5年間でだされた「立体図形」の問題は、次のようなものでした。
2018年度(大問形式の出題はありませんでした)
大問1-(5)
右の図はある立体の展開図です。B、C、Dは1辺が6cmの正方形、A、E、Fは直角二等辺三角形、Gは正三角形です。この立体の体積を求めなさい。
2017年度
大問4
図1のように、底面がAB=4cm、BC=3cm、CA=5cm、角ABCの大きさが90°の三角形であり,側面がすべて長方形の透明な三角柱のガラスでできた容器があります。この容器には水を入れることができ、どのような向きに置いても水はもれないものとします。また、容器のガラスの厚さは考えません。まず、この容器に少し水を入れたところ、面DEFを下にして水平な床に置いたときと、図2のように面BCFEを下にして水平な床に置いたときとで、容器の下の面から水面までの高さが等しくなりました。次に、この容器に、これまでに入っていた量の5/4倍の水をさらに追加したところ、面DEFを下にして水平な床に置いたときと、図3のように面ABEDを下にして水平な床に置いたときとで、容器の下の面から水面までの高さが等しくなりました。ただし、下の図において斜線の部分は入っている水を表しています。次の問いに答えなさい。
(1) 図3のウの長さは、図2のアの長さの何倍ですか。
(2) 図3のエの長さは、図2のイの長さより何cm長いですか、または短いですか。
(3) 図2のアの長さは何cmですか。
(4) BEの長さは何cmですか。
(5) 図3の状態のあと、この容器に水をさらに追加したところ、面DEFを下にして水平な床に置いたときと、面ACFDを下にして水平な床に置いたときとで、容器の下の面から水面までの高さが等しくなりました。このとき、等しい水面の高さは何cmですか。
2016年度(立体図形の出題がありませんでした)
2015年度
大問4
一辺の長さが6cmの立方体があり、その上の面と下の面はどちらも9つの合同な正方形に分かれています。上の面のそれぞれの正方形の頂点には図のように、あ、い、う、…、た と名前がついていて、下の面のそれぞれの正方形の頂点にも図のように、ア、イ、ウ、…、タ と名前がついています。また、点あの真下には点ア、点いの真下には点イ、点うの真下には点ウ、…、点たの真下には点タがあります。これらの頂点から8つの点あ、い、か、お、サ、シ、タ、ソを選び、図のように結んで立体Aをつくりました。次の問いに答えなさい。
(1) 立体Aの体積を求めなさい。平行四辺形の面積が(底辺)×(高さ)で求められるように、斜めに傾いた角柱の体積は(底面積)×(高さ)で求められます。
(2) 立体Aを、4点い、せ、セ、イを通る平面で切断しました。その切断面の図形を解答用紙にかき、切断面の面積を求めなさい。
(3) 8つの点い、せ、そ、う、イ、セ、ソ、ウを結び、直方体をつくりました。この直方体と立体Aの共通部分の体積を求めなさい。
(4) 8つの点う、え、く、き、ケ、コ、セ、スを立体Aと同じように結び、立体Bを作りました。立体Aと立体Bの共通部分の体積を求めなさい。
2014年度
大問2
図1のような立体を「三角すい」といい、その体積は、(底面の三角形の面積)×(高さ)÷3で求めることができます。図2のような底面が正方形の直方体があります。辺AEを3等分する点をAに近い方から順にP、Qとします。図3は、この立体を真上から見た図と、真横から見た図です。この立体から、まず三角すいPEFHを切り落とし、さらに三角すいQABDのうち残っている部分を切り落としました。
(1) でき上がった立体を、真上から見た図と真横から見た図はどのようになりますか。図3にならって、解答欄の図にかきこみなさい。
(2) 図の1目盛りは1cmであるとします。でき上がった立体の体積を求めなさい。
直近5年間で出された「立体」の問題は、上記の4題でした。
これらの問題から、この夏期講習中では、次のような力を身につけておきたいといえそうです。
1.立体図形を見る力
2018年度においては「展開図→見取り図」といった、平面図形から立体図形を作り上げる力が求められていますし、2014年度はその逆で、「見取り図→投影図」という、立体図形の見方が問われました。
2.解法の理解度
2017年度には「水問題(水そうの向きを変えて置く問題)」が出題されましたが、真正面から見た図をかいたときに「2つの図で体積の等しい部分」がどこであるか、その結果に基づいて関係式をつくる力など、これまでの受験勉強で培ってきた解き方を「総動員」することが求められました。
3.正確な作図力
2015年度は非常に高度な作図力が求められましたが、他の年度の問題においても、正確な作図力が問われています。
サピックスの夏期講習の場合、「立体図形」の学習は1回だけですから、サマー・アプローチで学ぶ一つひとつの解法を正確に、深く理解し、Summer SupportのD問題やE問題を正解できるようになることが大切でしょう。
また、2018年度の問題のように「立方体を切断したときの展開図」をテーマにした問題は他の中学校でも近年よく出されていますし、2014年度のような「角柱の切断」問題も過去問や類題が多くありますから、「有名中」や8月の最後にある「夏期集中志望校錬成特訓」での過去問演習で、立体図形の実戦力をつけることができるといいですね。