第395回 2018年度中学入試の文章題 1
「第395回 2018年度中学入試の文章題 1」
これまで、2018年度の中学入試で出された問題を、分野別に「平面図形」、「速さ」、「数の性質」、「立体図形」、「場合の数」の順でご紹介してきました。
今回からはその最後の分野として「文章題」について見ていこうと思います。
「文章題」といわれてすぐに思い浮かぶのは、「つるかめ算」や「消去算」、「植木算」などに代表される「特殊算」と呼ばれる問題でしょう。
これらの「特殊算」は、塾によっては小学校1年生のクラスで学ぶことがあるように、6年生にとっては比較的正解しやすい問題です。
ですから中学入試で出されるときは、「つるかめ算」や「消去算」などがそのものズバリ出される場合以外に、
① 条件を少し加えて「つるかめ算」や「消去算」などであることを見破ることが必要な問題
② 平面図形や速さなど他の分野の問題を解くときに計算技術の1つとして「つるかめ算」や「消去算」などを利用する問題
③「特殊算」以外の問題
の3つのケースがあります。
そこで、今回は3番目のケースについて、2018年度の中学入試からご紹介していこうと思います。
1問目の出題校は首都圏の難関中である海城中学校です。
2018年度 海城中学校 入試問題 算数 より
問題1-(3) 税込み1個10円のお菓子があります。お菓子には必ず1枚カードが入っています。カードを7枚集めると、そのお菓子を1個もらえることになっています。
① 400円でお菓子を何個まで手に入れることができますか。
② 108個のお菓子を手に入れるためには、少なくともいくら必要ですか。
【解答例】
順々に割っていって求める方法もありますが、ここでは面積図を利用した解き方をご紹介します。
①
お菓子を7個買ってカードを7枚集める → おまけでお菓子が1個もらえる → お菓子を6個買い、おまけでもらったお菓子に入っていたカードで7枚集める → おまけで1個もらえる → …を繰り返すと、下の図のようになります。
ですから、400円でお菓子を40個買うことができますので、その40個で上記のようなことが何回繰り返せるかを計算します。
(40個-1個)÷(7個-1個)=6組あまり3個
計算結果を図にあらわすと次のようになりますので、40個買う+おまけ6個=46個 が①の答えとわかります。
②
①のように面積図を利用して解く場合、灰色の部分(買う個数)と水色の部分(おまけの個数)の和が108個になればよいことになります。
図より、(108個-□組目のおまけ1個)÷7個=□組あまり☆個 という計算式がわかります。
(108個-1個)÷7個=15組あまり2個
108個-おまけ15個=93個買えばよい
ですから、10円×93個=930円 が②の答えです。
2問目も「おまけ」に関する問題ですが、条件が前問とは少し異なります。
出題校は、「新女子御三家」とも呼ばれ、「リケジョ」育成でも知られる鷗友学園女子中学校です。
2018年度 鷗友学園女子中学校 入試問題 第1回 算数 より
問題3 ある商品は、同時に4個買うと、おまけとしてもう1個もらえます。たとえば、同時に12個買うと、おまけとして3個もらえ、15個手に入ります。同時に11個買うと、おまけとして2個もらえ、13個手に入ります。この商品を2018個手に入れるには、同時に何個買えばよいですか。
【解答例】
前問と違う点は「4個セットで買う」とおまけが1個もらえる点です。
このことに気をつけて面積図をかくと、次のようになります。
前問では1組目がすべて灰色部分(買う)でしたが、本問は「4個買うごとに1個のおまけ」という条件のため、1組目から最後まで「4個買う(灰色部分)+1個おまけ(水色部分)」となります。
2018個÷(4個+1個)=403組あまり3個
2018個-おまけ403個=1615個買う
が答えです。
同じ「おまけ」に関する問題でしたが、条件に異なる部分があるため、その表し方も少し違っていました。
2018年度の中学入試では、女子御三家の1校である女子学院中学校でも最後から2問目、人気の難関中、渋谷教育学園幕張中学校では1問目(小問が3つあります)が、それぞれ「おまけ」に関する問題でした。
機会があれば取り組んでみてはいかがでしょうか。