第387回 2018年度中学入試の立体図形 1
「第387回 2018年度中学入試の立体図形 1」
前回までは、2018年度の中学入試で出された「数の性質」の問題をご紹介してきました。
今回からは「立体図形」の問題をご紹介していこうと思います。
第1回目のテーマは「立体の切断」です。
2018年度の中学入試では、立方体を切断したときの断面が五角形となる問題が、首都圏では芝中学校、フェリス女学院中学校、早稲田実業学校中等部をはじめ、複数の中学校で出題されていました。
立方体の断面が五角形になる問題の作図は、断面が正三角形、二等辺三角形、等脚台形などになるときよりも難しいので、立方体の切断の習熟度が試されます。
では、どのような問題が出されたのかをさっそく見ていくことにしましょう。
ご紹介するのは浅野中学校(日能研 R4偏差値 63)の入試問題です。
2018年度 浅野中学校 入試問題 算数より
問題5 図のような1辺の長さが6cmの立方体ABCD-EFGHがあります。辺AD、CDを2等分する点をそれぞれM、Nとします。3点F、M、Nを通る平面でこの立方体を切断し、その切り口をSとします。このとき、次の問いに答えなさい。ただし、角すいの体積は、(底面積)×(高さ)÷3で求められます。
(1) 切り口Sの辺を解答用紙の図に書き入れなさい。ただし、切り口の辺以外のものは書いてはいけません。
(※下書き用の図が問題用紙に与えられています)
(2) 切り口Sによって、立方体ABCD-EFGHは2つの立体に分割されます。この2つの立体のうち、点Bを含む方の立体の体積は何cm2ですか。ただし、考え方や式も書きなさい。
(3) 点Dを通り、切り□Sに平行になるようにもう一度この立方体を切断し、その切り口をTとします。2つの切り口SとTにはさまれた立体をVとします。このとき、立体Vの体積は何cm3ですか。
(一部改題)
【解答例】
(1)
切断の3原則にしたがって作図します。
原則①から、2点M、Nを結びます。
これ以上、原則①、②を使うことができませんので、原則③の「延長」を利用します。
延長するときは、切り口を延長する方に立方体をもう1個つけ足しておくと作図しやすくなります。
上の図で、点Qは、三角形APQと三角形EFQの相似比より、AQ:QE=1:2となる点です。
この図を見ると、再び切断の原則①が使えますから、2点M、Qを結びます。
反対側も同じようにすると、切り口Sの作図は完成です。
(2)
(1)の2つ目の図を使用して、三角すい(大)から三角すい(小)を2個引いて計算します。
(3)
問題の条件通り、平行に切ると次の図のようになります。
図より、切り口SとTにはさまれた立体Vの体積は、立方体の体積から(2)で求めた立体の体積の2倍を引けばよいとわかります。
216cm3-75cm3×2=66cm3
本問のように切断面が五角形になる問題は、切断の3原則を用いて作図をします。
3原則のうち、「原則③(すでに描かれている)切り口を延長する」が苦手だなと感じるようでしたら、今回のように「延長する方に立方体をつけたす」ようにして作図の練習をすると克服しやすいのではないかと思います。
2018年度に出題された「立体図形」の問題は、これまで同様に定番の問題から非常に難度の高い問題まで幅広いものでした。
次回はそれらの問題の中から、「立体図形の見方」をテーマにした問題をご紹介していこうと思います。