第385回 2018年度中学入試の数の性質 2
「第385回 2018年度中学入試の数の性質 2」
前回から、2018年度の中学入試で出された「数の性質」の問題をご紹介しています。
前回は「数の性質」のうち、
約数や倍数などに関する問題として
女子学院中学校と早稲田実業学校中等部の入試問題を見ました。
今回は「数の性質」から、数の規則性に関する問題をご紹介します。
出題校は、首都圏の最難関校、筑波大学附属駒場中です。
では、さっそく問題を見ていきましょう。
2018年度 筑波大学附属駒場中 入試問題 算数より
問題1 縦5段、横50列の250個のマス目のついた表があり、1列目のマス目には1段目から順に1、2、3、4、5が書いてあります。2列目以降のマス目に、次のように2つの数をたしてできる1桁の数を書いていきます。ただし、たしてできる数が2桁になったときは、一の位だけを書くことにします。
2列目 1段目には、1列目の5段目の数に、2をたしてできる数を書きます。
2段目から5段目には、すぐ上の段にある数に1をたしてできる数を書きます。
3列目 1段目には、2列目の5段目の数に、3をたしてできる数を書きます。
2段目から5段目には、すぐ上の段にある数に1をたしてできる数を書きます。
4列目 1段目には、3列目の5段目の数に、4をたしてできる数を書きます。
2段目から5段目には、すぐ上の段にある数に1をたしてできる数を書きます。
………
50列目 1段目には、49列目の5段目の数に、50をたしてできる数を書きます。
2段目から5段目には、すぐ上の段にある数に1をたしてできる数を書きます。
下の表はこの規則に従って、4列目まで数を書いたものです。
すべてのマス目に数を書いた表について、次の問いに答えなさい。
(1) 10列目の5段目のマス目に書かれた数を答えなさい。
(2) 1段目の50個のマス目のうち、1が書かれているものは何個ありますか。
(3) 表にある250個のマス目のうち、0が書かれているものは何個ありますか。
(4) それぞれの段で、マス目に書かれた50個の数の合計を求めます。求めた合計が最も大きいのは何段目ですか。また、その合計も答えなさい。
規則性の問題のポイントは、
その問題において「決められた規則」を正確に理解することです。
そのために、与えられた「例示」をよく見ることが大切です。
ただし、作問者も「親切(?!)」ではありませんから、
「例示」は規則性をギリギリ理解できる範囲でしか与えてくれません。
このことは、逆にいうと
「例示を増やす」ことで規則性がより明確になってくる
ということです。
また、「50列」や「50個」のように
「大きな値」も出てきますから、「繰り返し」があることも予測できます。
そこで「繰り返し」が見つかるまで、
5列目以降にも数を書いていくことにします。
10列目の1段目の数は、
9列目の5段目の数に10を加えてできる数の一の位の数ですから、
「+10」のうちの「+0」だけを考えればOKです。
このようにして表に数を書いていくと、
20列目の5段目の数「0」に加える数が「+1」となり、
21列目が1列目と同じになることに気づけます。
これでこの問題では「1列目から20列目までの繰り返し」だとわかります。
それでは、この表を用いて解答を作成していきましょう。
(1)
表より 5
(2)
1列目から20列目までに、
1段目の「1」は1列目、5列目、6列目、10列目にあります。
50列÷20列=2周期あまり10列 ですから、
4個×2周期+4個=12個 が答えです。
(3)
1列目から20列目までに「0」は、
2列目、9列目、11列目、13列目、14列目、15列目、16列目、17列目、18列目、20列目にあります。
ですから、10個×2周期+2個=22個 が答えです。
(4)
20列分を調べ終えていますから、各段の数の合計を求めればOKです。
それが少し面倒だなと感じたら、
工夫をして計算を楽にする方法がないかを考えてみましょう。
「9」の下の段が「0」になることに着目します。
1段目の合計は順にたしていくと210とわかります。
2段目の合計は1段目の合計よりも 1×50=50 大きくなるはずですが、
1段目に「9」が4つありますから、
2段目の合計は1段目の合計よりも 1×46-9×4=10 大きい220です。
同じように計算していくと、
3段目の合計は2段目の合計よりも 1×50-9×0=50大きい270、
4段目の合計は3段目の合計よりも 1×40-9×10 → 50小さい220、
5段目の合計は4段目の合計よりも 1×42-9×8 → 30小さい190、
とわかりますので、答えは 3段目、270 です。
2018年度の筑波大学附属駒場中の問題1は、「繰り返しのある規則性」がテーマでした。
「繰り返し」がある問題は、本問のように1周期分を書き出しておくと、
ほぼすべての問いに正解することが可能です。
家庭学習をしているとき、
問題文中に「50列目」のような大きな値があるときは、
「規則があるかもしれないな…」と予測しながら問題に取り組んでみて、
最難関中でだされる「規則性」の問題でも正解できるようになれるといいですね。