第383回 2018年度中学入試の速さ 4
「第383回 2018年度中学入試の速さ 4」
ここまで3回にわたって、
2018年度の中学入試で出された「速さ」の問題をご紹介してきました。
今回は「速さ」の最終回として、
「条件整理力」が特に求められた問題を見ようと思います.
出題校は、大阪府の男子最難関中、大阪星光学院中です。
今回の問題も現時点の新6年生には難しいと思われますが、
6年生の学習で身につけておきたい内容が含まれていますので、
今後の目標という意味で見てもらえればと思います。
2018年度 大阪星光中 入試問題 算数より
問題2 太郎、次郎、三郎の3人がA町からB町を通って水族館に行きます。A町から水族館に行くには、車だけで行くか、水族館の手前2kmにあるB町までバスで行き、そこから徒歩で行く方法があります。太郎は、バスに乗り、水族館に向かいました。次郎は、太郎が乗ったバスの30分後に出発したバスに乗り、水族館に向かいました。三郎は、次郎が出発した後しばらくしてから、車を運転して水族館に向かいました。次郎が乗るバスは、A町を出発してから36分後に三郎の車に追いこされました。太郎は、三郎が水族館に着いてから6分後に水族館に着きました。バスは時速20km、車は時速40kmで走り、人は時速4kmで歩くものとします。次の( )の中に正しい答えを入れなさい。
(1) 三郎は、次郎が出発してから( )分後にA町を出発しました。
(2) A町と水族館の距離は( )kmです。
(3) 三郎は、水族館に着いて何分か休んだ後、次郎を車でむかえに行ったので、次郎は予定よりも18分早く着くことができました。三郎が休んだ時間は( )分です。
(一部改題)
【解答例】
速さ以外の条件は、
「2km」、「30分後」、「36分後」、「6分後」、「18分」のように、
時間条件の方が距離条件よりも多いので、「ダイヤグラムに整理」します。
ダイヤグラムを書く手順は、
① 時間の目盛りを書く
② 目盛りを結んでグラフを書く
ですから、
時間がわかるところは前もって計算しておくようにします。
2km÷4km/時=0.5時間30分 … B町から水族館まで歩くときの時間
そこで、
「バスとバスの間隔が30分、歩く時間も30分だから、同じくらいの幅で書こう」
ということや
「バスと車の速さの比が1:2だから、それらしい傾きでグラフを書こう」
といったことに
気をつけてダイヤグラムを作ると次のようになります。
このグラフを元に(1)に取り組みます。
(1)は次郎と三郎に関する問いですから、
まずはグラフの中で2人に関係するところだけに着目してみます。
グラフの中に
「ダイヤグラム解法の着目点2 山&谷」(下の図の赤色斜線の部分)
があることに気づけます。
ですから、(1)の答えは18分後です。
わかったことをグラフに書き込んで(2)に進みます。
どこから手をつければよいのかわかりにくいときは、
「ダイヤグラム解法の5つの着目点を探す」
「求めることが出来る時間条件を探す」
のが、ダイヤグラム解法の基本です。
ダイヤグラムの5つの着目点
1.相似
2.山&谷(等高三角形)
3.平行四辺形
4.二等辺三角形
5.琵琶湖型三角形
すると、次の2つのことに気づけます。
この砂時計型相似では、さらに次のことがわかります。
上のグラフより、
②+21分=48分+① → ①=27分
40km/時×27/60時間+2km=20km … (2)の答え
「ダイヤグラム解法の5つの着目点を探す」
「求めることが出来る時間条件を探す」という、
ダイヤグラム解法の基本に従うと(2)も正解することができました。
再び、わかったこと、追加でわかることをグラフに書き込んで(3)に進みます。
上のグラフを見ると、
「お父さん問題(二等辺三角形の利用)」
と同じ形があることに気づけます。
グラフより、①=2分 とわかりますから、
三郎が次郎を迎えに出発した時刻は 96分-2分×2=92分 となるので、
92分-78分=14分 が(3)の答えです。
決して易しい問題ではありませんが、
「時間条件が多い → ダイヤグラムに整理する」
「ダイヤグラムを書く手順は、①時間の目盛りを書く ②目盛りを結んでグラフを書く」
「ダイヤグラム解法の5つの着目点を探す+求めることが出来る時間条件を探す」
という、
ダイヤグラム解法の基本に従えば上記のようにして解くことができました。
本問を見て、
ダイヤグラム解法の基本がまだ十分にできていないなと感じたときは、
今後「速さ」の問題に取り組むときに、
これらの基本を思い出しながら問題を解き、
少し難しい問題でも正解できるようになれるといいですね。