第381回 2018年度中学入試の速さ 2
「第381回 2018年度中学入試の速さ 2」
前回から、2018年度の中学入試で出された速さの問題をご紹介しています。
「知識」と「条件整理力」が必要となる「速さ」ですが、
今回は「比の利用」が大切な問題をみていこうと思います。
ご紹介するのは、首都圏の難関中の1校、海城中の問題です。
本問は5年生のときに学んだ
「速さと比」と「条件整理」が使えるようになっているかを
チェックすることができます。
チャレンジして確認してみましょう。
2018年度 海城中 入試問題 算数より
問題2 一郎君は毎分90mの速さで歩いて、花子さんは毎分120 m の速さで自転車に乗って、AからBに向かうことにしました。花子さんはAを出発して、AからBまでの道のりのちょうど1/3の地点で忘れ物に気づいてAに戻り、忘れ物を取ってすぐにBに向かいました。一郎君は、花子さんがはじめにAを出発してから14分後にAを出発して、花子さんと一度すれちがい、花子さんと同時にBに着きました。
(1) AからBまでの道のりを求めなさい。
(2) 一郎君がAを出発してから花子さんとすれちがうまでに何分かかりましたか。
距離の条件は「AからBまでの道のりのちょうど1/3」、
時間の条件は「14分後」で
どちらも1つずつですから、
整理方法は「線分図」、「ダイヤグラム」のいずれでもよさそうです。
そこではじめは線分図に整理してみます。
線分図に整理すると上のようになりますが、
一郎がAを出発したときを表す「同時マーク(○)」を、
花子の線分図のどこに書けばよいかがまだわかりません。
しかし、「同時にBに着いた」という部分に着目すると、その問題も解決できます。
「速さと比」の関係をこのように利用できると、
「花子は①の距離を14分で進む」とわかります。
120m/分×14分×3=5040m … (1)の答え
(120m/分×14分)÷(90m/分+120m/分)=8分 … (2)の答え
速さの線分図解法のポイントは、
(1) →に距離をかく
(2) →に距離の比を書く
(同時マークがあれば、距離の比=速さの比、距離の比=時間の比の逆比 が使える)
です。
このポイントに従えば、
「距離が書けないから、距離の比を書くしかない」
「ということは、14分後の同時マークをどこに書けばよいかを考えればよい」
と思考が進められ、
正解を導き出すことができます。
では、ダイヤグラムに整理をするとどうなったのでしょうか。
AB間にかかる時間は速さの逆比ですから「一郎:花子=4:3」ですが、
一郎はいつ出発したのかがわかりませんので、花子の動きから書き始めます。
花子が忘れ物に気づくまでの時間と家に戻るまでの時間は同じですから、
この時間を①と考えると、次のように「14分」の位置も簡単にわかります。
以下はグラフから線分図のときと同様、
120m/分×14分×3=5040m のようにして(1)の答えを求めることができます。
速さのダイヤグラムの書き順は、
(1) 時間条件をグラフに書き込む(=目盛りに数値が入る)
(2) 数値の入った目盛りを結ぶ
です。
本問もこの書き順に従うと上記のようにグラフを完成させることができます。
線分図解法を使う場合も、ダイヤグラム解法を使う場合も、
それぞれの解き方の基本を守れば、
ほぼ1本道で答えにたどりつくことができました。
本問にチャレンジして不正解であった場合は、
「速さと比」の使い方が正しいかどうか、
「条件整理」をしているか、
「条件整理」は正しいかなどの再確認をしてみましょう。
正解であった場合でも、
「スーッと解けた」のか、
「いろいろ試しているうちに正解にたどりつけた」のかを確認し、
もし、回り道をして解いていることがわかれば、
その部分を修正してこれからの塾での勉強やテストにいかせるといいですね。