第378回 2018年度中学入試の平面図形 2
「第378回 2018年度中学入試の平面図形 2」
2018年度の中学入試がほぼ終了しました。
受験を終えた6年生は、
これから中学生活が始まる4月までの2ヶ月弱をどのように過ごすかが、
次の大切なテーマです。
首都圏の場合は今週後半まで試験を受けていた受験生も少なくないでしょうから、
「ホッと一息」という休息期間も必要です。
しかし、休息期間の取り過ぎには注意が必要です。
というのも、試験が終わって塾に通うことがなくなると
ダラダラと過ごす時間が多くなり、
これまでに培ってきた「学習習慣」を失ってしまうことが少なくないからです。
中学受験は通過点の1つに過ぎませんから、
学習の習慣をなくさないうちに、
少なくとも2月半ばには、
中学生活に向けて1週間の過ごし方を切替えていくようにしたいものです。
一方、新6年生は、
いよいよ本格的な受験学年のカリキュラムに取り組みはじめたことでしょう。
そこで、今回から何回かにわたり、
2018年度の入試問題を出題分野別にご紹介していきますので、
今後の学習指標の一つにしてもらえればと思います。
先々週は関西エリアの平面図形の出題をご紹介しましたので、
今回は首都圏で出された平面図形の問題をご紹介しようと思います。
比較的取り組みやすい問題もありますので、
「腕試し」もありだと思います。
1問目は女子御三家の1校、雙葉中の問題です。
2018年度 雙葉中 入試問題 算数より
問題3 右の図で、○印のついた4つの太線の長さはすべて等しく、4つ合わせると、1つの円の円周と同じ長さになります。影をつけた部分の面積は何cm2ですか。円周率は3.14です。
「4つ合わせると、1つの円の円周」という部分から、
円問題であることがわかります。
「円問題の補助線は中心と結ぶ半径」
という原則にしたがって線を書き込みます。
半径のわからない円の面積は「半径×半径」を利用します。
□×□=8×8×1/2=32 ですから、
長方形からはみ出している曲線図形の面積は、
32×3.14-8×4×1/2×4=36.48cm2 です。
左側の台形は、上底11cm、下底18cm、高さ3.5cmなので50.75cm2 ですから、
影のついた部分の面積は、18cm×16cm+36.48cm2+50.75cm2=375.23cm2 です。
「円問題の補助線は中心と結ぶ半径」という原則と
半径のわからない円の面積は「半径×半径」を利用するという解き方が
確認できる問題でした。
2問目は男子御三家より、武蔵中の問題です。
2018年度 武蔵中 入試問題 算数より
問題1-(2) 下の図の四角形ABCDはADとBCが平行で、角A=120°、角C=60°の台形です。また、AB:BC=3:5、AE:EB=3:5です。このとき、三角形CDFの面積は、台形ABCDの面積の( )倍です。
「角A=120°、角C=60°」という「仕組まれた」数値から、
下のような図を描くことができます。
あとは「角出し(延長して相似を作る)」で解けそうだとわかります。
答え 5/14
「60度等脚台形は正三角形の一部」という知識と
「ダブル・チョウチョ相似(2組の相似を利用する)」の解き方が
チェックできる問題です。
3問目は大学進学実績で人気、渋谷幕張中の問題です。
2018年度 渋谷幕張中 入試問題 算数より
問題4
(1) 略
(2) 図2のように角Aの大きさが120°、辺BCの長さが7cmの三角形ABCがあります。辺ACの長さは辺ABの長さより2cm長くなっています。三角形ABCの面積は、1辺の長さが7cmの正三角形の面積の何倍ですか。
本問も全問と同様に、
「角Aの大きさが120°」
「正三角形の面積の何倍」
という2つのヒントから
「正三角形が関係している問題」と気づけます。
「風車」問題に置き換えることができましたので、
三角形ABCの面積は、(7×7-2×2)÷3=15です。
答え 15/49
今回ご紹介した問題は、
問題文中のヒントから適切な「知識」を引出て解く問題が中心でした。
「解き方」は5年生から6年生の前半にかけて学び、
「(入試レベルの)知識」は6年生の前半に学ぶカリキュラムが多いようです。
ですから、御三家やそれと同じ難度の中学を受験する予定であれば、
この2月から夏にかけての学習で
「解き方」とは別に
「知識」も整理して頭に入れておけるといいですね。