第373回 新年度のクラスが決まるテスト
「第373回 新年度のクラスが決まるテスト」
いよいよ、2018年が始まりました。
首都圏では、
明日の7日は愛光中(愛媛県)や北嶺中(北海道)が、
明後日の8日には西大和中(奈良県)や函館ラ・サール中(北海道)の東京会場入試が行われ、
さらに10日からは栄東中(埼玉県)や開智中(埼玉県)などの
「1月校」入試がスタートします。
また、関西エリアは来週の1月13日に、
灘中をはじめとした近畿統一入試が行われますので、
現6年生は、本当にラストスパートの真っ最中です。
一方、現5年生以下の場合も、
この時期に行われるテストが2月から始まる新学年のクラスを決めますので、
その準備に追われていることと思います。
クラスを決めるそれらのテストは、
サピックスは明後日の1月8日に「新学年入室・組分けテスト」が、
日能研は1月13に「全国公開模試 実力判定テスト」が、
四谷大塚は1月27日~28に「公開組分けテスト」がそれぞれ行われます。
そこで、今回は2017年1月に行われたサピックスの
「新学年入室・組分けテスト」の内容を見ていこうと思います。
サピックスで2017年度の1月に行われた「新学年入室・組分けテスト」のうち、
新6年生のテスト問題は、次のような範囲から出題されていました。
問題1 現5年生にとって標準レベルの計算問題でした。
問題2 「定番の一行問題」でしたが、知識に抜け落ちがあると失点してしまいます。
問題3 (1)~(4)は知識問題ですが、(5)は正確な作図力が必要な問題でした。
いずれも標準レベルの問題ですから、
ここまでの失点はクラスアップの足かせになると言えます。
問題4 レベルは標準ですが、周期算の処理方法が不完全ですと点数を失いかねません。
問題5以降は知識と処理力に加え、題意把握や条件整理力が求められる問題で、
アルファクラスとアルファベットクラスを振り分けるための問題だと思われます。
では、このテストの前半と後半から1題ずつ、問題をご紹介していきます。
サピックス 2017年1月9日実施 新学年入室・組分けテスト 新6年(現5年) 算数より
問題3-(1) 右の図で、ABとEFが平行のとき、アの角の大きさは何度ですか。
「イナズマ角」問題です。
問題のレベルは標準的です。
ただ、「正解すればOK」というだけでなく、
テスト解説のような解き方になっているかどうかがポイントです。
【解き方1】
イナズマ角が「90°傾いている図」だと考えると、
次のような解き方になるでしょう。
30°+8°=38°
【解き方2】
テキストに出てくるイナズマ角と「同じような図にしたい」と思った場合は、
次のような解き方かもしれません。
180°-(60°+82°)=38°
【オススメの解き方】
解き方2に「問題文中にある『平行』」という条件を加えると、
98°-60°=38° という「模範解答」的な考え方ができます。
算数の力を伸ばしたいときは、
この解き方やテスト解説の解き方のように
「問題条件を活かした」解き方を身に付けるようにします。
【別解】
上位の力をつけたいときは、
のように「右回り=左回り」を用いて、
□°+10°=60°+92°→□°=142° ア=38°
という解き方も知っておくと、
6年生で学ぶ「図形の回転移動」の発展問題にもつなげることができます。
次は、知識・処理力+題意把握・条件整理力が求められた問題です。
問題7 右のような六角形ABCDEFの上ですごろくをします。最初、頂点Aにコマを置き、コインを投げて表が出たら、六角形の辺の上を通り時計回りに次の頂点ヘコマを進め、裏が出たら、図の点線を通り反対側の頂点ヘコマを進めます。例えば、順に、表・裏・表と出たら、A→B→E→Fと移動します。また、コマが頂点Aにちょうど止まったら終了となります。次の問いに答えなさい。
(1)-① コインを4回投げ、順に、裏・表・表・裏と出たとき、コマはどの頂点にありますか。記号で答えなさい。
(1)-② コインを4回投げ、順に、裏・表・裏・表と出たとき、コマはどの頂点にありますか。記号で答えなさい。
(2) コインを4回投げて終了となるコインの表裏の出方は何通りありますか。
(3) コインを6回投げて終了となるコインの表裏の出方は何通りありますか。
(1)の2問は、この問題のルールを確認しながら、
(2)を解くためのヒントになっています。
(1)の答え ① 頂点C ② 頂点C
(2)の解き方
コインの出方は表と裏の2通りですから、
コインを4回投げたときの表裏の出方は、
2通り×2通り×2通り×2通り=16通り です。
表を○、裏を×として、順に調べていきます。
答え 4通り
(3)の解き方
コインの出方は全部で 26=64通り ありますから、調べるのは難しそうです。
このようなときに「問題条件の読み替え」ができると、
場合の数の難しい問題も解くことができます。
ここでは「裏がでると反対の頂点に進む」ことを、
「辺にそって3つ進む」と読み替えます。
すると、「表=1辺進む、裏=3辺進む」とすることができますから、
6回で6辺または12辺または18辺進む場合を求めれば良いことになります。
1辺×6回+3辺×0回=6辺の場合
○○○○○○の並べ方は1通り
1辺×3回+3辺×3回=12辺の場合
○○○×××の並べ方は6C3=20通り
そのうち、
××…ではじまる4通りは2回目で、
はじめの4回の出方が(2)と同じ場合は4回目で、それぞれAに戻るので、
20通り-(4通り+4通り)=12通り
1辺×0回+3辺×6回=18辺の場合
××××××の並べ方は1通りですが、2回目にAに戻るので、0通りです。
1通り+12通り+0通り=13通り
5年生段階で(3)を「読み替え」で解くのは難しいと思いますが、
このテストを通して学ぶことができれば、
6年生の場合の数の難問にも対応できるようになれると思います。
今回は2017年1月に行われたサピックスの
「新学年入室・組分けテスト」の内容を見てきましたが、
クラスアップのために必要なことは、
①計算問題で失点しないこと
②知識に抜け漏れがないこと
の2点が前提条件とわかりました。
サピックスの場合は試験までに時間が余りありませんが、
テストの準備として知識のチェックだけでもできるといいですね。