第366回 5年生の学習ポイント 4
「第366回 5年生の学習ポイント 4」
大手進学塾の6年生で学習する「速さ」について、
サピックスのケースを例に考えてきています。
今回は、前回の続きとしてサピックスで4月に行われる
6年生の志望校判定サピックスオープンの問題を見ていきます。
前回ご紹介したサピックスのマンスリー確認テストに比べて
志望校判定サピックスオープンは得点しにくいといわれていますが、
どのあたりが難しいのでしょうか。
さっそく問題を見ていきましょう。
2015年4月12日実施 第1回 志望校判定サピックスオープン 算数Aより
問題4 Aさん、Bさん、Cさんの3人が、P地点を出発してQ地点まで同じ道を歩いて行くことにしました。Aさんは午前10時、Bさんは午前10時10分、Cさんは午前10時25分にそれぞれP地点を出発しました。そして、Bさんは午前10時40分にAさんを追い越し、午前11時55分にCさんに追い越されました。Cさんは午後0時40分にQ地点に着きました。これについて、次の問いに答えなさい。
(1) AさんとBさんの速さの比を求めなさい。
(2) AさんがQ地点に到着した時刻を求めなさい。
小問(1)の問題文にあるように、「速さと比」に関する出題です。
先ずは問題の条件を整理します。
「時間の条件」が多いのでダイヤグラムに整理してもよいのですが、
「3人の旅人算」をダイヤグラムに表すとグラフが複雑になることが多いので、
今回は線分図を利用することにします。
「追いつき」の関係を見やすくするために、問題の条件を3つに分けて整理しました。
(1)は「AとBの関係」を求める問題ですから、線分図中の「ア」に着目します。
すると、AとBは同じ距離を進むのに、
それぞれ40分と30分かかっていることがわかります。
つまり、同じ距離を進むAとBの時間の比が4:3なのですから、
速さの比は3:4とわかります。
(2)は「AがQに着いた時刻」を求める問題です。
「Qに着いた時刻」はCしかわかっていませんので、
答えを出すためには「AとCの関係」が必要です。
しかし、線分図を見ても「AとCの関係」はありません。
そのかわり、「BとCの関係」は「イ」からわかりそうですから、
それを求めた後に(1)でわかった「AとBの関係」とを
「連比」にすることで解ける問題ではないかと、
予測することができます。
BとCは同じ距離を進むのにそれぞれ105分と90分かかっていますので、
時間の比はが7:6です。
それを(1)でわかったAとBの時間の比=4:3との連比にすると、
AとBとCの時間の比=28:21:18が求められます。
CはPQ間を12時40分-10時25分=135分間で進みましたから、
Aは135分間÷18×28=210分間=3時間30分かかることになるので、
午前10時+3時間30分=午後1時30分 が(2)の答えです。
(2)のポイントは、
1. 速さ・時間・距離の比の関係が理解できていること
2. 自分が見やすい線分図がかけること
3. AとB、BとCの関係からAとCの関係を求めることができること
の3点です。
(2)が不正解の場合は、
まず、この3つのポイントをクリアできているかどうかを
確認してみましょう。
マンスリー確認テストではほとんど出されてこなかった「速さと比」の問題ですが、
志望校判定サピックスオープンの算数Aでは
全7問中の折り返しである大問4に出題されました。
例年、算数Aの平均点は、算数Bとくらべるとぐっと高くなっていますから、
折り返しとなる大問4は是非正解したいところです。
ですが、5年生である今、そして6年生になっても春休み明けまで、
「速さ」の学習では「速さの3公式で解く問題」に触れる機会が多く、
そのために5年生の9月や最終回で学習した「速さと比で解く問題」の内容を
忘れてしまう危険性があります。
しかし、平常授業が実施されている平月は、
どうしてもその毎回の学習内容を「追いかける」とこになりがちです。
ですから、忘れてしまう危険性を回避するために、
5年生の冬休みや6年生に切り替わるときの休講期間などを利用して、
「速さと比」の復習ができるといいなと思います。