小川大介の中学受験合格を実現する逆算受験術

中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 -> 主任相談員の中学受験ブログ -> 前田昌宏の中学受験が楽しくなる算数塾 -> 速さの練習問題  -> 第364回 5年生の学習ポイント 2

第364回 5年生の学習ポイント 2

このエントリーをはてなブックマークに追加
速さの練習問題 2017年11月04日18時00分

「第364回 5年生の学習ポイント 2」


はやいもので、もう11月です。


5年生が塾で6年生の授業を受けるまで、あと3ヶ月となりました。


受験学年である6年生になれば、
どの塾であっても、学習する内容が5年生よりも多くなり、
また、高いレベルまで学習することになります。


今回と次回は、そのレベルがどのように高くなっていくのかを、
サピックスで学ぶ「旅人算」を例にしてみていこうと思います。




サピックスの5年生の場合、旅人算の学習機会は3回あります。


1回目は春期講習明けのNo.8、
2回目は夏期講習明けのNo.21、
3回目は5年生の最終回であるNo.37です。


具体的な問題を見てみましょう。


サピックスDaily Support No.8 

20171103185421.jpgE問題-3 円形の池のまわりに、右図のような道があります。A、B、Cの3人が、同じ地点からAとBは左まわりに、Cは右まわりに同時に出発しました。Aは分速90mで、Bは分速40mで、Cは分速60mで進みます。AとCが出会ってから10分後にBとCが出会ったとき、この道の長さは1周何mですか。








春先のNo.8で学ぶ内容は、
「速さ×時間=距離」のような速さの3公式と、
「2人の速さの和×出会うまでの時間=出会うまでに2人が進んだ距離の和」といった
旅人算の公式がメインです。


ですから、この時期に学ぶ解き方は次のようになります。


【解き方】

20171103185637.jpg

(40m/分+60m/分)×10分=1000m…QRの長さ 
QRの長さは「AとCが出会ったときのAとBの進んだ距離の差(隔たり)」なので、
1000m÷(90m/分-40m/分)=20分…AとCが出会うのは、3人がPを出発してから20分後 
Pを出発してから20分でAとCが出会っているので、
(90m/分+60m/分)×20分=3000m…1周の長さ 




このように「BとCが10分間に進む距離の和=AとBが□分間に進む距離の差」という関係を
「問題の条件や図から読み取る」ことを学びます。


夏期講習明けのNo.21では「速さと比」をE問題で取り扱いますが、
D問題までの学習内容はやはり「問題の条件や図から読み取る」ことです。


No.21の問題を見てみましょう。




サピックスDaily Support No.21 

D問題-1 分速100mの速さでいけば、目的地に予定の時間より1分早くつき、分速80mの速さでいけば、10分遅くつきます。目的地までの距離は何mですか。








【解き方】 
もし立ち止まらなければ、予定時刻にどこにいるかを線分図に表すと次のようになります。

20171103185608.jpg


100m/分と80m/分では1分間に進む距離が20mと違いますから、
900mの差ができるのは (100m+800m)÷(100m/分-80m/分)=45分後です。


ですから目的地までの距離は、100m/分×(45分-1分)=4400m とわかります。
(他の計算方法もあります)




では、5年生の最終回であるNo.37ではどのようなことを学ぶのでしょうか。


問題を見てみましょう。




サピックスDaily Support No.37 
E問題-2 大川君はA地からB地に向かって、小山君はB地からC地に向かって、同時に歩き始めました。2人は歩き始めてから60分後にP地点で出会いました。大川君は出会ってから30分後にB地に着きました。そのとき、小山君はA地点の手前6000mのところを歩いていました。

(1) 大川君と小山君の速さの比は何対何ですか。

(2) A地とB地は何mはなれていますか。

(3) P地点は、A地から何mのところですか。








No.37になると、問題文が長くなっています。


ということは、問題の条件が増えているということですから、
条件整理がポイントなってきます。


【解き方】
問題条件を線分図に表すと、次のようになります。 

20171103185750.jpg

(1) 
線分図を見るとPB間を進むのに、大川君は30分、小山君は60分かかっています。
同じ距離を進む時間の比が1:2とわかっているのですから、速さの比は 2:1 です。


(2) 
(1)で速さの比が2:1とわかりましたから、同じ時間に進む距離の比も2:1です。

20171103185830.jpg


図より、①=6000mとわかりますので、AB間は12000mです。


(3) 
(2)で、同じ時間に進む距離の比が2:1、AB=12000mとわかりましたから、
次の図のように、③=12000m → ②=8000m とわかります。

20171103185905.jpg
(他の考え方もあります) 








サピックスの場合、5年生で学習する「旅人算」の内容が、
春と秋は「問題の条件や図から読み取ったことを、速さの3公式を利用して解く」というものでしたが、
冬には「線分図中に速さと比を書き込んで解く」というものにレベルアップしていることが、
これら3問からわかります。


では、6年生になると、レベルはどのように上がるのでしょうか。


次回はこの点についてみていきたいと思います。

mflog.GIF

このエントリーをはてなブックマークに追加
速さの練習問題 2017年11月04日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
Copyright (c) 2008- 中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 All rights reserved.