第359回 学校別オープン模試 3
「第359回 学校別オープン模試 3」
明日からいよいよ10月です。
前にもご紹介したように、今月も各塾で学校別の模擬テストが実施されます。
【サピックス】「学校別サピックスオープン」
10月9日(月・祝)慶應湘南藤沢・渋谷幕張・灘
10月22日(日)聖光学院
【早稲田アカデミー】「NN志望校別コース オープン模試」
10月7日(土)開成
10月9日(月・祝)麻布・武蔵・慶應義塾普通部・桜蔭・雙葉
10月14日(土)駒場東邦・桐朋・早稲田・早大学院・渋谷幕張・早実
10月28日(土)女子学院
【四谷大塚】「学校別判定テスト」
10月9日(月・祝)開成・麻布・武蔵・駒場東邦・桜蔭・女子学院・フェリス女学院
首都圏を中心に教室を展開するサピックスですが、
灘中(所在地:兵庫県神戸市 ※寮はありません)の模擬テストを、
関西の4教室以外に関東6教室でも実施します。
また、同じく首都圏の大手進学塾である早稲田アカデミーや四谷大塚でも、
塾生だけでなく、塾に通っていないお子様も対象にして、
灘中の模擬テストが11月に行われます。
この灘中の模擬テストは次回にご紹介する予定です。
今回、ご紹介するのは、
まもなく行われる桜蔭中の模擬テストです。
(80%合格可能偏差値 サピックス:62、日能研:68、四谷大塚:71)
それではさっそく問題をみていきます。
四谷大塚 平成21年10月4日実施 学校別判定テスト 桜蔭 算数より
問題Ⅲ ある貯水タンクには、毎分8Lの割合で水が入ります。このタンクには、毎分一定量の割合で水をくみ出す排水管が4本ついています。いま、タンクが満水の状態から、4本の排水管を開いて排水を開始し、10分後に1本の排水管を閉じたところ、排水を始めてから30分後の水量は、満水時よりも360L少なくなっていました。また、その6分後にタンクに残っている水量は満水時の12.5%でした。このとき,次の問いに答えなさい。
(1) 1本の排水管を開くと、毎分何Lの水が排水されますか。
(2) 貯水タンクが空になったのは、排水を開始してから何分後ですか。
タンクに注水をしながら排水もするので、
「この問題はニュートン算のようだな」
と気づくことができます。
ニュートン算の解き方は、大きく2つあります。
この問題であれば、
配水管1本が1分間に排水する水の量を1とする方法と、
タンクが満水になっているときの水の量を1
(または排水にかかる時間の最小公倍数)
とする方法です。
そのどちらの方法が問題を解くのに使いやすそうかということは、
次のように「問題条件を図示する」とわかりやすくなります。
この図だけから、
タンク内の水をすべて排水するのにかかる時間を求めることは、
少し難しそうです。
そこで、
「配水管1本が1分間に排水する水の量を1とする方法」
を選ぶことにします。
すると、次のようなことを図に書き加えることが可能です。
上の図を見ると、次のようなことに気づけます。
図より、
配水管1本が1分間に排水する水の量1=6L とわかり、
(1)の答えを求めることができました。
配水管1本が1分間に排水する水の量がわかりましたので、
(2)を正解することは難しくありません。
360L+(6L×3本-8L)×6分間=満水時の水量の87.5% ですから、
満水時の水量は480Lです。
4つ目のタンクの図で、
残っている水の量が 480L×0.125=60L ですから、
60L÷(6L×3本-8L)=6分 でタンクは空になります。
10分+20分+6分+6分=42分後 が(2)の答えです。
「ニュートン算が苦手だな」と感じているようでしたら、
この問題のように、
「問題条件を図示」してから、
配水管1本が1分間に排水する水の量を1とする方法と、
タンクが満水になっているときの水の量を1とする方法の
どちらが適しているかを考えるようにすると、
解きやすくなると思います。
一度お試しください。
では、もう1問みていきます。
問題Ⅴ 右の表にあるような円すいの容器A~Cと、円柱の容器Dがあります。容器AとBをすき間なくまっすぐに重ね、重なった部分を切り取って容器Pを作りました。同じようにして,容器DにCの一部を組み合わせて,容器Qを作りました。それぞれの容器の厚さは考えないものとして,次の問いに答えなさい。
(1) 容器P、容器Qの深さはそれぞれ何cmですか。
(2) 容器Pで3杯分の水を容器Qに注ぎました。容器Qの水の深さは何cmになりましたか。
(3) 容器Qにある深さまで水を入れ、水がこぼれないようにふたをしてから、上下をさかさまにしたところ、水の深さが18cmになりました。はじめ、何cmの深さまで水が入っていましたか。
円すいを重ねる問題は武蔵中や六甲中をはじめ多くの学校の過去問にあります。
円すいや円柱は「回転体」と呼ばれる立体図形です。
ですから、どのような図形が回転したかがわかる図(断面図)を描くと、
組み合わせてできた立体についてもわかってきます。
図より、容器Pの深さは、12cm+6cm-4cm=14cm です。
同様に、
より、
容器Qの深さは、15cm+12cm-6cm=21c
m です。
(2)は桜蔭中らしく、計算力勝負です。
容器Pの体積は
6cm×6cm×3.14×12cm÷3+9cm×9cm×3.14×6cm÷3-6cm×6cm×3.14×4cm÷3
=258×3.14cm3
ですから、
3杯分の体積は774×3.14cm3 です。
容器Qの下半分(円すい台)の体積は
12cm×12cm×3.14×12cm÷3-6cm×6cm×3.14×6cm÷3
=504×3.14cm3
ですから、
容器Qの上半分(円柱)に入る水は、
(774-504)×3.14cm3=270×3.14cm3 です。
(270×3.14)cm3÷(6×6×3.14)cm2=7.5cm
6cm+7.5cm=13.5cm
桜蔭中らしく少し大変な計算ですが、
立体A~Dがすべて回転体ですから、
「×3.14は計算せずにまとめておく(分配法則の利用)」
と計算が楽になります。
(3)
容器Qに水を入れたときの図と、さかさまにしたときの図を描いてみます。
図より、
水問題の原則通り、
「すき間ウ=すき間エ」に着目すればよいことがわかります。
カ、オ、エの体積比は、
23:(33-23):(43-33)
=8:19:37 ですから、
エの体積は
3cm×3cm×3.14×3cm÷3×37=333×3.14cm3 です。
したがって、
6cm×6cm×3.14×☆cm=333×3.14cm3
☆cm=9.25cm
21cm-9.25cm=11.75cm が答えです。
(2)と同様に、
「×3.14は計算せずにまとめておく」ことに加え、
体積比を利用すると計算が楽になります。
四谷大塚で平成21年10月4日に実施された学校別判定テスト「桜蔭」は、
はじめにご紹介した問題Ⅲは「条件を整理する力」、
あとの問題Ⅴは「計算力」といったように、
桜蔭中の入試問題の特徴を非常によく再現した模擬テストだと思います。
9月に行われた学校別の模擬テストは難度や傾向が入試本番並でしたが、
10月に入ってさらに完成度が高まっているようです。
入試本番レベルですから解けない問題はあるでしょうが、
返却された答案を丁寧に1問1問振り返り、
11月のテストや受験校の入試に活かす勉強ができるといいですね。