第355回 立体図形の苦手克服術 6
「第355回 立体図形の苦手克服術 6」
前回は、平面図形への書き直しや規則性の発見と、
切断の3原則を使いこなすことが必要な作図問題を見ました。
そこで切断の最後に「2回切断」をテーマに、
2017年度の入試問題を見ていきます。
2017年度 高槻中 B日程 入試問題 より
問題4 直方体①:ADCD-EFGHがあり、点I、J、Kはそれぞれ辺AD、BC、FG上にあり、AI=ID、BJ=JC、FK=KGとなっています。
また,次のような各平面があります。平面(あ)は点A、G、Hをふくんでいます。同じようには平面(い)は3点E、F、Iを、平面(う)は3点I、J、Kを、平面(え)は3点A、C、Fを、平面(お)は3点A、C、Hをそれぞれふくんでいます。このとき次の問いに答えなさい。ただし、角すいの体積は、(角すいの体積)=1/3×(底面積)×(高さ)で求めることができます。
(1)直方体①を平面(あ)と平面(い)で切ったとき、点Kをふくむ立体の体積は直方体①の体積の何倍ですか。
(2) 直方体①を平面(う)と平面(え)で切ったとき、点Bをふくむ立体の体積は直方体①の体積の何倍ですか。
(3) 直方体①を平面(う)、平面(え)と平面(お)で切ったとき、点Gをふくむ立体の体積は直方体①の体積の何倍ですか。
2回切断の理解度を測るのにピッタリな問題です。
(1)の解き方
はじめに、切断の3原則を用いて、面(あ)を作図します。
次に面(い)を描き加えていきます。
すると、面(あ)と面(い)が交わり、「2回切断」の問題だとわかります。
2回切断の問題では
「2つの面の辺が交わる点を結ぶ(=交線の作図)」
という作業をします。
図より、求める立体が三角柱だとわかります。
この問題が不正解の場合は、
面(い)に代えて面CDEFが面(あ)と交わる問題を解いてみましょう。
図が比較的描きやすいので、三角柱の体積が直方体の1/4だとわかるでしょう。
その上で、もういちどこの問題をやり直すと、
正解する可能性が高くなると思います。
(2)の解き方
(1)と同様に、順々に図を描いていきます。
さらに、面(え)を描き加えます。
これでこの問題も「2回切断」だとわかりましたから、
次に交線を作図します。
求める立体は三角すい台です。
この問題が不正解の場合は、
面(え)を先に描いて、その後で面(う)を描き加えると、
求める立体が三角すい台だということが気づきやすくなると思います。
面を描く順序によって、描きやすさやわかりやすさが変わることも
知っておくとよいでしょう。
(3)の解き方
今回は面が3つあります。
面が3つありますが、面(え)と面(お)は交わりませんので、
これまでと同じ「2回切断」の問題です。
面(え)と面(お)が長方形AEGCを境に向かい合っていることがわかると
答えが求めやすくなります。
いろいろな切断の最後ということで、
今回は「2回切断」の基本問題について考えました。
次回は、難しい「2回切断」の問題を取り上げてみたいと思います。