第353回 立体図形の苦手克服術 4
「第353回 立体図形の苦手克服術 4」
立体図形の克服について考えています。
今回は切断問題の中から、
図が与えられていない問題について見ていきます。
2017年度 早稲田中 第1回入試問題 より
問題2-(3) 図は1辺の長さが6cmの立体です。この立方体を3つの点A、B、Cを通る平面で切り分けます。点Dを含む方の立体の体積は何cm3ですか。
立体切断の基本問題です。
「切断の3原則」を使って作図しましょう。
点Aと点Bは同じ面(立方体の左側面)の上にある2点ですから、
ABを結びます。
また、点Bと点Cも同じ面(立方体の底面)の上にある2点ですから、
BCを結びます。
しかし、点Aと点Cは同じ面の上にありませんから結ぶことはできません。
そこで原則の2番目「向かい合う平行な面の切り口は平行になる」を利用します。
上の図で、右側の側面の切り口が立方体の辺と交わる点をEとすると、
点Aと点Eは同じ面(立方体の奥の面)の上にある2点ですから、
結ぶことができます。
直線ABと直線CEは平行でしたから、
点Dを含まない立体の方が、体積は求めやすそうです。
図より、三角すいG-ECFの体積が2cm3とわかりますので、
三角すい台ECF-ABHの体積は52cm3、
求める立体の体積は216cm3-52cm3=164cm3です。
この問題は切断された図は与えられていませんでしたが、
「切断の3原則」の
1番目「同じ面の上にある2点を結ぶ」と
2番目「向かい合う平行な面の切り口は平行になる」を用いて
図を描くことができました。
切断の3原則が習得できているかどうかが確認できる基本的な問題ですね。
では次に、
「切断の3原則」の3番目「辺を延長する」を用いる問題をご紹介します。
2017年8月6日実施 浜学園 第533回 公開学力テスト 小6算数 より
問題5 右の図のような1辺の長さが10cmの立方体ABCD-EFGHがあります。BC、EF、DHの真ん中の点をそれぞれM、N、Oとし、立方体ABCD-EFGHを3点M、N、Oを通る平面で2つに切り分けます。このとき、Aを含む立体の体積は何cm3ですか。(一部改題)
与えられた3点は
お互いに
「ねじれの位置(平行でなく、しかも交わらない)」
にある辺の中点なので、
切断面が正六角形になることを
「知識」として知っていれば簡単に解ける問題ですが、
知らないと解くのは少し大変です。
「切断の3原則」の
1番目「同じ面の上にある2点を結ぶ」と
2番目「向かい合う平行な面の切り口は平行になる」を
用いることができませんので、
3番目「辺を延長する」を利用します。
このとき、立方体を真上から見ると次のようになります。
このことから、
切断面(正六角形)の頂点は
すべて立方体の辺の中点を通ることがわかります。
これで作図ができました。
この切断面は立方体の中心を通りますので、
立方体の体積を二等分します。
答え 500cm3
この問題が初めての場合は、
試行錯誤して「おおよその切断面」をいったん描いた後、
切り口(六角形)が立方体の辺の中点を通らないと
うまくいかない(向かい合う面の切り口が平行にならない)ことから図を修正し、
体積を求めることができれば十分です。
また、この問題ができなかった場合でも、
次の図のように点Oを辺CDの真ん中の点に変えた問題で、
「切断の3原則」の3番目「辺を延長する」を用いて作図ができれば、
「切断の3原則」を理解できているといえます。
今回は、切断された図が与えられていない問題について見ました。
このような問題を克服するため、
「切断の3原則」が早く習得できるといいですね。