第352回 立体図形の苦手克服術 3
「第352回 立体図形の苦手克服術 3」
これまで立体図形の克服について考え、
図を描くときには2つのポイント
(1) 立体を見る向きは、真上、真正面、真横、45°回転(時計回り、反時計回り)、斜め上方の6つがある
(2) 位置がわかっている2点を結べたり、垂直や平行な直線を描いたりできる向きを選ぶ
を利用すればよいことがわかりました。
ところで、
2017年度の入試でも「立体の切断」が多くの学校で出題されましたが、
入試問題でもこれらのポイントが通用するのかどうか、
今回はみていこうと思います。
その前に、2017年度に「立体切断」を出題した学校の一部をご紹介します。
(50音順)
【首都圏】
吉祥女子 第1回 問題5
駒場東邦 問題4
栄東 A 問題5
品川女子 第1回 問題3-(2)
渋谷教育学園渋谷 第1回 問題4
渋谷教育学園幕張 1次 問題5
筑波大学附属 問題9
東京都市大附属 第1回 問題5
東京農業大学第一 第1回 問題3-(2)
豊島岡女子 第1回 問題6
西大和 県外 問題1-(8)
広尾 第1回 問題5
早稲田 第1回 問題2-(2)
【関西圏】
大阪星光 問題4(切り欠き水そう)
岡山白陵 問題1-(7)
甲陽 1日目 問題5
四天王寺 問題7
親和 前期 問題5
須磨 第2回 問題4
高槻 A 問題4
東大寺 問題1-(7)
灘 1日目 問題10
灘 2日目 問題3
【その他】
久留米大附設 問題5
ラ・サール 問題5
このように最難関中から中堅校に至る多くの学校が出題することから、
切断問題の攻略はとても大切だと言えそうです。
では2017年度の入試問題から、
今回は「切断された図が与えられている」問題をみていこうと思います。
2017年度 豊島岡女子中 第1回入試問題 より
問題6 下の図のような底面が正六角形で、側面がすべて合同な長方形でできた立体があり、底面積は324cm2、高さは12cmです。この立体の6つの点A、B、C、D、E、Fを結んでできる立体Pを考えます。このとき、次の各問いに答えなさい。ただし、三角すいの体積は (底面積)×(高さ)÷3 で求めることができます。
(1) 立体Pの体積は何cm3ですか。
(2) 底面DEFから高さが4cmのところで底面と平行な面で立体Pを切ったとき、底面DEFを含む立体の体積は何cm3ですか。
かなり正確な図が与えられていますから、
(1)は特別な知識がなくても正解しやすい問題です。
(1)の解答例
(1)と比べて(2)は難度が上がります。
どのような図形になるかの作図が必要だからです。
底面DEFから高さが4cmのところで「立体P」を切断すると、
次のような図になりますが、
この図を描くことはかなり難しいでしょう。
また、この図からは(2)の答えも求めにくくなってしまいます。
削り取って作った立体の切断問題は、
「削られる前の立体」と「削った立体」の2つの立体について
切断された図を描くことが大切なポイントです。
(2)の解答例
今回は2017年度に多く出題された「立体図形の切断」について、
切断された図が与えられた問題を取り上げました。
(1)は問題図から比較的簡単に答えを求めることができましたが、
(2)は自分で図を描く力が求められました。
豊島岡女子中のような難関中では、
問題に切断の図を与えても、
差がつく問題では「自分で図を描く力」が問われます。
今回は、図を描くときの2つのポイント
(1) 立体を見る向きは、真上、真正面、真横、45°回転(時計回り、反時計回り)、斜め上方の6つがある
(2) 位置がわかっている2点を結べたり、垂直や平行な直線を描いたりできる向きを選ぶ
を用いることはありませんでしたが、
新たに
「削られる前の立体」と「削った立体」の2つの立体について
切断された図を描く
という大切なポイントがわかりました。
次回は、切断された図が与えられていない問題を選んで取り組んでいこうと思います。