2017年度中学入試 11 駒場東邦中
「第332回 2017年度中学入試 11」
春休み、学習計画は順調にはかどっているでしょうか。
もし、予定通りに進んでいないようでしたら、
この土日で計画を組み直すといいかもしれません。
春休みは短いですから、
見直した優先順位に従って、課題を攻略しておきたいものです。
特に問題なく順調に過ごせているようでしたら、
今回も2017年度の中学入試問題をご紹介しますので、
時間を作ってチャレンジしてみて下さい。
ご紹介する学校は、首都圏男子最難関中の1校、駒場東邦中です。
今年度は比較的取り組みやすい問題が多く出題されたためでしょう、
受験者平均は30.1点(満点:120点)、合格者平均も26.0点アップしました。
では早速、1問目です。
大問1-(1) 次の空欄にあてはまる数を求めなさい。
6年生で、塾のテストの計算問題で失点しているときは、
計算の工夫をこの問題で練習してみましょう。
<計算の工夫>
(1)小数→分数、分数→小数を使い分ける。
(2)式の状態で計算する。
(3)ある程度処理ができたら、もう一度、計算式の形に直す。
(解答例)
続いて2問目です。
大問2-(2) 図2のような台形ABCDがあります。この台形を図3のように直線ア上をすべらないように転がし、点Aが再び直線ア上に来たら止まるものとします。
このとき、頂点AはA→A1→A2→A3と動きます。点Aが動いている線イを解答用紙の図にコンパスを用いてかきなさい。また、次のものを求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。
①線イの長さ
②線イと直線アによって囲まれる部分の面積
前回ご紹介しました雙葉中でも出題されましたが、
「コンパスを用いて(正確に)かきなさい」という作図の問題です。
転がり移動は「回転の中心が移り変わる回転移動」ですから、
回転の中心をまちがえずに作図できているかを確認しましょう。
① 図2の台形は
「3:4:5(前問で求められるように作問されています)」の直角三角形と
直角二等辺三角形が組み合わさってできています。
ですから、
弧ウ~エの半径の長さと中心角の大きさは、次のとおりとわかります。
「エの中心角が何度かわかりにくい・・・」という場合は、
台形が点Cを中心に何度回転しているかを考えるようにしましょう。
(辺CDに着目するといいですよ。)
② ①が正解できれば、②は簡単です。
最後に、もう1問ご紹介します。
大問3 次のように、分子が1以上434以下の整数で、分母が435である分数を小さい順にならべたものを考えます。
(1)それ以上約分できない分数のことを既約分数といいます。次の分数を既約分数で表しなさい。
(2)既約分数は全部でいくつあるか答えなさい。
(3)既約分数ではない分数が最も長く続く並びを全て求めなさい。ただし、約分はしないで、
「」のように答えなさい。
数の性質の問題です。
6年生は2月から始まった新学年の授業で、
ちょうど学んだところではないでしょうか。
どのレベルまで身についているか腕試しです。
(1)は計算の工夫とも関係がある問題です。
①は一の位の数が「5」ですから、5で約分できることがわかります。
②も同じように考えますが、
「何で約分できるか見つけにくい」という場合は、
「分子と分母の差の約数で約分ができる」という方法を思い出して下さい。
(2) これも素因数分解を利用した定番の問題です。
(1)が正解できれば基本レベル、
(2)まで正解できれば中級レベルまで
OKといえるでしょう。
(3) 少し調べてみます。
この表の赤枠部分に着目すると、
「4」や「11」の位置に「29の倍数」があれば、
連続して4つ並びそうです。
そこで
「3の倍数→29の倍数→5の倍数→3の倍数」
または
「3の倍数→5の倍数→29の倍数→3の倍数」を探します。
29にかける数の一の位の数が1、4、6、9のときに、
積の一の位の数が9、6、4、1となり、
一の位の数が0、5である5の倍数と連続します。
29×1 → ×、29、30、×
29×4 → 114、115、116、117
29×6 → ×、174、175、×、
29×9 → ×、260、261、×
29×11 → 318、319、320、321
29×14 → ×、405、406、×
以上から、が答えです。
(3)は「カン」でも構わないと思います。
ただし、答え合わせのときに、
正しい理由を確認するようにしましょう。
一番頻繁に出てくる3の倍数が「○××○」のようになっていることから、
間の「××」に5や29の倍数が入れば…
と思えるようになれば最高です。
冒頭でも述べましたように、
2017年度の駒場東邦中の入試問題は、
例年と異なり、比較的取り組みやすい問題が多く出題されました。
今回ご紹介しなかった問題も6年生で十分に挑戦できると思います。
また、大問1-(4)は、
大学の入試改革やアクティブ・ラーニングを
意識したものと思われますので、
これもチャレンジしてみる価値がある問題だと思います。
いずれにせよ、短い春休みの時間を上手く使えるといいですね。