苦手の克服 相似2
「第301回 苦手の克服 相似2」
今回も、相似を中心とした、「辺の比と面積比」について、
苦手の克服を考えていこうと思います。
前回同様、
「相似が2組ある問題」「相似とそれ以外の融合問題」「相似を完成させる問題」など、
いわゆる「相似の応用」問題を題材に見ていきます。
前回ご紹介した問題は、四谷大塚の9月実施の合不合判定テストからでしたが、
今回はサピックスで8月に実施されるマンスリー実力テストからの問題です。
2014年8月度 サピックス マンスリー実力テスト 6年 算数より
大問6 下の図の平行四辺形ABCDの面積は160cm2です。また、三角形AECの面積は32cm2、三角形FBEの面積は30cm2です。次の問いに答えなさい。
(1)BE:ECを最も簡単な整数の比で求めなさい。
(2)DF:FCを最も簡単な整数の比で求めなさい。
(3)四角形AGFDの面積を求めなさい。
前回ご紹介した問題よりも「線が増え」て、やや複雑そうになりました。
この問題でも、前回の「小問ごとに図を書く」というテクニックが通用するのかどうか、
試してみましょう。
この手順に従い、(1)の問題を解くために、
「1.平行四辺形ABCDを書く」
「2.(1)の問題文中にでてくる点Eを書く」
という順で図を書いていきます。
図は書けましたが、これだけでBE:ECを求めることはできません。
そこで、問題文中から「点Eに関する情報」を探します。
文中からは
「三角形AECの面積は32cm2」
「三角形FBEの面積は30cm2」
の2つが見つかります。
どちらにも「E」はふくまれていますが、
「点Fの追加が必要ではない」三角形AECを利用することにします。
この図を見ると、「等高三角形の面積比=底辺比」ということに気づけます。
図から、BE:CE=48:32=3:2 が求められます。
(2)も(1)と同じく、位置のわからないFについての問題です。
(1)と同じように「点Fの位置は『仮』で書く」ようにします。
この図を見ると、三角形FECの面積が20cm2と求められることに気づけます。
「高さの等しいとなりあう三角形は面積をたす」
のが「等高図形」の問題を解くときのひとつの方法です。
たしても解けないことはありますが、
「まずは、たしてみる(試す)」ことを覚えておきましょう。
この図を見ると(1)と同じパターンになっていることがわかります。
図から、DF:FC=30:50=3:5 が求められます。
(3)も「小問ごとに図を書く」というテクニックを使って、
「1.平行四辺形ABCDを書く」
「2.点E、Fを書く」
「3.問題文中にある点Gを書く」
という順で図を書いてみます。
今度は「砂時計型相似」が目につきます。
相似形の面積比=(相似比)2です。
あるいは「台形ペケポン」を利用すると、次のような面積比がわかります。
平行四辺形の面積の1/2が80cm2ですから、
80cm2×79/104=790/13cm2=60 10/13cm2 とわかります。
今回の問題は「等高図形」と「相似」が融合した問題でした。
しかし、前回同様に「小問ごとに図を書く」というテクニックを用いると、
1問1問が基本的な練習問題の図になっていることがわかり、
どの問題も特別な解法を用いることなく、
基本レベルで解くことができました。
このように見てきますと、
「相似が2組ある問題」「相似とそれ以外の融合問題」「相似を完成させる問題」など、
「相似の応用」とよばれる問題も、
「小問ごとに図を書く」というテクニックと、
「等高三角形の面積比=底辺比」や「台形ペケポン」のような、
基本問題を解く力があれば、
「相似の応用」を安定して解くことができそうです。
前回、今回と夏から秋にかけて行われる塾の実力テストを題材にしましたが、
次回以降はもう少しレベルが高いと言われている「オープン」のようなテストや、
実際の入試問題でもこれらの方法が通用するのかを見ていこうと思います。