苦手の克服 速さ8
「第297回 苦手の克服 速さ8」
「速さ」の苦手克服のため、
これまで「ダイヤグラム解法」の2つの着目点(相似・山&谷)について触れました。
今回はダイヤグラムの着目点の3つ目「平行四辺形」について見ていきます。
まずは基本レベルの問題をご紹介します。
日能研 本科教室ステージⅣ 速さと比Ⅰより
大問14 A地点からB地点まで、うさぎとかめが競争しました。1分間にうさぎが30m進む間に、かめは5mしか進みません。ところが、うさぎが途中で3時間昼寝をしたために、かめが先に着き、うさぎは20分遅れて着きました。A地点からB地点までは何mですか。(東京家政大附)
グラフを書こうとすると
「うさぎがどこで昼寝をしたかがわからない」
ので手が止まってしまうことがあるかも知れません。
そのようなときは
「一旦適当なところで昼寝をしたものとし、上手くいかなかったら修正」
という取り組み方を覚えるようにします。
ここで「もし休まなかったら」と仮定してみます。
すると、グラフ中に「山あり谷あり」と「平行四辺形」があることに気づけます。
平行四辺形は向かい合う辺の長さが同じですから・・・
グラフから⑤=2時間40分なので、
①=32分 30m/分×32分=960m が答えとわかります。
ダイヤグラム解法の着目点の3つ目「平行四辺形」は、
この問題のように「もし休まなかったら」と仮定することです。
これの派生に「休憩は最初か最後に仮定する」があります。
こちらが使える問題であれば、
上記のようにグラフを簡単に書くことができます。
次の問題はどうでしょう。
2009年度 ラ・サール中 入試問題 算数より
大問3 A君は午前9時にP地を出発し、一定の速さでQ地に向かいます。途中R地で6分間休みましたが、その後。前と同じ速さで歩き、午前10時42分にQ地に到着しました。一方、B君は午前9時13分にP地を出発し、一定の速さでQ地に向かいます。B君はA君が休み始めたときにR地でA君を追い越し、午前10時25分にQ地に到着しました。次の問に答えなさい。
(1)PR間とRQ間の道のりの比を最も簡単な整数の比で表しなさい。
(2)B君がA君を追い越した時刻を求めなさい。
早速ダイヤグラムを書いていきます。
ダイヤグラムは
「時刻の目盛りを打つ→直線で結ぶ」
というルール通りに書いていきます。
途中で休まないB君から先に書き・・・
A君の休み始めとB君のグラフが交わるように書いていきます。
先ほど同様、「もし休まなければ」と仮定してみると・・・
となり、
平行四辺形と砂時計型の相似が見つかります。
下の三角形の底辺:上の三角形の底辺=13分:11分ですから、
PR:PQ=13:11です。
(1)がわかれば(2)は簡単です。
A君を利用した場合ですと、
上図のように96分×13/24=52分より、
午前9時52分を求めることができます。
ダイヤグラム解法の3つ目の着目点「平行四辺形」は、
この2問のように、
「相似」や「山あり谷あり」など他の着目点と
セットになって使われることが多いです。
ですから、着目点の1つ目から3つ目まで、
どれをマスターしそびれてもうまくありません。
まずは単独で使われやすい「相似」や「山あり谷あり」を、
次に「平行四辺形」を順に習得していきましょう。
次回は4つ目の着目点、「二等辺三角形」について考えていく予定です。