苦手の克服 速さ5
「第294回 苦手の克服 速さ5」
「速さ」の「ダイヤグラム解法」について見ています。
前回は、「ダイヤグラムを書く手順」について考えました。
「ダイヤグラム解法」は「時間条件」を利用して解く方法ですから、
グラフを書く場合、
(1)横軸に時間や時刻を書き込み
(2)その目盛りを結んでいく
が基本の手順です。
そこで今回は書き上げたダイヤグラムの
どの部分に着目するのか
について取り組んでいきます。
ダイヤグラムの基本的な着目点は、以下の5つです。
今回はこのうちの、「相似(基本)」について見ていきます。
はじめにご紹介する問題は、速さと比の典型問題のひとつです。
線分図解法、ダイヤグラム解法のいずれでも解くことができますので、
基礎の確認として取り組んでみることもできます。
2016年度 雙葉中 入試問題 算数より
大問1-(3) A地点からB地点までは3.6kmです。花子さんは毎分240m、太郎さんは毎分400mの速さで進みます。花子さんはA地点を出発し、B地点に着くとすぐにA地点に引き返します。太郎さんは、花子さんが出発した12分後にA地点を出発し、B地点に向かいます。2人はA地点から( )kmのところで初めて出会います。
距離条件が1つ(3.6km)、時間条件が1つ(12分後)ですから、
線分図、ダイヤグラムのいずれを選んでもOKですが、
今回は「相似」について考えていますので、
まずはダイヤグラムで解いていきます。
前回見ましたように、
「時間条件を書き込む→直線で結ぶ」
とグラフができます。
グラフが書けたら、
「利用できる相似がないかな」
と考え、
相似が見つかれば、
「相似から何がわかるか」
を考えるようにします。
ちなみに線分図解法ですと、次のようになります。
もう1問ご紹介しましょう。
この問題は、グラフの書き方と相似の発見について、
現時点での技量をチェックすることができる問題です。
2014年度 愛光中 入試問題 算数より
大問3-(1) 下の図のように、A駅とB駅とC地点があり、A駅からC地点までの距離とC地点からB駅までの距離の比は5:2です。2台のバスがA駅とB駅の間の往復をくり返しており、1台はA駅から、もう1台はB駅からいつも同時に出発します。2台のバスは、A駅とB駅の間を7分で走り、駅に着くたびに一定時間停車します。太郎君はバスが出発するのと同時にA駅を出発し、C地点まで30分かけて走りました。その途中、太郎君の横をバスが1回通り、太郎君がちょうどC地点に着いたとき再び太郎君の横をバスが通りました。ただし、バスが駅で停車している時間の長さは毎回同じで、太郎君の走る速さとバスの速さは一定です。
(1)太郎君の走る速さとバスの速さの比をもっとも簡単な整数の比で答えなさい。
(小問(2)以下省略)
先ほどと同様に、
「時間条件を書き込む→直線で結ぶ」
とグラフができますので、
そのグラフの中にある「ピラミッド型相似」を見つけて利用します。
この問題に上記以外にも正しい解き方がありますので、
「〇〇以外の解き方はまちがい」とあきらめす、
「あっているかも?」と思ったときは周りの人に聞いてみてください。
今回はダイヤグラムの着目点の1回目として、
「相似(基本)」について見てきました。
次回は「相似(上級)」の予定です。