苦手の克服 速さ2
「第290回 苦手の克服 速さ2」
前回から、「苦手の克服 速さ」に取り組んでいます。
その第1回目の前回は、第1段階として、
(1) 問題の条件と求めるものが何かを把握しているか・・・条件整理
(2) 速さの3公式や比などの使い方が正しいか・・・解法技術
ついて考えてみました。
そこで、今回は第2段階として、
「線分図解法の使い方」について見ていこうと思います。
書き上げた線分図を「感覚的に解く」のではなく、
「手順を踏んで解く」
「〇〇だから☆☆に着目して解く」
ということができているかどうかをチェックしてみてください。
サピックスオープン5年 算数 2014年9月実施より
大問5 太郎君は8時ちょうどにA地点を出発して一定の速さでB地点まで歩きました。次郎君は8時5分に自転車でB地点を出発して、分速240mでA地点まで行き、そのまま休むことなくB地点に引き返しました。2人はA地点から960mのところではじめて出会い、その12分後に次郎君は太郎君に追いつき、先にB地点に着きました。次の問いに答えなさい。
(1)太郎君の速さは分速何mですか。
(2)A地点からB地点までの距離は何mですか。
線分図解法は、
「同時マークの区間に着目する」→「→に距離や距離の比を書き込む」
という流れで解きます。
そこで、問題文の
「太郎君は8時ちょうど~A地点から960mのところではじめて出会い」
までの線分図を書いて、
「→に距離や距離の比を書き込む」ことができるかどうかを考えます。
次に、
「その12分後に~B地点に着きました」まで線分図を書いて、
「→に距離や距離の比を書き込む」ことができるかどうかを考えます。
これが「手順を踏んで解く」という意味です。
【解答例】
(2)は、960m÷80m/分=12分より、
8時12分に2人が出会ったことが分かりますので、
960m+240m/分×7分=2640m が、(2)の答えです。
では次に、もう少し手順の多い問題を見てみます。
浜学園 小5志望校判定模試 算数Ⅱ 2015年9月実施より
大問6 3200mはなれたA君の家とB君の家を結ぶ1本のまっすぐな道があります。A君は午前8時にB君の家に向けて分速80mで歩きはじめ、B君は午前7時55分にA君の家に向けて分速Xmで歩きはじめました。2人は午前8時15分にP地点で出会い、5分間その場でおしゃべりをしました。その後、2人はそれぞれ自分の家に向かってもとの速さで歩きはじめましたが、B君はA君に渡すはずのものを渡し忘れていたので、Q地点で方向をかえて分速140mでA君を追いかけて進んだところ、午前8時28分にR地点で追いつきました、次の問いに答えなさい。
(1)Xにあてはまる数を求めなさい。
(2)A君の家とR地点の距離は何mですか。
(3)P地点とQ地点の距離は何mですか。
前問よりも2人の動きは複雑ですが、
線分図解法の基本に従い、
「手順を踏んで解く」ことから始めます。
具体的には、
「事件(着く・出会う・追いつく・速さを変える)が発生」するところまで線分図を書き、
一旦手を止めて
「わかることはないかな?」と考えながら、
解き進めていきます。
【解答例】
上記より、
(1) 100
(2) 1200m-640m=560m
(3) 100m/分×2分=200m
とわかります。
(3)では「→に距離や距離の比を書き込む」の次の段階である、
「→だけ・2つの→の和・2つの→の差に着目する」
が理解できているかをチェックすることができます。
今回は、線分図解法の使い方について、
(1)手順を踏んで解く
線分図は「事件(着く・出会う・追いつく・速さを変える)が発生」するところまで書き、
一旦手を止めて「わかることはないかな?」と考える
(2)線分図の着目点
「同時マークの区間に着目する」
→「→に距離や距離の比を書き込む」
→「→だけ・2つの→の和・2つの→の差に着目する」
という2つのポイントがおさえられているかどうかを確認しました。
次回は「速さと比」の問題と線分図の関係について考えてみようと思います。