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2016年度中学入試 駒場東邦中・六甲中

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中学入試の算数問題 2016年03月12日18時00分

第278回 「平成28年度 私立中学入試 駒場東邦中・六甲中」


前回は2016年度の中学入試から、
首都圏の浦和明の星女子中と関西圏の洛南高校附属中の問題をご紹介しました。


今回は、首都圏の駒場東邦中、関西圏の六甲中で出題された問題をご紹介いたします。


駒場東邦中の入学試験は2月1日で、開成中・麻布中・武蔵中などと同じ日に実施されます。


試験は60分、120点満点で、
今年度の受験者平均は58.3点、合格者平均は72.6点と、
昨年度の受験者平均68.8点、合格者平均79.76点と比べると、やや難化しました。


その駒場東邦中の入試問題からご紹介するのは、大問1-(1)と(3)です。


解法知識の定着とその理解度の深さを測ることができますので、
新6年生は挑戦してみましょう。




平成28年度 駒場東邦中学 入学試験問題 算数 より 

大問1-(1) 次の空らんにあてはまる数を答えなさい。2016の約数を考えます。約数は全部で(  )個あり、そのうち偶数は(  )個あります。次に、約数を小さいものから順に並べて、1番目から31番目までをすべてたすと(  )になり、約数をすべてたすと(  )になります。また、約数をすべてかけた数は、2で(  )回割り切れ、3で(  )回割り切れ、7で(  )回割り切れるので、2016で割ると(  )回割り切れます。(一部改題)








前半は約数の個数の解法知識についての問題です。


2016を素因数分解しますと、2016=2
5×32×7ですから、
約数の個数は(5+1)×(2+1)×(1+1)=36個です。


そのうち「奇数(「×2」を含まない)」は、
3
2×7より(2+1)×(1+1)=6個ですから、
「偶数」は30個です。


また約数をすべてたすと、
(1+2+4+8+16+32)×(1+3+9)×(1+7)=6552ですから、
これから大きい順に5個の約数(2016、1008、672、504、336)を除くと、
1番目から31番目までの和が6552-4536=2016とわかります。

答え (順に)36、30、2016、6552


解法知識があれば短時間で正解を求めることができますが、
「書き出し」しかできないと、かなりの時間をここで使ってしまうことになります。


問題の後半は、問題文を少し読み替えると解きやすくなります。


約数のうち、
2×1、2×3、2×3
2、2×7、2×3×7、2×32×7は
すべて2で1回だけ割り切ることができ、
2
2×1、22×3、22×32、22×7、22×3×7、22×32×7は
すべて2で2回だけ割り切ることができ、

2
5×1、25×3、25×32、25×7、25×3×7、25×32×7は
すべて2で5回だけ割り切ることができますから、
2で割りきれる回数は
(1+2+3+4+5)×(「×2」を含まない約数)=15×(2+1)×(1+1)=90回
とわかります。


問題前半の「×2」を含まない約数の求め方が誘導になっている問題です。


このことがわかれば、3や7で割り切れる回数はそれぞれ、
(1+2)×(5+1)×(1+1)=36回、1×(5+1)×(2+1)=18回とわかります。


2016=2
5×32×7でしたから、
「2016で1回割る=2で5回割り、3で2回割り、7で1回割る」とわかり、
90回÷5回=18回、36回÷2回=18回より、
2016で割り切れる回数は18回と求められます。




続けて(3)です。

大問1-(3) 正確な時計Aと、1時間あたり12分おくれる時計Bがあります。いま、2つの時計はともに12時を指しています。2つの時計の長針と短針のつくる角度が次に等しくなるとき,時計Aは何時何分何秒を指していますか。ただし、秒の値は分数で答えなさい。








時計算の問題です。


この問題も
「□時☆分に長針と短針のつくる角=30度×□と5.5度×☆の差」
という公式だけを覚えていても、正解しにくいでしょう。


時計算は「絵を書いて考える」と解きやすい問題です。

20160309173610.jpg

問題の条件を絵に書いて整理すると、混乱せずに問題を解くことができます。



難関中学の場合は公式を覚えているだけで解ける問題が少ないですから、
どの公式を使うことができるかを判断するための絵や図が書けるようになることや、
解法が成立する理由を理解しておくことを
夏までの勉強でたくさんできるといいですね。




次にご紹介するのは六甲中です。


六甲学院六甲中学は、
学校法人「上智学院」「栄光学園」「広島学院」「泰星学園」と合併し、
今春より上智学院六甲中学校となりますが、上智大学の付属校ではなく、
これまで以上に連携し合っていくとの内容が発表されています。


その六甲中の入学試験は60分、150点満点で、
今年度の受験者平均は59.1点、合格者平均は73.8点でした。


ご紹介するのは、大問5です。


正六角形の復習にぴったりの1問です。




平成28年度 六甲中学 入学試験問題 算数 より 

20160309173640.jpg大問5 図のように1辺が8cmの正六角形ABCDEFの辺上に点P、Q、R、S、Tがあり、APの長さは3cmです。点Pと点Q、R、S、Tをそれぞれ結ぶと、正六角形の面積が5等分されました。 RS、TEの長さはそれぞれ何cmですか。








図形の問題を解くときは
「設問に書かれた記号だけ」を取り出し、
たりなければ他の点や線を加えていくようにします。


問題の前半は「RS」の長さですから、次のような図になります。

20160309173702.jpg

問題に必要なところだけを取り出してみると、
正六角形の向かい合う辺が平行になっていることを利用して解く、
定番問題であることがわかりやすくなります。


後半も同様にしてみましょう。

20160309174623.jpg

後半も問題に必要なところだけを図にしてみると、
こちらも正六角形に正三角形をつけたし、隣辺比を利用して解く、
定番問題であることがすぐにわかります。




六甲中のように問題数が多い(大問数9)入試では、
この大問5のような定番問題と、
大問9(3つの踏切を通過する電車の問題)のように
条件の整理、条件の理解と視覚化を必要とする
思考力形の問題が出題されやすくなります。


定番の問題は受験者平均をクリアするために正解が必要な問題ですから、
このような問題を通して、
新6年生は自分の解法知識をどんどん確認できていけるといいですね。


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中学入試の算数問題 2016年03月12日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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