小5の学習ポイント7 速さに関する問題
「第269回 小5の学習ポイント 速さに関する問題」
いよいよ今日から関西圏の中学入試が解禁となります。
受験生が持てる力をすべて発揮できることを願っています。
2016年度入試は今日からですから、
その入試問題については、
次回よりご紹介していきたいと考えています。
そこで今回は1年後に入試をむかえる5年生が、
ここまで学んできた速さに関する問題について、
サピックス第37回の「デイリーサポート(過年度版)」を題材にして
見ていきたいと思います。
「第37回 速さに関する問題」の学習ポイント
今回の学習は、5年生の最終回として、
これまでに学んだ速さの総仕上げとなっています。
(1) 速さのつるかめ算(面積図解法)
(2) 平均の速さ
(3) 池タイプの旅人算
(4) 速さの線分図解法
(5) 速さと比の関係
(6) 速さのダイヤグラム解法(※テキストの解説にはありません)
(7) 流水算
(8) 総合問題
全部で8種20問ですから、今回も結構大変です。
夏休み明けの第22回以降で学んだ
「旅人算」「流水算」「速さと比の関係」の理解が不十分な場合は、
事前に復習をして授業に臨む方がよいかも知れません。
「第37回 デイリーサポート 速さに関する問題」…重要なポイントを含む問題(抜粋)
【B問題-2】
(1) 公園のまわりを1周するのに、Aは10分、Bは15分かかります。2人が同時に同所から反対の方向に進むと、何分で最初に出会いますか。
(2) 池の周囲を回るのにAさんは36分、Bさんは48分かかります。2人が同時に同じ方向に向かって歩き出してから最初にAさんがBさんを追いこすのは、何分後になりますか。
【(1)の基本的な解き方】
この問題で手が止まってしまう原因は、
(1)(2)ともに、公園の周りの長さや池の周囲の長さなど「距離の条件がない」ため、
「距離÷時間=速さ」などの公式による計算ができないからです。
「距離=1または時間の最小公倍数」として解く方法を、
今回の学習を通して身につけるようにしましょう。
(1) 公園の周囲=㉚とすると、
㉚÷10=③…Aの分速 ㉚÷15=②…Bの分速 となりますから、
㉚÷(③+②)=6分後 とわかります。
【(1)のダイヤグラムを利用した解き方】
※同じダイヤグラムを利用した別解もあります。
「時間条件が多い → ダイヤグラムに整理」という考え方を利用すると、
距離を仮定するよりも簡単な計算で問題を解くことができました。
【(1)の工夫をした解き方】
この考え方を利用すると(2)も簡単に解くことができます。
「基本的な考え方」は旅人算の考え方を「あてはめただけ」の解き方ですが、
「工夫した解き方」は、周回コースで出会うことや追いつくことの意味を考えた解き方です。
このような考え方は、最難関中の入試問題などを解くときに役立ちますから、
「基本の解き方」ができているときは、
ワンランク上の解き方にチャレンジしていけるといいですね。
【E問題-3】
ある川の上流から下流にそってA、B、Cの順に3つの船着き場があります。AとCは120km離れています。この区間を定期船が通っており、この船の下るときの速さは上るときの速さの1.5倍です。Cから定期船に乗り、Bで快速船に乗りかえてAに到着したため、この所要時間は、定期船でAからCに下る所要時間と同じでした。川の流れは時速4kmで、静水時における定期船と快速船の速さは一定でその比は1:2です。次の問いに答えなさい。(ただし、定期船から快速船への乗りかえ時間は考えません。)
(1) 定期船でAからCに下る所要時間は何時間ですか。
(2) 快速船に乗っていた距離ABは何kmですか。
一見、複雑そうに見える問題ですが、実は伏線があります。前ページの問題2です。
【D問題-2】
ある川にそって、24kmはなれたA、B 2つの町があります。このAB間を往復する船の上りにかかる時間は、下りにかかる時間の1.5倍です。この船の静水での速さが毎時5kmのとき、AB間を往復するのに何時間かかりますか。
もう一度、E問題-3を見てみると、
「ある川の上流から下流にそってA、B、Cの順に3つの船着き場があります。
AとCは120km離れています。この区間を定期船が通っており、
この船の下るときの速さは上るときの速さの1.5倍です。
Cから定期船に乗り、Bで快速船に乗りかえてAに到着したため、
この所要時間は、定期船でAからCに下る所要時間と同じでした。
川の流れは時速4kmで、静水時における定期船と快速船の速さは一定でその比は1:2です。」
のように、下線部__の条件の与え方が全く同じです。
つまり、今回のE問題-3は
「前ページにあるD問題-2で学んだことが使えますか?」
というものです。
E問題-3は、
「難しい問題も基本問題を組み合わせたもの」
であることを学ぶ絶好の機会ですから、
D問題-2が正解できた場合は、ぜひ取り組んでみましょう。
【解き方】
(1) D問題-2の解き方をそのまま利用します。
これより、下りの速さ=24km/時とわかりますので、
下りにかかる時間は120km÷24km/時=5時間です。
(2) 流水算の問題は、
(1)の「上り・静水時・下り・流速」の線分図と、
下のような問題条件を見やすくした線分図の2つを利用すると、
時間を無駄にすることなく解くことができます。
上の図から、(2)はA問題と同じ「速さのつるかめ算」だとわかります。
(1)より、定期船の静水時の速さは20km/時とわかりますから、
快速船の静水時の速さは40km/時で、上りの速さは36km/時です。
(120km-16km/時×5時間)÷(36km/時-16km/時)=2時間 … 快速船に乗っていた時間
36km/時×2時間=72km … (2)の答え
「第37回 速さに関する問題」は、
基本の解き方である、速さの3公式と面積図解法、線分図解法、速さと比の関係 が
中心になると思われますが、
ダイヤグラム解法や線分図の応用などに触れる機会でもあります。
線分図解法は「距離条件」、
ダイヤグラム解法は「時間条件」の問題に、
それぞれ適した解法です。
6年生になって行われる「組分けテスト」「サピックスオープン」のことを考えると、
ダイヤグラム解法も早めに習得しておくとよいと思います。