2016年度中学入試問題と5年生の思考力
「第268回 小5の学習ポイント 読み取る力 ~2016年度中学入試問題と5年生の思考力~」
首都圏では1月校受験が始まり、
また関西圏では前受け校受験が今日でほぼ一段落し、
いよいよ16日の関西エリア中学入試解禁日に向かっていきます。
そこで今回は、2016年度の入試問題を用いながら、
5年生のうちに取り組める「読み取る力」について考えます。
「読み取る力」は、
これまで見てきました「考える力」を使う前に、
「整理する力」と合わせて使う力です。
難しい問題は
「読み取る+整理する→考える」
という流れで解いていくからです。
「何を答える問題なのか」
「どのような条件が与えられているのか」
といった表面的なこと以外に、
隠された(?)ヒントを自分なりに発見することができれば、
整理方法も定まり、考えやすくなります。
今回ご紹介する岡山白陵中学の入試問題(2016年1月5日実施)は、
5年生でもチャレンジができると思います。
ぜひ思考力アップに利用してみてください。
2016年度 岡山白陵中 入試問題 算数より
大問4 10人の小学6年生に国語、算数、理科が好きかどうかを聞いたところ、それぞれの教科について5人ずつが好きと答え、そのうち3教科とも好きと答えたのは2人でした。このとき、次の各問いに答えなさい。(解答用紙には、答えのみを書きなさい)
(1) 国語と算数が好きで理科が好きではないと答えた人が1人、算数と理科が好きで国語が好きではないと答えた人が2人、理科と国語が好きで算数が好きではないと答えた人が0人だったとき、どの教科も好きではないと答えた人は何人ですか。
(2) 国語と算数が好きで理科が好きではないと答えた人が1人、算数と理科が好きで国語が好きではないと答えた人が1人だったとき、理科と国語が好きで算数が好きではないと答えた人の数として考えられる数をすべて答えなさい。
(3) 国語と算数が好きで理科が好きではないと答えた人の人数と、算数と理科が好きで国語が好き
ではないと答えた人の人数と、理科と国語が好きで算数が好きではないと答えた人の数の組合せは何通りありますか。
集合算の問題です。
国語、算数、理科の3つについて分類しなければいけませんから、
ベン図を書いて解く問題だと見当がつきます。
(1) 問題の条件をベン図に整理していきます。
図より、10人-8人=2人 と答えが求められます。
(2) やはり問題の条件をベン図に整理していきます。
上図のア~エについて調べると、右上のような表のように3通りと、答えが求められます。
本問は、
(1)は順々に数値を書き込んでいくと「1本道」で答えにたどり着き、
(2)は簡単な「場合分け」を必要とする問題ですから、
これまで見てきました思考力アップ問題と同様に、
小問(1)で問題の条件やルールを確認し、
少し難しめの小問(2)という問題構成となっています。
ですから、(3)は(1)(2)を利用した「誘導」がありそうだ
ということを頭の片隅に置きながら、
条件を整理することからはじめます。
(3)
3問ともベン図に整理すると、
わかっている条件が少しずつ減ってきていることに気づきます。
しかも、アの数値は(1)(2)とも同じでしたから、
例えば、
「ア=1人として、イの値を順に変えて調べていく」
といった解き方をする問題だと、読み取れます。
さらに、「対称性」を利用すれば、
ア≧イ≧ウの場合だけを調べて、
その後で並び替えをすればよいので、
より短時間で調べることが可能になります。
以上より、
(3、0、0)、(2、1、1)、(2、1、0)、(2、0、0)、(1、1、1)、(1、1、0)(1、0、0)
の7つの組がみつかりましたので、
最後に(ア、イ、ウ)で並べ変えをします。
(3、0、0)…3通り
(2、1、1)…3通り
(2、1、0)…6通り
(2、0、0)…3通り
(1、1、1)…1通り
(1、1、0)…3通り
(1、0、0)…3通り 合計22通り
思考力アップ問題は、
「基本問題や定番問題を解く力」がいつでも正しく使えるからこそ、
「読み取る力」「整理する力」「考える力」を合わせることで
正解にたどり着くことができる問題です。
本問の場合、(1)(2)からの誘導を読み取れても、
「組み合わせを見つける→並べ変える」という定番問題を解くときに使う力が弱ければ
時間がかかったり、正解できなかったりします。
難関上位校の合格には思考力問題を正解できる力が必要です。
新6年生の場合、
この冬から夏休みが始まるまでに、
「基本問題や定番問題を解く力」→「読み取る力」「整理する力」「考える力」の順に強化を図り、
夏期講習では応用問題にどんどんと取り組めるレベルになれるといいですね。