考える力(思考力)を強化しませんか
「第266回 小5の学習ポイント 考える力」
いろいろな塾で冬期講習がスタートしています。
6年生は受験校対策が中心ですが、
5年生は復習であったり、先取であったり、
塾によって異なると思います。
ただ、学校の冬休みが短いこともあって、
算数の学習機会は3~4回です。
そのため、復習であれ先取であれ、
「いいとこ取り」的な学習になりがちです。
ですから冬休みにこれまでの復習をと考えていた場合は、
冬期講習で扱われない弱点分野を家庭学習で補うことが必要です。
冬期講習カリキュラムを確認して、
大晦日から三箇日にかけてのお休み期間を
計画的に活用できるといいですね。
一方、「先取学習」と聞くと知識や解法かなと思いがちですが、
その他に
「順序よく調べる」
「整理して調べる」
「問題の意味を考える」
という、取り組み方に関するものもあります。
塾の平常の授業では
限られた時間内にカリキュラムをこなさなければなりませんから、
扱われる機会が少ないこともあるでしょう。
冬休みのように比較的時間の調整がしやすいときに、
ご家庭で取り組んでみてもよいと思います。
そこで今回は、「思考力アップ」問題をご紹介していきます。
サピックス冬期講習教材(過年度版)より
問題 インドネシアのお金の単位はルピアで、1ドル=1640ルピアであるとします。(だだし、答えは(1)、(2)は小数点以下を四捨五入して求め、(3)は四捨五入して小数第1位まで求めなさい。)
(1) 今、1ドル=130円とすると、20000ルピアは何円ですか。
(2) 1ドル=120円と円高になると、20000ルピアは何円に相当しますか。
(3) 円高で、1ドルが130円から120円になったとすると、インドネシアにおいて1000円で買物をする場合、同じ品物を何%よけいに買うことができるでしょうか。
為替レートに関する問題です。
為替レートに関する問題は単純な計算問題のようにも見えますが、
「2009年 開成中 大問2」のように非常に難しい問題も出題されます。
まずは本問で「為替レート」になれるようにしてみましょう。
(考え方)
(1) 思考力を鍛えたい場合はすぐに計算をはじめず、
まずは条件を整理してみます。
すると次のような2つの解き方に気がつけます。
どちらでも、自分が気づいた方法でOKです。
その後、もう一方の考え方も使えるようにしておくと、
問題に応じて計算しやすい方法を
選ぶことができるようになります。
(2) こちらも条件を整理します。
すると(1)と同じ解き方が使えることがわかります。
しかし、ここでは問題文中にある「円高」という言葉に着目して、
これを用いる方法を考えます。
小学生が為替レートの問題を難しく感じる1つの理由が、
この「円高・円安」という言葉にあります。
大人は新聞やテレビニュースなどで聞き慣れた言葉ですが、
小学生にはピンときません。
例えば次のような説明をしてあげてみてください。
昨日は1ドルで、1円玉まんじゅうが130個買えたんだけれど、
今日は120個しか買えなかったんだ。
ということは、1円玉まんじゅうは値上げしたのかな?
それとも値下げしたのかな?
答えは「値上げ」です。
このことを整理してみます。
5年生で学んだ「比」を利用すると、
「円高=1円の価値が高くなること」ということも理解しやすくなります。
(2)の別解
(1)で約1585円で1ルピアまんじゅうを20000個買えることがわかりました。
1ドル=120円になって1円の価値が高くなりましたから、
1ドル=130円のときよりも「少ないお金でルピアまんじゅうを同じ個数」を買うことができます。
このようにして、
「円高=1円の価値が上がる=同じ個数を少ないお金(円)で買える・同じお金(円)で多く買える」
ということがわかると、
(3)はグッと簡単になります。
このように単純な計算問題も
工夫をして解くことで思考力を鍛えられます。
考える力を鍛えるときは、
(2)を解くときに
「(1)と同じ解き方をしていては、この問題の価値がない」
「何か違うとき方があるのでは?」
のように、
一度立ち止まって問題を見るようにします。
考える力を必要とする問題は、
「(1)はヒント、(2)で『ウラ』があることに気づかせる、(2)を利用すると(3)が解きやすい」
といったような構成であることが少なくありません。
「思考力アップ」問題は、
サピックス冬期講習教材(過年度版)の場合、
1回につき2問しかない貴重な問題です。
お子さんまかせにしておくと
「考える」機会を失いかねませんので、
できればまわりにいる大人が関わってあげられるといいですね。