小5の学習ポイント5 すい体と回転体
「第264回 小5の学習ポイント 立体図形」
今回は、小5で学ぶ「立体図形」のうち、
すい体と回転体について、
サピックス第35回の「デイリーサポート(過年度版)」を
題材にして見ていきます。
「第35回 立体図形 すい体と回転体」の学習ポイント
今回の学習では、以下の4点について学びます。
(1) 立体図形の表し方(投影図の見方と書き方、展開図の見方)
(2) 円すい・角すいの体積と表面積
(3) 回転体の体積と表面積
(4) 円すい台の展開図
今回の学習で最も重要な項目は、
円すいの母線・底面の半径・中心角の関係です。
便利な公式もありますが、
中学入試ではもう1段高いレベルも出題されますから、
公式の理由も今回の学習でおさえるようにしましょう。
回転体の求積では計算の回数が多くなりますから、
「×3.14」をまとめて計算することでミスを防ぐようにします。
注意しておきたいのは、
これらの計算の影に隠れて軽視されがちな
「投影図」です。
この投影図は、
難関中の入試で出題される
立体図形の影問題や切断問題を
解くときに必要となります。
特に「投影図の見方」以上に「投影図の書き方」が重要です。
難関中を目指す場合は、
「投影図の作図問題」にも気をつけましょう。
「第35回 デイリーサポート 立体図形」…重要なポイントを含む問題(抜粋)
【A問題-4】
下図は、直方体の一部を切りとったものです。この立体の真正面と真上から見た図を、下の方眼に正確にかきなさい。方眼の1目もりを1cmとします。
【基本の考え方】
見たときに「重ならずに見える点」に着目します。
【B問題-2】
右図のような円すいがあります。次の問いに答えなさい。円周率は3.14とします。
(1) 展開図のおうぎ形の中心角を求めなさい。
(2) 円すいの側面積を求めなさい。
(3) 円すいの表面積を求めなさい。
【基本の考え方】
円すいの展開図では、側面がおうぎ形、底面が円となりますので、
「おうぎ形の弧の長さ=底面の円周」
に着目します。
このことを利用して円すいの問題を解いていきます。
(1)
【相似を利用した考え方】
平面図形で学習した「相似」を利用すると、
という解説の式を理解しやすくなります。
このことを整理して、
円すいの特別な公式
として覚えておくと便利です。
【先取学習1】
円すいに関する出題に、次のような問題があります。
(例題)
母線の長さが12cm、底面の円の半径が3cmの円すいがあります。この円すいを右図のように置き、すべらないように転がすと点Aを中心にして円を描いて元の位置に戻りました。このとき円すいは何回転しましたか。
(解き方)
円すいの展開図で考えたように、
等しい長さの関係に着目すると
「底面の円周×回転数=描いた円の円周」
となります。
ここでも相似を用いると、
円すいの底面の半径:描いた円の半径(円すいの母線の長さ)=3cm:12cm=1:4
ですから、
底面の円周=①、描いた円の円周=④となり、①×4=④ → 回転数=4回転
とわかります。
このことを先ほどの公式に加え、
円すいの特別な公式を
として覚えておきましょう。
【工夫した考え方】
円すいの側面積や表面積は中心角がわかると、
面積の公式を用いて解くことができますが、
もうひとつの円すいの特別な公式を利用すると、
中心角を求めなくても側面積を求めることができます。
側面は展開図にするとおうぎ形になりますが、
このおうぎ形を細く均等に切り分けて、
上下を互い違いに並べます。
すると細く切れば切るほど、
並べてできる図形は長方形に近づいていきます。
ですから、
円すいの側面積は
おうぎ形の弧の長さの1/2×おうぎ形の半径
や
(底面の半径×2×3.14×1/2)×母線
という式で求めることができます。
円すいの特別な公式2
円すいの側面積=母線×半径×円周率
(「ぼ・はん・π(パイ)」という覚え方もあります)
おうぎ形の特別な面積公式=おうぎ形の弧の長さ×おうぎ形の半径×1/2
(弧を三角形の底辺に見立てて三角形の面積の公式にあてはめる、
スーパー解法のひとつです)
【E問題-2】
右図をみて、次の問いに答えなさい。(円周率は3.14とします。)
(1) xは何cmですか。
(2) yは何cmですか。
【基本の考え方】
円すい台の問題です。
円すい台は、円すい(大)から円すい(小)を取りさった図形と
考えることができます。
xは円すい(小)を取りさる前の円すいの底面の半径ですから、
円すいの特別な公式
を利用すると、
半径x/母線24cm=中心角120°/360°より、
x=8cmとわかります。
(2)も同じように考えて、
半径3cm/母線=中心角120°/360°より、
円すい(小)の母線=9cmが求められます。
24cm-9cm=15cm…y
【相似を利用した考え方】
円すい(大)と取りさる円すい(小)の関係は相似です。
ですから右の図のようになり、
⑤=15cmと求められます。
円すい台の体積や表面積を求める方法には、
「×3.14」を1回にまとめる方法、
円すいの特別な公式を利用する方法、
相似比を利用する方法
の3つがありますので、これらを使いこなせるようになれるといいですね。
【先取学習2】
最後に、回転体の問題を相似比を使って解く方法をご紹介します。
(例題)
右の図で長方形ABCDを、直線アを軸として1回転させたときにできる立体(あ)と、直線イを軸として1回転させたときにできる立体(い)について、体積の差を求めなさい。
(解き方)
問題図に「均等分割」の補助線を書き入れます。
斜線の正方形は
直線アを軸として1回転させても、
直線イを軸として1回転させても、
できる円柱は合同ですから
体積も同じです。
この円柱の体積を①とすると、
他の正方形が回転してできる体積は図のようになります。
図から、立体(あ)の体積=⑧、立体(い)の体積=⑥ とわかり、
差=②=1cm×1cm×3.14×1cm×2=6.28cm3
と簡単に求めることができます。
基本の考え方は、
円柱(大)-円柱(小)という計算で
それぞれの体積を求めます。
また、相似を利用すると、
この例題のように計算が楽になりますので、
学んだ平面図形の相似を立体図形に応用できるようになれることを、
学習の目標に加えてみましょう。