小川大介の中学受験合格を実現する逆算受験術

中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 -> 主任相談員の中学受験ブログ -> 前田昌宏の中学受験が楽しくなる算数塾 -> 中学入試の算数問題  -> 12月に入試がある中学

12月に入試がある中学

このエントリーをはてなブックマークに追加
中学入試の算数問題 2015年08月08日18時00分

「第246回 12月に入試がある中学」

夏休みも中盤戦。来週はお盆です。

お盆の過ごし方はもう決まっていますか。

進学塾の日程を見ると、
お盆休みのある塾もあれば、
模擬テストなどで休みなしの塾もあります。

とはいっても毎日の夏期講習に加え、
連日の猛暑と教室内の空調で、
疲れもたまっていることでしょう。

3日程度、思い切って完全休養として、
夏休み後半戦に備える
という選択肢もあると思います。

家庭学習をする場合は、
夏期講習前半の振り返りやしそびれた宿題に取り組む、
予定していた計画の未消化部分を取り戻す、
8月末から9月初めにかけて行われるテストの準備など、
いくつかの候補があります。

この他、
塾からお休み期間中の特別課題や2014年入試問題演習
のような「宿題」が出されることもあります。

優先順位付けと
どの程度の「深度」まで取り組むかを決めることが
重要になってきます。

また、
12月や1月の上旬に入試を行う学校を受験するのであれば、
9月から仕上げにむけての学習に取りかかることが多いでしょうから、
お盆の休みや夏期講習終了と通常授業再開までの休み期間を利用して
「完成度のチェック」をしてみてもよいでしょう。

そこで12月に入試のある中学のひとつ、
愛知県の海陽中の入試問題を見てみます。




2014年度 海陽中 特別給費生入試 算数より


大問2 15個のレンガが下から5個、4個、3個、2個、1個というように積まれています。最下段のレンガに1から5までの整数を一度ずつ書き、その上のレンガには下で接している2つのレンガの数字の和を書きこむという作業を最上段の1個のレンガに数字が書かれるまでくり返し行います。例えば図1のAには2+5で7が書きこまれます。

20150808164158.jpg

(1) 図1の場合、Bに書きこまれる数を求めなさい。

(2) 4段目が図2のようになったとき,最下段に書きこまれていた数を求めなさい。

(3) 最上段の数が奇数となるのは最下段がどのようなときかを答えて,それを説明しなさい。

(4) 最上段に書かれる最も大きな数は61です。この場合の最下段の例を一つ答えなさい。









海陽中は算数の対策について公式HPに
「過去3 年分の入試問題などを参考に学習を。
式や解答だけではなく、
それを導くまでの思考過程を
言葉や図を用いて
簡潔に書き残す練習をする」
という資料を公開しています。

この大問2でも小問(3)に記述があるほか、
考え方を書き残すような解答用紙となっています。


20150808164315.jpg(1) 考え方を書く場合は、右図のようなものでもよいと思います。58






考え方の記述について、
愛媛県の愛光中は
「答案は答えをだすために書くのではなく、
採点者に自分の考え方を伝えるために書くのだ
という認識をもつこと」
とアナウンスしています。


どうやって答えにたどり着いたかを表現する方法は、
式の他に、図や表、グラフ、言葉による説明などがあります。

記述のある学校を受験するお子さんが、
家庭学習のときに答えしか書かけないようでしたら、
上記のような中学校からの案内を見せてあげるのも、
学習改善の方法のひとつです。


(2) 問題文中の
「(1から5までの整数を)一度ずつ書き」
が最大のヒントです。

3+3=6や2+2=4のように、
同じ整数を2回使うことはできないという条件です。

すると、1+3=4しか和が4となる場合はありませんが、
3+3=6も条件にあてはまりませんので、
6の下にあるレンガに「3」を入れないようにすると、
次のようだとわかります。

20150808164516.jpg

  左から順に、5、1、3、4、2



(3) いくつか試してみてきまりを見つけるのも一つの方法ですが、
試験には制限時間がありますので、
必死になりすぎて時間を失わないよう、
注意が必要です。

実は、
ある程度のレベルの市販問題集や塾の教材に掲載されている
「パスカルの三角形」と同じ考え方が、
この問題には使えます。

「道順の問題」の解き方と考えても同じです。

20150808164637.jpg


「上のレンガには下で接している2つのレンガの数字の和を書きこむ」
というルールを簡単な例で考えてみます。

20150808164734.jpg

上の図のように最下段が「1、2、3」のとき、
最上段は「1+2+2+3」という計算になります。

上の例では、
「2」は、「左回りの道」と「右回りの道」の2通りの道があるため、
最上段で2回たされているのです。


ですから、つぎのようになります。

20150808165931.jpg

(解答例) アとオは最上段で1回、イとエは最上段で4回、ウは最上段で6回たされますので、ア×1+イ×4+ウ×6+エ×4+オ×1 が、最上段の数を求める式です。ですから、最上段の数が奇数になるのは、アまたはオのいずれか一方が奇数、他方が偶数のときです。(図を書き加えるとよいです)


(4) この問題も文中の「最も大きな数」がヒントです。
(3)で計算方法がわかれば、
ウ=5、(イ、エ)=(3、4)、(ア、オ)=(1、2) のとき、
1×1+3×4+5×6+4×4+2×1=61 が答えとすぐに求められます。
左から順に、1、3、5、4、2 (1と2、3と4の位置は入れ替わってもOKです)


この海陽中や愛光中のように、
出題意図、出題分野、問題のレベル、過去問との関連、採点基準を
HPで公表したり、入試説明会でお話し下さったりする学校も多くあります。

そのような情報をもとにして、「完成度のチェック」ができるといいですね。

mflog.GIF

このエントリーをはてなブックマークに追加
中学入試の算数問題 2015年08月08日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
Copyright (c) 2008- 中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 All rights reserved.