夏休みに成績を上げる準備3 日能研編
「第237回 夏休みに成績を上げる準備3 日能研編」
前回は夏休みに成績を上げる準備として、サピックスのケースをみました。
今回は日能研の夏期講習で学ぶ問題と1学期に本科教室で学んだ内容との関係をみながら、
夏休みで成績を上げる準備について考えます。
はじめに日能研の夏期講習日程を確認しましょう。
下記の日程は、
日能研 自由が丘校の2015年度 6年生標準コースの日程で、
授業時間は14:00~20:35です。
※日程や時間などは校舎によって異なります。
1日の授業は1コマ70分が5コマあり、
これがのべ24日間、
さらに期間中には夏期集中教室特別テストが4回あります。
この24日間の夏期講習中に実施される算数の授業コマ数は36コマですから、
半分の12日間は算数の授業が1日に2回ある計算になります。
塾で約6時間の勉強をし、
帰宅してからさらに家庭学習をする日が連続するわけですから、
前回見ましたサピックスと同様に、
その日に学んだことの宿題や夏期集中教室特別テストのための家庭学習を
1日サイクルで回さなければいけません。
1日に2回も算数の授業がある日は、ちょっと大変ですね。
日能研の場合も、サピックスと同様に、夏休みに成績を上げるための準備が必要そうです。
また、夏休みに成績を上げるための準備は、
夏期講習で学ぶ内容が1学期に習った内容をどの程度重なるかによっても変わります。
夏期講習で学ぶ内容と1学期に習った内容がどの程度重なるか、
夏期集中教室「第1回 平面図形(1)」を題材に確認してみます。
日能研の「標準コース」は上記のように、
夏期講習で学ぶ内容と1学期に習った内容が大きく重なりますので、
学習の負担は小さくてすみそうです。
しかし、よく見てみると、
「夏期の問題を解く基礎にあたる本科教室などに掲載されている問題」もそこそこありますから、
本科教室のことがわかっていないと夏期講習は苦労しそうです。
また問題数の少なさも気になります。
例年、夏期集中教室特別テストはカリキュラムテストと同じ、
「共通+基礎または応用」という構成ですから、
この問題数では共通問題をカバーしきれないかも知れません。
さらに
第1志望校の出題傾向や出題分野とも比べて、
足りない部分があればそれを補う学習が必要です。
では、「応用コース」はどうでしょうか?
「標準コース」よりも重なりが少し減り、また問題数は大幅に増えています。
「応用コース」で取り扱う問題と1学期に本科教室で学んだ問題に、次のようなものがあります。
このように「応用コース」で復習にあたる問題は、
本科教室で学んだ問題と共通する部分がありますから、
「とりあえず参加しよう」「どうせ復習だから」といった気持ちで受講していると、
弱点の再確認や発見だけに終わってしまいます。
逆に本科教室を学んだときに分からなかった問題を
事前に振り返り学習をしておくと、
夏期講習が本当の意味での復習になると思いますし、
新しく習う問題の理解に集中することもできます。
このほか、日能研には「難関コース」という上位校を目指す最上位のコースもあります。
「難関コース」で学ぶ問題の一例を紹介します。
右の図で、四角形ABCDは正方形、曲線は円の一部、三角形CEDは二等辺三角形です。角ア~エの大きさはそれぞれ何度ですか。(一部改題)
【解答例】
この問題のように「線の多い問題図」から角アの大きさを求めるときは、
角アを作図するのに必要な線だけを書くことが大切なポイントです。
上図のように「シンプルな図形」にすれば、
三角形BCEが二等辺三角形であることが見やすくなります。
{180°-(90°+40°)}÷2=25°…角オ
180°-(25°+45°)=110°…角ア
この図と問題図を見比べると、角ウも求められることに気づきます。
(180°-40°)÷2=70°…角CED
70°-25°=45°…角ウ
次は角イを作図するのに必要な線だけを書いてみましょう。
角イに必要な線だけを書くと、
おなじみの図形(正方形内にある正三角形)とわかりますから、
三角形ABFが二等辺三角形であることも見えてきます。
(180°-30°)÷2=75°…角BAF=角イ(平行線の錯角)
残るは角エです。
ここまでに角ア~ウの大きさがわかっていますので、
いろいろな解き方ができますが、三角形の外角を利用してみます。
75°+65°=140°…角エ
「線の多い問題」は、小問ごとに必要な線だけを書くことが大切ですね。
ところで、上記の問題、女子学院中の2011年度 大問1-(2)の問題です。
このように「難関コース」は夏期講習から難関中の入試問題も扱いますので、
各単元の力量が一定のレベルに達していることが必要になります。
以上のことから、
日能研の夏期講習を受けて夏休みで成績を上げるためには、
受講コースに応じた準備が必要になりそうです。
【標準コースを受講する場合の事前準備】
第1志望校の入試問題に必要な問題が学べるかどうかを調べます。
もし学ばない問題があれば、夏期講習の日程が厳しいことと
9月から入試対策に入ることを踏まえ、
6~7月中に補いましょう。
【応用コースを受講する場合の事前準備】
復習にあたる問題が多いため、
苦手な問題を残したまま講習会に参加すると、
夏期講習期間中の家庭学習に負担がかかり、
新しく学ぶ問題に家庭学習の時間を当てられなくなります。
それを防ぐためには、
夏期講習と重なる既習の問題について、
カリテなどで解けなかった問題を拾い出し、
6~7月中に解き直すなどの準備が必要です。
【難関コースを受講する場合の事前準備】
入試レベルの問題を扱うこと、
また他のコースとは異なり、1コマの授業で複数の単元を扱うこともありますから、
ステージⅢ~Ⅳで学んだ内容に苦手分野がなければ、
夏期講習が入試に直結した学習をする絶好の機会となります。
ですから、
もし公開模試レベルで苦手な問題や分野が見つかっていれば、
強化ツールなどを利用して、
夏期講習までにできるだけ「潰して」おくとよいでしょう。
6、7月を上手に活かして、夏期講習での成果が最大にできるといいですね。