2015年度中学入試 聖光学院中&渋谷教育学園渋谷中
第227回 「平成27年度 私立中学入試 この1問 聖光学院中&渋谷教育学園渋谷中」
難関中を中心に問題をご紹介していきながら、
2016年度入試に向けて6年生がどのような点に気をつけていけばよいのか、
また5年生はどのような取り組みをしていけばよいのかを考えています。
今回は、地元はもちろん、併願校としても人気の高い、
首都圏の聖光学院中と渋谷教育学園渋谷中を取り上げ、
2015年度入試からそれぞれ1問ずつ見ていきます。
2015年の聖光学院中の入試問題は、
他の中学でも出題されている「順々に調べて数え上げる」問題です。
学年に関係なくチャレンジできる問題です。
聖光学院中 2015年度 入試問題 算数より
大問5 1辺の長さが1cmの黒い立方体と、1辺の長さが1cmの白い立方体がたくさんあります。この2色の立方体を使って、大きい立方体をつくるとき、次の問いに答えなさい。ただし、できた大きい立方体のうち、回転したりひっくり返したりして、黒と白が同じ配置になるような立方体は同じ立方体であるとします。
(1) この2色の立方体を8個使ったとき、1辺の長さが2cmの立方体が何通りできるかを考えます。例えば、黒い立方体を2個、白い立方体を6個使ってできる立方体は3通りあります。黒い立方体を3個、白い立方体を5個使ってできる立方体は何通りありますか。
(2) 黒い立方体を2個、白い立方体を25個の合計27個を使ったとき、1辺の長さが3cmの立方体が何通りできるかを考えます。
(ア) 黒い立方体のうちの1個が外側からは見えない真ん中の位置にあるとすると、できる立方体は何通りありますか。
(イ) 外側からは見えない真ん中の位置にある立方体の色は白であり、黒い立方体のうちの1個が図のAの位置にあるとすると、できる立方体は何通りありますか。
(ウ) できる立方体は全部で何通りありますか。
(1) 例えにある
「黒い立方体を2個、白い立方体を6個使ってできる立方体は3通り」
というのは、
個数が少ない黒色の立方体の位置で考えると、
次の図の通りです。
「黒い立方体を3個、白い立方体を5個」の場合も、
同様に個数が少ない黒色の立方体に着目して調べていくと、
図の3通りがあります。
(2)-(ア) (1)と同様に、個数が少ない黒色の立方体の位置を考えると、
の3通りがあります。
(2)-(イ)
(ア)で「1個が大きな立方体の中央にある」場合を数え上げましたから、
小さな立方体が大きな立方体の中央にこないようにして、
「1個が大きな立方体の面の中央にある」場合を調べると、
図の7通りがあります。
(2)-(ウ)
(イ)で「1個が大きな立方体の面の中央にある」場合を数え上げましたから、
残りは
「1個が大きな立方体の辺の中央にある」
「1個が大きな立方体の頂点にある」
の2つです。
大きな立方体の中央や面の中央にこないように
「1個が大きな立方体の辺の中央にある」場合を調べると、
の10通りがあります。
最後に、
大きな立方体の中央や、面や辺の中央にこないように
「1個が大きな立方体の辺の頂点にある」場合を調べると、
の3通りがあります。
ですから、
(1)(2)-(ア)で求めたものと合わせて、
3+7+10+3=23(通り)の立方体が見つかります。
自分の中でルール(基準)を決め、
そのルールに従って順々に調べて数え上げる問題が、
2015年度の中学入試において、多くの学校で出題されました。
数の性質の調べ上げ問題も難問が多いのですが、
図形(解くに立体図形)では、
実際に図を書いて確認しなければ、
出てきた答えに自信が持ちにくいところが、
受験生に厳しいと思います。
中学受験をする場合は、
早いうちから図を書くことになれておくことが大切です。
渋谷教育学園渋谷中 2015年度 入試問題 算数より
大問2 4以上の素数を除く整数についてだけ、次のように考えます。その整数を素数だけの積の形で表したとき、「何種類の素数が出てくるか」と「何個の素数の積であるか」に注目し、その二つの和を整数の得点とします。例えば12の得点は2×2×3となるので,「2種類の素数が出てくる」と「3個の素数の積である」から2+3で5点となります。次の問いに答えなさい。
(1) 180の得点は何点ですか。
(2) 得点がちょうど3点になる整数を小さいほうから3つ求めなさい。
(3) 得点がちょうど6点になる50以下の整数をすべて求めなさい。
(4) 1000以下の整数のうち,得点が最も大きくなるものの得点は何点かを求めなさい。また、その最も大きい得点になる1000以下の整数をすべて求めなさい。
前半の小問を解くことで問題のコツを掴み、
後半の小問まで解くタイプの問題です。
(1) 180=2×2×3×3×5 で、3種類で5個ですから、3+5=8(点)です。
(2) 3点になるケースは、(1種類、2個)の1通りです。
小さい方から、2×2、3×3、5×5 なので、4、9、25が答えです。
(3) 6点になるケースは、
(1種類、5個)、(2種類、4個)、(3種類、3個)の3通りです。
順に調べていくと、
(1種類、5個)のとき
2×2×2×2×2=32 … OK
3×3×3×3×3=243 … ×
(2種類、4個)のとき
2×2×2×3=24 … OK
2×2×2×5=40 … OK
2×2×2×7=56 … ×
2×2×3×3=36 … OK
2×2×5×5=100 … ×
2×3×3×3=54 … ×
(3種類、3個)のとき
2×3×5=30 … OK
2×3×7=42 … OK
2×3×11=66 … ×
3×5×7=105 … ×
ですから、小さい順に、24、30、32、36、40、42です。
(4) 2×2×2×2×2×2×2×2×2=512 なので、個数は最大で9個です。
2×2×2×2×2×2×2×2×2=512 → 1種類+9個=10点
2×2×2×2×2×2×2×2×3=768 → 2種類+9個=11点
2×2×2×2×2×2×2×3×5=1920 → ×
(3種類、9個)は無理ですので、最高点は11点です。
11点になる他のケースを調べていくと、
(3種類、8個)の場合、
2×2×2×2×2×2×3×5=960 → 3種類+8個=11点
2×2×2×2×2×2×3×7=1344 → ×
2×2×2×2×2×3×3×5=1440 → ×
(4種類、7個)の場合、
2×2×2×2×3×5×7= 1680 → ×
なので、11点、768と960が答えです。
この問題は順々に調べていくと正解が可能な問題です。
入試では制限時間がありますので、
「てきぱきと作業を進めていく力」が必要になります。
自分で基準を決めて順に調べることができるようになれば、
次は時間の制限をして練習をし、処理速度を身につけておきましょう。
難関中を中心に問題をご紹介していきながら、
2016年度入試に向けて6年生がどのような点に気をつけていけばよいのか、
また5年生はどのような取り組みをしていけばよいのかを考えています。
今回は、地元はもちろん、併願校としても人気の高い、
首都圏の聖光学院中と渋谷教育学園渋谷中を取り上げ、
2015年度入試からそれぞれ1問ずつ見ていきます。
2015年の聖光学院中の入試問題は、
他の中学でも出題されている「順々に調べて数え上げる」問題です。
学年に関係なくチャレンジできる問題です。
聖光学院中 2015年度 入試問題 算数より
大問5 1辺の長さが1cmの黒い立方体と、1辺の長さが1cmの白い立方体がたくさんあります。この2色の立方体を使って、大きい立方体をつくるとき、次の問いに答えなさい。ただし、できた大きい立方体のうち、回転したりひっくり返したりして、黒と白が同じ配置になるような立方体は同じ立方体であるとします。
(1) この2色の立方体を8個使ったとき、1辺の長さが2cmの立方体が何通りできるかを考えます。例えば、黒い立方体を2個、白い立方体を6個使ってできる立方体は3通りあります。黒い立方体を3個、白い立方体を5個使ってできる立方体は何通りありますか。
(2) 黒い立方体を2個、白い立方体を25個の合計27個を使ったとき、1辺の長さが3cmの立方体が何通りできるかを考えます。
(ア) 黒い立方体のうちの1個が外側からは見えない真ん中の位置にあるとすると、できる立方体は何通りありますか。
(イ) 外側からは見えない真ん中の位置にある立方体の色は白であり、黒い立方体のうちの1個が図のAの位置にあるとすると、できる立方体は何通りありますか。
(ウ) できる立方体は全部で何通りありますか。
(1) 例えにある
「黒い立方体を2個、白い立方体を6個使ってできる立方体は3通り」
というのは、
個数が少ない黒色の立方体の位置で考えると、
次の図の通りです。
「黒い立方体を3個、白い立方体を5個」の場合も、
同様に個数が少ない黒色の立方体に着目して調べていくと、
図の3通りがあります。
(2)-(ア) (1)と同様に、個数が少ない黒色の立方体の位置を考えると、
の3通りがあります。
(2)-(イ)
(ア)で「1個が大きな立方体の中央にある」場合を数え上げましたから、
小さな立方体が大きな立方体の中央にこないようにして、
「1個が大きな立方体の面の中央にある」場合を調べると、
図の7通りがあります。
(2)-(ウ)
(イ)で「1個が大きな立方体の面の中央にある」場合を数え上げましたから、
残りは
「1個が大きな立方体の辺の中央にある」
「1個が大きな立方体の頂点にある」
の2つです。
大きな立方体の中央や面の中央にこないように
「1個が大きな立方体の辺の中央にある」場合を調べると、
の10通りがあります。
最後に、
大きな立方体の中央や、面や辺の中央にこないように
「1個が大きな立方体の辺の頂点にある」場合を調べると、
の3通りがあります。
ですから、
(1)(2)-(ア)で求めたものと合わせて、
3+7+10+3=23(通り)の立方体が見つかります。
自分の中でルール(基準)を決め、
そのルールに従って順々に調べて数え上げる問題が、
2015年度の中学入試において、多くの学校で出題されました。
数の性質の調べ上げ問題も難問が多いのですが、
図形(解くに立体図形)では、
実際に図を書いて確認しなければ、
出てきた答えに自信が持ちにくいところが、
受験生に厳しいと思います。
中学受験をする場合は、
早いうちから図を書くことになれておくことが大切です。
渋谷教育学園渋谷中 2015年度 入試問題 算数より
大問2 4以上の素数を除く整数についてだけ、次のように考えます。その整数を素数だけの積の形で表したとき、「何種類の素数が出てくるか」と「何個の素数の積であるか」に注目し、その二つの和を整数の得点とします。例えば12の得点は2×2×3となるので,「2種類の素数が出てくる」と「3個の素数の積である」から2+3で5点となります。次の問いに答えなさい。
(1) 180の得点は何点ですか。
(2) 得点がちょうど3点になる整数を小さいほうから3つ求めなさい。
(3) 得点がちょうど6点になる50以下の整数をすべて求めなさい。
(4) 1000以下の整数のうち,得点が最も大きくなるものの得点は何点かを求めなさい。また、その最も大きい得点になる1000以下の整数をすべて求めなさい。
前半の小問を解くことで問題のコツを掴み、
後半の小問まで解くタイプの問題です。
(1) 180=2×2×3×3×5 で、3種類で5個ですから、3+5=8(点)です。
(2) 3点になるケースは、(1種類、2個)の1通りです。
小さい方から、2×2、3×3、5×5 なので、4、9、25が答えです。
(3) 6点になるケースは、
(1種類、5個)、(2種類、4個)、(3種類、3個)の3通りです。
順に調べていくと、
(1種類、5個)のとき
2×2×2×2×2=32 … OK
3×3×3×3×3=243 … ×
(2種類、4個)のとき
2×2×2×3=24 … OK
2×2×2×5=40 … OK
2×2×2×7=56 … ×
2×2×3×3=36 … OK
2×2×5×5=100 … ×
2×3×3×3=54 … ×
(3種類、3個)のとき
2×3×5=30 … OK
2×3×7=42 … OK
2×3×11=66 … ×
3×5×7=105 … ×
ですから、小さい順に、24、30、32、36、40、42です。
(4) 2×2×2×2×2×2×2×2×2=512 なので、個数は最大で9個です。
2×2×2×2×2×2×2×2×2=512 → 1種類+9個=10点
2×2×2×2×2×2×2×2×3=768 → 2種類+9個=11点
2×2×2×2×2×2×2×3×5=1920 → ×
(3種類、9個)は無理ですので、最高点は11点です。
11点になる他のケースを調べていくと、
(3種類、8個)の場合、
2×2×2×2×2×2×3×5=960 → 3種類+8個=11点
2×2×2×2×2×2×3×7=1344 → ×
2×2×2×2×2×3×3×5=1440 → ×
(4種類、7個)の場合、
2×2×2×2×3×5×7= 1680 → ×
なので、11点、768と960が答えです。
この問題は順々に調べていくと正解が可能な問題です。
入試では制限時間がありますので、
「てきぱきと作業を進めていく力」が必要になります。
自分で基準を決めて順に調べることができるようになれば、
次は時間の制限をして練習をし、処理速度を身につけておきましょう。