数の性質「あまり・n進法」
第214回 「あと1ヶ月半で6年生になる5年生の学習 数の性質3」
今回が「数の性質」の最終回です。
そして、2014年最後のブログでもあります。
ここまで「約数」「倍数」をみてきましたが、
今回は「あまりの処理」「n進法」をテーマにしたいと思います。
「あまりの処理」問題は、
1. 同数あまり
2. 同数不足
3. 最小を書き出して調べる
4. 不明の同数あまり
5. それ以外
の5つに大きく分類されます。
例を挙げると、
「4で割っても5で割っても1あまる2けたの整数の個数」…上記1
「5で割ると3あまり、7で割ると5あまる100に最も近い整数」…上記2
「6で割ると1あまり、8で割ると3あまる整数で、小さい方から3番目の整数」…上記3
「7を加えると9で割り切れ、9を加えると7で割りきれる最も小さい整数」…上記5
などがあります。
5年生では1~3までを正解できるようになっておきたいですし、
6年生で「数の性質」を学んだときには4、5も解けるようになっておきたい、
それぞれ「定番問題」です。
そこで今回は、例に挙げなかった「4. 不明の同数あまり」についてみていきます。
(問題) りんご63個、みかん99個、なし153個を、何人かの子どもに同じ果物は同じ個数になるように分けたら、どの果物も同じ個数だけ余りました。子どもは何人いますか。すべて求めなさい。
「同じ個数だけ余ったのですが、それが何個かはわからない」ので、
「不明の同数あまり」と名付けられています。
さて、「~で割ると~」という問題は、
問題文をいったん「○÷□=☆あまり△」という式に直すと、
方針が立てやすいので、
りんご 63個÷□人=1人あたり☆個あまり△個
みかん 99個÷□人=1人あたり★個あまり△個
なし 153個÷□人=1人あたり◇個あまり△個
と表します。
もし、わり算の式に直してわかりにくいときは、さらにかけ算の式にしてみます。
りんご 1人あたり☆個×□人+△個=63個
みかん 1人あたり★個×□人+△個=99個
なし 1人あたり◇個×□人+△個=153個
かけ算の式でも方針が立たないときは、線分図や面積図に表してみましょう。
図から、
ア=99-63=36=ウ×□ → □=36の約数
イ=153-99=54=エ×□ → □=54の約数
なので、
□=36と54の公約数=18の約数=1人、2人、3人、6人、9人、18人
とわかります。
問題文に「最も多い場合」という条件がなければ、
最大公約数以外にも答えがありえることに気をつけます。
それぞれの場合についてりんごで確認してみると、
63個÷1人=63個あまり0個 → 問題の条件にあてはまらない
63個÷2人=31個あまり1個 → OK
63個÷3人=21個あまり0個 → 問題の条件にあてはまらない
63個÷6人=10個あまり3個 → OK
63個÷9人=7個あまり0個 → 問題の条件にあてはまらない
63個÷18人=3個あまり9個 → OK
となり、2人、6人、18人が答えとわかります。
ちなみに、「63個÷18人=3個あまり9個」から、
子どもの人数があまりの9の約数のときはあまりが出ないことに気づけると、
ベストです。
「不明の同数あまりとくれば、差の公約数」という覚え方と同時に、
「~で割ると~」→「○÷□=☆あまり△」→「☆×□+△=○」→「線分図や面積図」
という
「あまりの処理」問題の整理方針が身につけられると、
自分の力で解ける問題が増えると思います。
次はn進法の問題です。
5年生までに学ぶn進法の問題として、
○○○○=0 ○○○●=1 ○○○◎=2 ○○●○=3 ○○●●=4
○○●◎=5 ○○◎○=6 ○○◎●=7 …というきまりがあるとき、10を○、●、◎を用いて表しなさい。ただし、使わないものがあってもよいものとします。
のような、問題があります。
5年生までですと、「数の規則性」のなかまとして学びます。
のように、
右端の●=1、右から2番目の●=3、…と、
位置と記号に数字を「あてはめ」て解いていることが多いと思います。
これが6年生になると、
「右端は一の位で0~2までの3通りが表せるから、この問題は3進法なんだ」
と
とらえる方が解きやすい問題に触れるようになります。
そこでn進法として考えると、上手く解ける問題をご紹介します。
金蘭千里中 2009年度 入試問題 算数より
(問題) あるホテルでは4という数字を用いないで部屋番号をつけています。たとえばはじめから5室目までの部屋番号は、順に1、2、3、5、6となり、また13の次の部屋番号は15、39の次の部屋番号は50のようになっています。
(1) 部屋番号が165の部屋は何室目の部屋ですか。
(2) 500室目の部屋番号は何番ですか。
3進法は0、1、2の3種類の数字を使い、
10進法は0、1、2、3、4、5、6、7、8、9の10種類の数字を使います。
ここでいう「数字」は、「数字スタンプ」のイメージです。
10進法の13は、
「1」の数字スタンプと「3」の数字スタンプを押して表す、
という感じです。
ですから、3進法は小さい順に、
0、1、2、10、11、12、20、21、22、100、101、…
のようになります。
この問題でも同じように「数字スタンプ」のイメージで解いてみましょう。
しかし、「4抜き」では数えにくいですね。
そこで、部屋番号のプレート(表示板)の裏側に
「4」を使った数字も表記することにします。
代わりに「9」をなくして、
使える数字スタンプの個数をそろえておきます。
すると、
のようになります。
さて、ここからがn進法の出番です。
スタンプは0、1、2、3、4、5、6、7、8の9個ですから、9進法です。
10進法で表される数が
右から左に、一の位、十の位、百の位(10×10)、千の位(10×10×10)、…
となるように、
9進法では
一の位、九の位、八十一の位(9×9)七百二十九の位(9×9×9)、…
となっています。
たとえば、
上の表の26室目「28」は、一の位が「8」、九の位が「2」ですから、
9×2+8=26
のようにして、裏側の番号から何室目かを計算することができるのです。
これを利用すると(1)の「部屋番号165」の「裏側の番号は154」ですから、
9×9×1+9×5+4=130(室目)
と簡単に求められます。
(2)はこの逆算ですから、
9×9×□+9×□+□=500 を完成させればよいので、
500÷81=6あまり14 14÷9=1あまり5 から、
9×9×6+9×1+5 → 裏側の番号が615とわかります。 → 部屋番号716
別解として、前回(第213回)でも利用した「すだれ算」の
といった解き方もあります。
このようにn進法の問題は「規則性の利用」という解き方の他に、
n進法本来の特徴を利用して解く方法があり、
これが使えれば時間を節約することが可能です。
6年生で学ぶ「数の性質」は、
5年生で学んだことをベースに
より高度な問題に対応するための解き方を学びますので、
今のうちに5年生内容が十分身についているかどうかを
確認しておくとよいですね。
今回が「数の性質」の最終回です。
そして、2014年最後のブログでもあります。
ここまで「約数」「倍数」をみてきましたが、
今回は「あまりの処理」「n進法」をテーマにしたいと思います。
「あまりの処理」問題は、
1. 同数あまり
2. 同数不足
3. 最小を書き出して調べる
4. 不明の同数あまり
5. それ以外
の5つに大きく分類されます。
例を挙げると、
「4で割っても5で割っても1あまる2けたの整数の個数」…上記1
「5で割ると3あまり、7で割ると5あまる100に最も近い整数」…上記2
「6で割ると1あまり、8で割ると3あまる整数で、小さい方から3番目の整数」…上記3
「7を加えると9で割り切れ、9を加えると7で割りきれる最も小さい整数」…上記5
などがあります。
5年生では1~3までを正解できるようになっておきたいですし、
6年生で「数の性質」を学んだときには4、5も解けるようになっておきたい、
それぞれ「定番問題」です。
そこで今回は、例に挙げなかった「4. 不明の同数あまり」についてみていきます。
(問題) りんご63個、みかん99個、なし153個を、何人かの子どもに同じ果物は同じ個数になるように分けたら、どの果物も同じ個数だけ余りました。子どもは何人いますか。すべて求めなさい。
「同じ個数だけ余ったのですが、それが何個かはわからない」ので、
「不明の同数あまり」と名付けられています。
さて、「~で割ると~」という問題は、
問題文をいったん「○÷□=☆あまり△」という式に直すと、
方針が立てやすいので、
りんご 63個÷□人=1人あたり☆個あまり△個
みかん 99個÷□人=1人あたり★個あまり△個
なし 153個÷□人=1人あたり◇個あまり△個
と表します。
もし、わり算の式に直してわかりにくいときは、さらにかけ算の式にしてみます。
りんご 1人あたり☆個×□人+△個=63個
みかん 1人あたり★個×□人+△個=99個
なし 1人あたり◇個×□人+△個=153個
かけ算の式でも方針が立たないときは、線分図や面積図に表してみましょう。
図から、
ア=99-63=36=ウ×□ → □=36の約数
イ=153-99=54=エ×□ → □=54の約数
なので、
□=36と54の公約数=18の約数=1人、2人、3人、6人、9人、18人
とわかります。
問題文に「最も多い場合」という条件がなければ、
最大公約数以外にも答えがありえることに気をつけます。
それぞれの場合についてりんごで確認してみると、
63個÷1人=63個あまり0個 → 問題の条件にあてはまらない
63個÷2人=31個あまり1個 → OK
63個÷3人=21個あまり0個 → 問題の条件にあてはまらない
63個÷6人=10個あまり3個 → OK
63個÷9人=7個あまり0個 → 問題の条件にあてはまらない
63個÷18人=3個あまり9個 → OK
となり、2人、6人、18人が答えとわかります。
ちなみに、「63個÷18人=3個あまり9個」から、
子どもの人数があまりの9の約数のときはあまりが出ないことに気づけると、
ベストです。
「不明の同数あまりとくれば、差の公約数」という覚え方と同時に、
「~で割ると~」→「○÷□=☆あまり△」→「☆×□+△=○」→「線分図や面積図」
という
「あまりの処理」問題の整理方針が身につけられると、
自分の力で解ける問題が増えると思います。
次はn進法の問題です。
5年生までに学ぶn進法の問題として、
○○○○=0 ○○○●=1 ○○○◎=2 ○○●○=3 ○○●●=4
○○●◎=5 ○○◎○=6 ○○◎●=7 …というきまりがあるとき、10を○、●、◎を用いて表しなさい。ただし、使わないものがあってもよいものとします。
のような、問題があります。
5年生までですと、「数の規則性」のなかまとして学びます。
のように、
右端の●=1、右から2番目の●=3、…と、
位置と記号に数字を「あてはめ」て解いていることが多いと思います。
これが6年生になると、
「右端は一の位で0~2までの3通りが表せるから、この問題は3進法なんだ」
と
とらえる方が解きやすい問題に触れるようになります。
そこでn進法として考えると、上手く解ける問題をご紹介します。
金蘭千里中 2009年度 入試問題 算数より
(問題) あるホテルでは4という数字を用いないで部屋番号をつけています。たとえばはじめから5室目までの部屋番号は、順に1、2、3、5、6となり、また13の次の部屋番号は15、39の次の部屋番号は50のようになっています。
(1) 部屋番号が165の部屋は何室目の部屋ですか。
(2) 500室目の部屋番号は何番ですか。
(一部改題、(3)略)
3進法は0、1、2の3種類の数字を使い、
10進法は0、1、2、3、4、5、6、7、8、9の10種類の数字を使います。
ここでいう「数字」は、「数字スタンプ」のイメージです。
10進法の13は、
「1」の数字スタンプと「3」の数字スタンプを押して表す、
という感じです。
ですから、3進法は小さい順に、
0、1、2、10、11、12、20、21、22、100、101、…
のようになります。
この問題でも同じように「数字スタンプ」のイメージで解いてみましょう。
しかし、「4抜き」では数えにくいですね。
そこで、部屋番号のプレート(表示板)の裏側に
「4」を使った数字も表記することにします。
代わりに「9」をなくして、
使える数字スタンプの個数をそろえておきます。
すると、
のようになります。
さて、ここからがn進法の出番です。
スタンプは0、1、2、3、4、5、6、7、8の9個ですから、9進法です。
10進法で表される数が
右から左に、一の位、十の位、百の位(10×10)、千の位(10×10×10)、…
となるように、
9進法では
一の位、九の位、八十一の位(9×9)七百二十九の位(9×9×9)、…
となっています。
たとえば、
上の表の26室目「28」は、一の位が「8」、九の位が「2」ですから、
9×2+8=26
のようにして、裏側の番号から何室目かを計算することができるのです。
これを利用すると(1)の「部屋番号165」の「裏側の番号は154」ですから、
9×9×1+9×5+4=130(室目)
と簡単に求められます。
(2)はこの逆算ですから、
9×9×□+9×□+□=500 を完成させればよいので、
500÷81=6あまり14 14÷9=1あまり5 から、
9×9×6+9×1+5 → 裏側の番号が615とわかります。 → 部屋番号716
別解として、前回(第213回)でも利用した「すだれ算」の
といった解き方もあります。
このようにn進法の問題は「規則性の利用」という解き方の他に、
n進法本来の特徴を利用して解く方法があり、
これが使えれば時間を節約することが可能です。
6年生で学ぶ「数の性質」は、
5年生で学んだことをベースに
より高度な問題に対応するための解き方を学びますので、
今のうちに5年生内容が十分身についているかどうかを
確認しておくとよいですね。