数の性質「倍数」
第212回 「あと1ヶ月半で6年生になる5年生の学習 数の性質2」
今回も前回に引き続き、テーマは数の性質です。
前回は「約数」について触れましたので、今回は「倍数」です。
「約数」同様、
「6年生になると、5年生のときと何が変わるか」
をみていきましょう。
サレジオ学院 2009年度 入試問題 算数より
(問題) 2×4×6×…×100のように、2から100までの偶数をすべてかけた数をNとします。
(1) Nは一の位から0が何個続きますか。
(2) Nを3でくり返し割るとき、その商が初めて整数でなくなるのは何回目に割ったときですか。
(一部改題)
2から100まで50個の偶数をかけあわせるので、
順々にかけていては制限時間内に答えを求めるということはとてもできません。
「一の位から0が続く」ということの意味を考えましょう。
そこで大切なことは、「たとえば…」と「試してみる」ことです。
といっても、「手当たり次第に試す」という方法はあまりお薦めできません。
受験算数では、
「小さい方から」や「特別な場合」
という試し方がよく使われます。
このような点に気をつけて試してみると、
10、20、30、40、50、…、100、…200、…、1000、…
のような整数だとわかります。
これらの数に共通することを言葉で説明するとすれば…
「10の倍数」がピッタリですね!
つまり、
「一の位から0が続く整数=10の倍数」
ということです。
ですから、
N=(10の倍数以外の整数)×10×10×…×10
のように表したときの
「×10」の個数を求める問題と同じです。
ここでも前回の約数のときと同じように、
「素因数分解」が登場します。
10=2×5 ですから、
N=2×4×6×…×100=2×2×2×…×2×5×5×5×…×5×(その他の整数)
のように考えます。
たとえば、
2×4×6×8×10
=2×(2×2)×(2×3)×(2×2×2)×(2×5)
=2×2×2×2×2×2×2×2×5×3
なので、
「0」は1個とわかります。
この例を見て気づいたと思いますが、
「×2」はたくさんありますが「×5」が少ないので、
「2×5」は「×5」の個数分しか作ることができません。
つまり、「一の位から0の個数=(×5)の個数」ということです。
素因数分解によって「×5」が見つかる整数は「5の倍数」です。
10=2×5 → 1個
20=2×2×5 → 1個
30=2×3×5 → 1個
40=2×2×2×5 → 1個
50=2×5×5 → 2個
60=2×2×3×5 → 1個
70=2×5×7 → 1個
80=2×2×2×2×5 → 1個
90=2×3×3×5 → 1個
100=2×2×5×5 → 2個
ですから、「×5」は全部で12個なので、答えも12個です。
「×2」は直接関係ないということがわかれば、
N=(2×2×2×…×2)×(1×2×3×…×50) から、
のようにして、「×5」の個数を求めることもできます。
問題文で問われていることが何と同じなのかを考えると、
「書き出し」よりも楽に答えを求めることができます。
(2)は「N÷3÷3÷…÷3=商」という問題です。
実は(1)も
「N÷10÷10÷…÷10=商」
のように
「10で何回割れるか」
と置き換えられますから、
(2)が
「(×3)の個数は何個ありますか」
と同じ問題だとわかります。
(1)の別解を利用すると、
から、22回割り切ることができるとわかりますので、答えは23回目です。
もう1問、ご紹介します。
(問題) 0より大きく1より小さい、分母が80の分数について次の問いに答えなさい。
(1) 約分すると分子が1になる分数は何個ありますか。
(2) 約分ができる分数は何個ありますか。
(1)と(2)は少しだけ問題の条件が異なりますね。
解き方に違いがあるのでしょうか。
(1) 小さい方から順に調べてみましょう。
このことから、
「分子が1になる=もとの分子が80の約数」
ということがわかります。
80の約数の個数は前回(第212回)見たように、
80=2×2×2×2×5 → 5×2=10(個) あります。
このうち、
分子がはじめから1の分数は約分ができませんし、
分子が80の分数は「1より小さい」という条件にあいませんので、
10個-2個=8個 が答えです。
テーマが「倍数」だったのですが、(1)は「約数」の問題でした。
(2)は(1)で調べた6/80のように、
分子と分母の80に公約数があれば約分ができます。
80=2×2×2×2×5 ですから、
分子が2の倍数または5の倍数であれば、
「2」または「5」で約分ができます。
80÷2=40(個)…80以下の2の倍数
80÷5=16(個)…80以下の5の倍数
80÷10=8(個)…80以下の10の倍数
40個+16個-8個=48個…80以下の2または5の倍数
この48個の中に「分子が80の分数」が含まれてますので、
48個-1個=47個が(2)の答えです。
(2)はテーマ通りに「倍数」の問題でした。
(1)と(2)では問題条件が少ししか違いませんでしたが、
(1)は約数、(2)は倍数のように、まったく逆のテーマの問題でした。
数の性質の問題や場合の数の問題では、このようなことがしばしばあります。
「知っている問題に似ているから…」
と思い込みで解くと痛い目に遭うこともあります。
「試す」「調べる」などを行って、
問題の意味を正確にとらえ、
正解を出せるように練習をしていきましょう。
今回も前回に引き続き、テーマは数の性質です。
前回は「約数」について触れましたので、今回は「倍数」です。
「約数」同様、
「6年生になると、5年生のときと何が変わるか」
をみていきましょう。
サレジオ学院 2009年度 入試問題 算数より
(問題) 2×4×6×…×100のように、2から100までの偶数をすべてかけた数をNとします。
(1) Nは一の位から0が何個続きますか。
(2) Nを3でくり返し割るとき、その商が初めて整数でなくなるのは何回目に割ったときですか。
(一部改題)
2から100まで50個の偶数をかけあわせるので、
順々にかけていては制限時間内に答えを求めるということはとてもできません。
「一の位から0が続く」ということの意味を考えましょう。
そこで大切なことは、「たとえば…」と「試してみる」ことです。
といっても、「手当たり次第に試す」という方法はあまりお薦めできません。
受験算数では、
「小さい方から」や「特別な場合」
という試し方がよく使われます。
このような点に気をつけて試してみると、
10、20、30、40、50、…、100、…200、…、1000、…
のような整数だとわかります。
これらの数に共通することを言葉で説明するとすれば…
「10の倍数」がピッタリですね!
つまり、
「一の位から0が続く整数=10の倍数」
ということです。
ですから、
N=(10の倍数以外の整数)×10×10×…×10
のように表したときの
「×10」の個数を求める問題と同じです。
ここでも前回の約数のときと同じように、
「素因数分解」が登場します。
10=2×5 ですから、
N=2×4×6×…×100=2×2×2×…×2×5×5×5×…×5×(その他の整数)
のように考えます。
たとえば、
2×4×6×8×10
=2×(2×2)×(2×3)×(2×2×2)×(2×5)
=2×2×2×2×2×2×2×2×5×3
なので、
「0」は1個とわかります。
この例を見て気づいたと思いますが、
「×2」はたくさんありますが「×5」が少ないので、
「2×5」は「×5」の個数分しか作ることができません。
つまり、「一の位から0の個数=(×5)の個数」ということです。
素因数分解によって「×5」が見つかる整数は「5の倍数」です。
10=2×5 → 1個
20=2×2×5 → 1個
30=2×3×5 → 1個
40=2×2×2×5 → 1個
50=2×5×5 → 2個
60=2×2×3×5 → 1個
70=2×5×7 → 1個
80=2×2×2×2×5 → 1個
90=2×3×3×5 → 1個
100=2×2×5×5 → 2個
ですから、「×5」は全部で12個なので、答えも12個です。
「×2」は直接関係ないということがわかれば、
N=(2×2×2×…×2)×(1×2×3×…×50) から、
のようにして、「×5」の個数を求めることもできます。
問題文で問われていることが何と同じなのかを考えると、
「書き出し」よりも楽に答えを求めることができます。
(2)は「N÷3÷3÷…÷3=商」という問題です。
実は(1)も
「N÷10÷10÷…÷10=商」
のように
「10で何回割れるか」
と置き換えられますから、
(2)が
「(×3)の個数は何個ありますか」
と同じ問題だとわかります。
(1)の別解を利用すると、
から、22回割り切ることができるとわかりますので、答えは23回目です。
もう1問、ご紹介します。
(問題) 0より大きく1より小さい、分母が80の分数について次の問いに答えなさい。
(1) 約分すると分子が1になる分数は何個ありますか。
(2) 約分ができる分数は何個ありますか。
(1)と(2)は少しだけ問題の条件が異なりますね。
解き方に違いがあるのでしょうか。
(1) 小さい方から順に調べてみましょう。
このことから、
「分子が1になる=もとの分子が80の約数」
ということがわかります。
80の約数の個数は前回(第212回)見たように、
80=2×2×2×2×5 → 5×2=10(個) あります。
このうち、
分子がはじめから1の分数は約分ができませんし、
分子が80の分数は「1より小さい」という条件にあいませんので、
10個-2個=8個 が答えです。
テーマが「倍数」だったのですが、(1)は「約数」の問題でした。
(2)は(1)で調べた6/80のように、
分子と分母の80に公約数があれば約分ができます。
80=2×2×2×2×5 ですから、
分子が2の倍数または5の倍数であれば、
「2」または「5」で約分ができます。
80÷2=40(個)…80以下の2の倍数
80÷5=16(個)…80以下の5の倍数
80÷10=8(個)…80以下の10の倍数
40個+16個-8個=48個…80以下の2または5の倍数
この48個の中に「分子が80の分数」が含まれてますので、
48個-1個=47個が(2)の答えです。
(2)はテーマ通りに「倍数」の問題でした。
(1)と(2)では問題条件が少ししか違いませんでしたが、
(1)は約数、(2)は倍数のように、まったく逆のテーマの問題でした。
数の性質の問題や場合の数の問題では、このようなことがしばしばあります。
「知っている問題に似ているから…」
と思い込みで解くと痛い目に遭うこともあります。
「試す」「調べる」などを行って、
問題の意味を正確にとらえ、
正解を出せるように練習をしていきましょう。