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速さ「坂道の問題 2014」

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速さの練習問題 2014年10月25日18時00分
第205回 「2014年入試問題と小5の学習 速さ」




10月の土曜日も今日で最後です。


次の土曜日にこのブログを更新するときには
もう11月になっていることになります。


岡山県では、
学芸館清秀中のA日程が12月6日、
就実中の一期A日程が12月13日、
山陽女子中の1期(一般)が12月14日、
理大附属中や清心中の一次A日程が12月21日のように、
12月から平成27年度中学入試がスタートします。


また、
関西方面から「前受け受験校」として多くの受験生が挑戦する、
岡山中のB方式は1月4日、
東大など難関大学への合格実績で知られる岡山白陵中は1月5日と、
文字通り、受験生には盆も正月もありません。


ここ数回、
中学入試で出題されている定番問題
(その多くは5年生でもチャレンジできる問題です)
をご紹介していますが、
今回は、
この前受け校の2014年の入試問題から、
定番の問題をピックアップしてみます。


5年生の10月末~11月といえば、
受験で必出となっている「平面図形」「速さ」もある程度習い終えた頃ですから、
今回の問題はちょっとした力試しになると思います。




2014年 岡山中 入試問題 算数より

大問5
A地点からB地点までは上り坂で、B地点からC地点までは下り坂になっている道があります。今、ひろこさんがA地点からB地点を通ってC地点まで行くのに3時間かかりました。また、同じ道をC地点からB地点を通ってA地点まで帰るのに3時間15分かかりました。ひろこさんは上り坂を時速4km、下り坂を時速6kmで歩きます。このとき、次の問いに答えなさい。

(1) ひろこさんが上り坂を1km歩くのは、下り坂を1km歩くよりも何分長くかかりますか。
(2) B地点からC地点までの道のりは、A地点からB地点までの道のりよりも何km長いですか。
(3) A地点からB地点を通ってC地点まで行く道のりは何kmですか。








おなじみの「坂道問題」です。


この問題は(1)→(2)→(3)のように「誘導形式」となってますので、
速さを学んだばかりの5年生にはちょうど良い復習問題
とも言えそうです。


(1)は、「距離÷速さ=時間」で計算できます。


1km÷時速4km-1km÷時速6km=1/12時間→5分


(2)は「親切」ですね。


通常ですと、
「AB間とBC間ではどちらが何km長いですか」
のように、
どちらが長いかも伏せてあります。


A→B→Cが3時間、C→B→Aが3.25時間なので、
C→B→Aの方が時間が長くかかっています。


ということは、
C→B→Aの方がA→B→Cよりも「時間のかかる上り坂が長い」ということですね。





さらに、





ということもわかりますから、
A→B→CとC→B→Aにかかる時間の差15分(0.25時間)は、
上の図のPC間を下るか上るかの違いから生じた
ことになります。


上り下りの時間の差は(1)から1mあたり5分とわかってるので、
15分÷1kmあたり5分=3km
が、
PC間の距離だとわかります。


(3) (2)からPC間を下る場合は、
3km÷時速6km=0.5時間
とわかりますので、A→B→Pには、
3時間-0.5時間=2.5時間
かかることがわかります。


(2)の図からもわかるように、
AB間の距離=BP間の距離ですから、
「距離が同じ場合、速さの比と時間の比は逆比の関係になる」

ことを利用して、






①=0.5時間ですから、A→Bは1.5時間かかり、
4km/時×1.5時間=6km とわかります。


ですから、
A地点からB地点を通ってC地点まで行く道のりは、
6km+6km+3km=15km
と求められます。



問題が「誘導形式」になっていること、
(2)で「距離条件」がわかったので「線分図」風に整理すると、
(3)まで一本道で解答できます。




ところで、
この問題の小問が次のようになっていたとしたら
どうすれば良いのかも考えてみて下さい。


A地点からB地点までは上り坂で、B地点からC地点までは下り坂になっている道があります。今、ひろこさんがA地点からB地点を通ってC地点まで行くのに3時間かかりました。また、同じ道をC地点からB地点を通ってA地点まで帰るのに3時間15分かかりました。ひろこさんは上り坂を時速4km、下り坂を時速6kmで歩きます。このとき、次の問いに答えなさい。

(1) A地点からB地点までの道のりは何kmですか。
(2) A地点からB地点を通ってC地点まで行く道のりは何kmですか。







この小問ですと、先ほどのように誘導に乗って解くということができません。


そこで「速さの原則」に従います。


問題文中の条件が「距離条件が0、時間条件が2つ」なので、
「時間条件はダイヤグラム」という原則
通り、
ダイヤグラムを使って整理してみます。




ダイヤグラム解法を利用するときは、
1. 相似
2. 山・谷
3. 平行移動(例:もし休まなければ)
4. 二等辺三角形・平行四辺形
5. 琵琶湖型三角形
を意識しながら、「時間」や「時間の比」に着目します。



上のグラフでまず始めに着目する点は、





のように「山」に着目して、ア:イ=②:③ に気づけます。


すると、





から、ウ:エ=3:2 もわかりますから、

②+3=3時間
③+2=3.25時間

のように、消去算で解けることがわかります。


いわゆる「坂道問題の消去算解法」です。
※ちなみにもとの問題は「坂道問題の過不足算解法」です。


よく練習していれば本問のような定番の条件ですと、







のように、
線分図で整理しても「坂道問題の消去算解法」を使うことができます。




前回のニュートン算では
「複数の解法をマスターした方が有利

ということがわかりましたが、
この「坂道問題」でも、
「消去算解法」と「過不足算解法」を使い分けることができると、
かかる時間の短縮や正答率アップ
につながりそうです。


「もっと上手く解くことはできないのかな?」
という探究心(好奇心?)を持てると、
算数がより得意になれそうですね。

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速さの練習問題 2014年10月25日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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