速さ 2014-03
第202回 「小5の学習 速さ3」
前回は2014年度の首都圏入試問題から、
速さの問題を解法の組み合わせと難度によって分類し、
そのうちから2問をご紹介いたしました。
今回は2014年度の関西の中学入試に出題された速さの問題について考えます。
前回と同様に問題の難度を分類してみると
と、
2014年度は関西でも特殊な解法を必要とする、
上級問題の出題はありませんでした。
その中から、
「円形線分図」を利用する東大寺学園中、
文字数“たっぷり”の西大和学園中(男子)の2問を
ご紹介していきます。
2014年 東大寺学園中 入試問題より
大問1-(3)
ある池のまわりの道を、A君は自転車で、B君は徒歩で、それぞれ一定の速さで廻ります。A君は,午前9時にある地点Pを出発し、午前10時に池のまわりをちょうど5周回って地点Pを通過しました。B君は、午前9時4分に地点PをA君と反対向きに出発しました。2人が3回目に出会ったのは午前9時30分でした。2人が最初に出会ったのは午前9時何分何秒でしたか。
いわゆる「池タイプの旅人算」です。
池のような周回コースでの旅人算のポイントは、
1.分かれてから出会うまでの2人の道のりの和=池1周
2.追いつかれてから再び追いつかれるまでの2人の道のりの差=池1周
の2点です。
ですから、速さや向きが変わらない場合、
「定期的に出会う(または追いつかれる)=○分ごとに出会う」
ということになります。
このことは時計の針のことを思い浮かべるとイメージしやすいでしょう。
アナログ時計の長針は短針を12/11時間ごとに追い越します。
問題に戻ると、
Aは1周に60分÷5周=12分かかり、
9時4分には1/3周進んでいますから、
1回目の出会いまでの円形線分図は
のようになります。
これ以降は、分かれてから出会うまでの2人の道のりの和=池1周ですから、
②+③+③=26分
→ ①=3分15秒
→ ②=6分30秒
午前9時4分+6分30秒=午前9時10分30秒が初めて出会う時刻です。
1周以下の状態ですから通常の線分図でもOKですが、
円形線分図を利用することで、
9時4分から1回目の出会いまでの時間:1回目から2回目に出会うまでの時間=2:3
がよりイメージしやすくなっています。
ではもう1問です。
2014年 西大和学園中(男子) 入試問題より
大問1-(8)
図のようにA駅からB駅まで東西にまっすぐのびる100kmの線路があり、線路沿いにA駅とB駅をふくめて全部で20駅あります。普通列車はA駅を出発してからすべての駅に停車し、快速列車はA駅を出発してからA駅とB駅の間にある18駅のうち9駅とB駅に停車し、特急列車はA駅を出発してからB駅のみに停車します。普通列車は毎時50kmの速さで、快速列車は毎時60kmの速さで、特急列車は毎時80kmの速さで進むものとし、A駅とB駅の間にある駅での停車時間はすべて1分とします。このとき、A駅を出発してからB駅に停車するまでに、普通列車は( ① )分、、快速列車は( ② )分、特急列車は( ③ )分かかります。A駅では、普通列車は8分おきに、快速列車は15分おきにそれぞれ1台ずつ出発します。いま、A駅から普通列車と快速列車と特急列車が同時に出発して、4時間後再び、A駅から普通列車と快速列車と特急列車が同時に出発したとき、4時間後に出発したほうの特急列車はA駅を出発してからB駅に着くまでに( ④ )台の列車を追いこします。ただし、A駅から同時に出発した列車は追い越した台数に含まないものとし、列車の長さは考えないものとします。また、各駅では同時に3台以上の列車が止まったり、追いこしたりすることができます。①~④にあてはまる数を求めなさい。
566文字もある長文問題です。
が、実は①~③はサービス問題です。
「所要時間=走行時間+停車時間」ですから、
100km÷50km/時+1分停車×18駅=2時間18分=138分 が①の答え、
100km÷60km/時+1分停車×9駅=1時間49分=109分 が②の答え、
100km÷80km/時=1時間15分=75分 が③の答えです。
あとは④だけですが、
「列車の問題だからダイヤグラム」と思って
ダイヤグラムを正確に書こうとすると、
となり、とても書ききれません。
(駅間が均等とも書かれていません…)
④は、
「上り列車が出会う下り列車の本数」問題と
同じ考え方で解くとOKです。
上り列車が、
出発して初めに出会う下り列車から最後に出会う下り列車まで
「時間」を利用して解きますね?
4時間後に出発した特急列車の出発時刻を仮に10時0分とすると、
この特急列車が初めて追いこす普通列車は、
9時52分にA駅を出発した普通列車です。
また、
10時にA駅を出発した特急列車は11時15分にB駅に到着し、
10時にA駅を出発した普通列車は12時18分にB駅に到着します。
普通列車はA駅を8分おきに出発していますので、
B駅にも8分おきに到着します。
12時18分-8分×□=11時15分以降
にあてはまる□を求めると、□=7ですから、
特急列車が最後に追いこす普通列車はB駅に11時22分に到着する普通列車です。
この普通列車は
A駅を10時0分に出発する普通列車の7台前の普通列車です(□=7でした)から、
特急列車が追いこす普通列車は7台です。
快速列車についても同様に考えます。
10時0分+1時間49分=11時49分…A駅を出発した快速列車がB駅に到着する時刻
11時49分-15分×□=11時15分以降
→ □=2
→ 特急列車が追いこす快速列車は2台
ですから、7台+2台=9台が④の答えです。
ダイヤグラムをイメージできれば、
(138分-75分)÷8分=7台あまり7分
(109分-75分)÷15分=2台あまり4分
という解き方で、もちろんOKです。
この問題で用いたダイヤグラムは、
「出会う列車の本数」問題では、
「初めて」と「最後に」だけを正確に書く、
中間部分を省略したダイヤグラムです。
今回は、
「池タイプの旅人算」に使う円形線分図、
「出会う列車の本数」問題に使う一部を省略するダイヤグラムのように、
少し特殊な整理方法をご紹介しました。
これから線分図やダイヤグラムを学ぶお子さんの場合、
このような特殊な整理方法も入試問題には必要ですから、
まずは基本となる直線型の線分図や
時刻をすべて書き込んで完成させるダイヤグラムを
自由に使いこなせるように練習をしていけるといいですね。
前回は2014年度の首都圏入試問題から、
速さの問題を解法の組み合わせと難度によって分類し、
そのうちから2問をご紹介いたしました。
今回は2014年度の関西の中学入試に出題された速さの問題について考えます。
前回と同様に問題の難度を分類してみると
と、
2014年度は関西でも特殊な解法を必要とする、
上級問題の出題はありませんでした。
その中から、
「円形線分図」を利用する東大寺学園中、
文字数“たっぷり”の西大和学園中(男子)の2問を
ご紹介していきます。
2014年 東大寺学園中 入試問題より
大問1-(3)
ある池のまわりの道を、A君は自転車で、B君は徒歩で、それぞれ一定の速さで廻ります。A君は,午前9時にある地点Pを出発し、午前10時に池のまわりをちょうど5周回って地点Pを通過しました。B君は、午前9時4分に地点PをA君と反対向きに出発しました。2人が3回目に出会ったのは午前9時30分でした。2人が最初に出会ったのは午前9時何分何秒でしたか。
いわゆる「池タイプの旅人算」です。
池のような周回コースでの旅人算のポイントは、
1.分かれてから出会うまでの2人の道のりの和=池1周
2.追いつかれてから再び追いつかれるまでの2人の道のりの差=池1周
の2点です。
ですから、速さや向きが変わらない場合、
「定期的に出会う(または追いつかれる)=○分ごとに出会う」
ということになります。
このことは時計の針のことを思い浮かべるとイメージしやすいでしょう。
アナログ時計の長針は短針を12/11時間ごとに追い越します。
問題に戻ると、
Aは1周に60分÷5周=12分かかり、
9時4分には1/3周進んでいますから、
1回目の出会いまでの円形線分図は
のようになります。
これ以降は、分かれてから出会うまでの2人の道のりの和=池1周ですから、
②+③+③=26分
→ ①=3分15秒
→ ②=6分30秒
午前9時4分+6分30秒=午前9時10分30秒が初めて出会う時刻です。
1周以下の状態ですから通常の線分図でもOKですが、
円形線分図を利用することで、
9時4分から1回目の出会いまでの時間:1回目から2回目に出会うまでの時間=2:3
がよりイメージしやすくなっています。
ではもう1問です。
2014年 西大和学園中(男子) 入試問題より
大問1-(8)
図のようにA駅からB駅まで東西にまっすぐのびる100kmの線路があり、線路沿いにA駅とB駅をふくめて全部で20駅あります。普通列車はA駅を出発してからすべての駅に停車し、快速列車はA駅を出発してからA駅とB駅の間にある18駅のうち9駅とB駅に停車し、特急列車はA駅を出発してからB駅のみに停車します。普通列車は毎時50kmの速さで、快速列車は毎時60kmの速さで、特急列車は毎時80kmの速さで進むものとし、A駅とB駅の間にある駅での停車時間はすべて1分とします。このとき、A駅を出発してからB駅に停車するまでに、普通列車は( ① )分、、快速列車は( ② )分、特急列車は( ③ )分かかります。A駅では、普通列車は8分おきに、快速列車は15分おきにそれぞれ1台ずつ出発します。いま、A駅から普通列車と快速列車と特急列車が同時に出発して、4時間後再び、A駅から普通列車と快速列車と特急列車が同時に出発したとき、4時間後に出発したほうの特急列車はA駅を出発してからB駅に着くまでに( ④ )台の列車を追いこします。ただし、A駅から同時に出発した列車は追い越した台数に含まないものとし、列車の長さは考えないものとします。また、各駅では同時に3台以上の列車が止まったり、追いこしたりすることができます。①~④にあてはまる数を求めなさい。
566文字もある長文問題です。
が、実は①~③はサービス問題です。
「所要時間=走行時間+停車時間」ですから、
100km÷50km/時+1分停車×18駅=2時間18分=138分 が①の答え、
100km÷60km/時+1分停車×9駅=1時間49分=109分 が②の答え、
100km÷80km/時=1時間15分=75分 が③の答えです。
あとは④だけですが、
「列車の問題だからダイヤグラム」と思って
ダイヤグラムを正確に書こうとすると、
となり、とても書ききれません。
(駅間が均等とも書かれていません…)
④は、
「上り列車が出会う下り列車の本数」問題と
同じ考え方で解くとOKです。
上り列車が、
出発して初めに出会う下り列車から最後に出会う下り列車まで
「時間」を利用して解きますね?
4時間後に出発した特急列車の出発時刻を仮に10時0分とすると、
この特急列車が初めて追いこす普通列車は、
9時52分にA駅を出発した普通列車です。
また、
10時にA駅を出発した特急列車は11時15分にB駅に到着し、
10時にA駅を出発した普通列車は12時18分にB駅に到着します。
普通列車はA駅を8分おきに出発していますので、
B駅にも8分おきに到着します。
12時18分-8分×□=11時15分以降
にあてはまる□を求めると、□=7ですから、
特急列車が最後に追いこす普通列車はB駅に11時22分に到着する普通列車です。
この普通列車は
A駅を10時0分に出発する普通列車の7台前の普通列車です(□=7でした)から、
特急列車が追いこす普通列車は7台です。
快速列車についても同様に考えます。
10時0分+1時間49分=11時49分…A駅を出発した快速列車がB駅に到着する時刻
11時49分-15分×□=11時15分以降
→ □=2
→ 特急列車が追いこす快速列車は2台
ですから、7台+2台=9台が④の答えです。
ダイヤグラムをイメージできれば、
(138分-75分)÷8分=7台あまり7分
(109分-75分)÷15分=2台あまり4分
という解き方で、もちろんOKです。
この問題で用いたダイヤグラムは、
「出会う列車の本数」問題では、
「初めて」と「最後に」だけを正確に書く、
中間部分を省略したダイヤグラムです。
今回は、
「池タイプの旅人算」に使う円形線分図、
「出会う列車の本数」問題に使う一部を省略するダイヤグラムのように、
少し特殊な整理方法をご紹介しました。
これから線分図やダイヤグラムを学ぶお子さんの場合、
このような特殊な整理方法も入試問題には必要ですから、
まずは基本となる直線型の線分図や
時刻をすべて書き込んで完成させるダイヤグラムを
自由に使いこなせるように練習をしていけるといいですね。