塾テスト研究 SAPIX・浜学園 7
第199回 「塾テスト研究 浜学園 小4」2
前回は、関西大手進学塾 浜学園の4年生の
「公開学力テスト」と「小4実力テスト」の特徴を見ました。
公開学力テストはA・Bレベルが中心のテストでしたが、
実は「図や絵、線分図や数直線を書いて考える」学習方法と、
「公式(知識)を覚え、その理由を理解する」という学習の
2点が求められているということがみえてきました。
そこで今回は、実力テストに出題されている問題をみていきたいと思います。
浜学園 小4実力テスト 算数Ⅱより
大問1-(2)
次の計算をしなさい。
25×64×375÷200
単に計算をしてもよいですし、
5年生で算数の力をさらに伸ばしたいお子さんは
「計算の工夫」ができないかを考えてみましょう。
5年生以降で必要な力のひとつ、「素因数分解」に関係するからです。
「知識」として、
4×25=100、8×125=1000が身についていると、
25×64×375÷200
=25×4×2×8×125×3÷200
=100×2×1000×3÷200
=1000×3
3000
のように、
「筆算を使わない」で答えをだすことができます。
分数の乗除ができる場合は、
25×4×2×8×125×3/200
=8×125×3/1
3000
のように、
「約分」を使って、さらに計算を楽にすることができます。
大問1-(3)
次の計算をしなさい。
51.4×12+24.3×24
この問題も単に計算をして答えを求めてもOKです。
しかし、円の面積や周・弧の長さの計算でよく使う
「分配法則」を使って計算すると楽ですし、
楽ということは計算まちがいをしにくくなるという効果があります。
51.4×12+24.3×24
=51.4×12+24.3×2×12
=(51.4+48.6)×12
=100×12
1200
大問2-(2)
用意したおはじきを、9人の子どもに同じ個数ずつできるだけ多くなるように分けると、1人分の個数とあまった個数が同じになりました。用意していたおはじきの個数として考えられる個数のうち、最も多い場合の個数を求めなさい。
この問題を正解することは難しくないと思いますが、
「きちんと考え」て解いているか、
「なんとなく」解いているかによって、
5年生での「伸び」に差が出る可能性があります。
「きちんと」というのは、
「順番に調べよう」でも構いませんし、
「まずは問題の意味を式や図で考えてみよう」でもOKです。
一般に「○で割りきれる」「○で割ると☆あまる」といった「数の問題」は、
式に直すと考えやすいです。
(用意したおはじき)÷9人=(1人分のおはじきの個数)…(あまり)
つまり、
□÷9=☆あまり☆
この次がポイントです。
「最も多い場合」という問題条件は、
これからの難問でもしばしば登場します。
「用意したおはじきが最も多い」ということは、
「あまりが最も多い」と同じです。
上の式から、☆=0~8 なので、
☆=9のときが最も多い場合になります。
□÷9=8あまり8
□=9×8+8=80(個)
上記のようにならなくても、
「あまりが8のときが最大」という考えができていれば、
「きちんと考え」たと思ってよいでしょう。
お子さんの学力が気になったとき、
その目線は正答率の低い問題が正解できるかどうかに行きがちです。
しかし、
「そのような難問を正解できるようになるためにはどんな学習をすればよいか」
ということは、
お父さん・お母さんには分かりにくいこともあると思います。
実は、
5年生で成績が急落する危険があるかないかは、
正答率が高い問題で「理由が説明できる」かどうかでも
判断ができるのです。
正答率が高い問題は「やさしい問題」ですから、
お子さんも説明しやすいですし、
お父さん・お母さんもその説明が正しいかどうか判断しやすいです。
もし正しくなければ、
「学習の要点や例題の説明を学び直させる」
といった比較的容易な家庭学習も可能です。
お子さんの学力が気になったときは、
「正答率が高い問題」を利用してみて下さい。
では、最後にもう1問です。
大問2-(3)
1辺6cmの正方形の面積は、1辺2cmの正方形の面積の何倍ですか。
6cm×6cm=36cm2 2cm×2cm=4cm2 36cm2÷4cm2=9(倍)
この答え方で、もちろんOKです。
その上で
「他に考え方はないかな?」
「図を書いて考えてみたらどうなる?」
のような、問いかけをしてみてください。
計算せずとも9倍とわかりますよね。
こんな「感動」をお子さんに与えることができれば、
「算数っておもしろい」
「算数は難しくない」
「図を書くことは大切なんだ」
と気づくことができ、
お子さんの学習スタイルが、
5年生以降の算数の力を伸ばすために必要な、
「暗記」から「考える」に変わっていくきっかけにもなっていくと思います。
【おまけ】
難しめの問題として、中学入試でも有名な問題をご紹介します。
浜学園 小4実力テスト 算数Ⅱより 大問8
けんた君とゆうた君は、2人とも自分の歩幅が45cmだと思っています。ある日、2人が廊下の長さを歩いて測ったら、けんた君は63m、ゆうた君は72mになりました。これはおかしいと思い、2人は歩幅の違いを測ってみると、けんた君の歩幅はゆうた君の歩幅よりも6cm短いことが分かりました。廊下の長さは何mですか。
「狂った巻き尺」問題の基本形です。
けんた君は、6300cm÷45cm=140歩 歩き、
ゆうた君は、7200cm÷45cm=160歩 歩いたので
廊下の長さを、けんた君は63m、ゆうた君は72mだと思ったのです。
歩幅×歩数=歩いた距離(廊下の長さ)ですから、
この問題は下の図のように表せます。
(面積図以外に線分図でもOKですし、
比が使えるお子さんはそれでも構いません。)
廊下の長さは、
けんた君の場合はア+ウ、
ゆうた君の場合はイ+ウですから、
長方形アの面積=長方形イの面積とわかり、
長方形アの面積(廊下の長さの一部)は6cm×140歩=840cm なので、
ゆうた君の歩幅=840cm÷(160歩-140歩)=42cm
廊下の長さ=0.42m×160歩=67.2m
と求められます。
前回は、関西大手進学塾 浜学園の4年生の
「公開学力テスト」と「小4実力テスト」の特徴を見ました。
公開学力テストはA・Bレベルが中心のテストでしたが、
実は「図や絵、線分図や数直線を書いて考える」学習方法と、
「公式(知識)を覚え、その理由を理解する」という学習の
2点が求められているということがみえてきました。
そこで今回は、実力テストに出題されている問題をみていきたいと思います。
浜学園 小4実力テスト 算数Ⅱより
大問1-(2)
次の計算をしなさい。
25×64×375÷200
単に計算をしてもよいですし、
5年生で算数の力をさらに伸ばしたいお子さんは
「計算の工夫」ができないかを考えてみましょう。
5年生以降で必要な力のひとつ、「素因数分解」に関係するからです。
「知識」として、
4×25=100、8×125=1000が身についていると、
25×64×375÷200
=25×4×2×8×125×3÷200
=100×2×1000×3÷200
=1000×3
3000
のように、
「筆算を使わない」で答えをだすことができます。
分数の乗除ができる場合は、
25×4×2×8×125×3/200
=8×125×3/1
3000
のように、
「約分」を使って、さらに計算を楽にすることができます。
大問1-(3)
次の計算をしなさい。
51.4×12+24.3×24
この問題も単に計算をして答えを求めてもOKです。
しかし、円の面積や周・弧の長さの計算でよく使う
「分配法則」を使って計算すると楽ですし、
楽ということは計算まちがいをしにくくなるという効果があります。
51.4×12+24.3×24
=51.4×12+24.3×2×12
=(51.4+48.6)×12
=100×12
1200
大問2-(2)
用意したおはじきを、9人の子どもに同じ個数ずつできるだけ多くなるように分けると、1人分の個数とあまった個数が同じになりました。用意していたおはじきの個数として考えられる個数のうち、最も多い場合の個数を求めなさい。
この問題を正解することは難しくないと思いますが、
「きちんと考え」て解いているか、
「なんとなく」解いているかによって、
5年生での「伸び」に差が出る可能性があります。
「きちんと」というのは、
「順番に調べよう」でも構いませんし、
「まずは問題の意味を式や図で考えてみよう」でもOKです。
一般に「○で割りきれる」「○で割ると☆あまる」といった「数の問題」は、
式に直すと考えやすいです。
(用意したおはじき)÷9人=(1人分のおはじきの個数)…(あまり)
つまり、
□÷9=☆あまり☆
この次がポイントです。
「最も多い場合」という問題条件は、
これからの難問でもしばしば登場します。
「用意したおはじきが最も多い」ということは、
「あまりが最も多い」と同じです。
上の式から、☆=0~8 なので、
☆=9のときが最も多い場合になります。
□÷9=8あまり8
□=9×8+8=80(個)
上記のようにならなくても、
「あまりが8のときが最大」という考えができていれば、
「きちんと考え」たと思ってよいでしょう。
お子さんの学力が気になったとき、
その目線は正答率の低い問題が正解できるかどうかに行きがちです。
しかし、
「そのような難問を正解できるようになるためにはどんな学習をすればよいか」
ということは、
お父さん・お母さんには分かりにくいこともあると思います。
実は、
5年生で成績が急落する危険があるかないかは、
正答率が高い問題で「理由が説明できる」かどうかでも
判断ができるのです。
正答率が高い問題は「やさしい問題」ですから、
お子さんも説明しやすいですし、
お父さん・お母さんもその説明が正しいかどうか判断しやすいです。
もし正しくなければ、
「学習の要点や例題の説明を学び直させる」
といった比較的容易な家庭学習も可能です。
お子さんの学力が気になったときは、
「正答率が高い問題」を利用してみて下さい。
では、最後にもう1問です。
大問2-(3)
1辺6cmの正方形の面積は、1辺2cmの正方形の面積の何倍ですか。
6cm×6cm=36cm2 2cm×2cm=4cm2 36cm2÷4cm2=9(倍)
この答え方で、もちろんOKです。
その上で
「他に考え方はないかな?」
「図を書いて考えてみたらどうなる?」
のような、問いかけをしてみてください。
計算せずとも9倍とわかりますよね。
こんな「感動」をお子さんに与えることができれば、
「算数っておもしろい」
「算数は難しくない」
「図を書くことは大切なんだ」
と気づくことができ、
お子さんの学習スタイルが、
5年生以降の算数の力を伸ばすために必要な、
「暗記」から「考える」に変わっていくきっかけにもなっていくと思います。
【おまけ】
難しめの問題として、中学入試でも有名な問題をご紹介します。
浜学園 小4実力テスト 算数Ⅱより 大問8
けんた君とゆうた君は、2人とも自分の歩幅が45cmだと思っています。ある日、2人が廊下の長さを歩いて測ったら、けんた君は63m、ゆうた君は72mになりました。これはおかしいと思い、2人は歩幅の違いを測ってみると、けんた君の歩幅はゆうた君の歩幅よりも6cm短いことが分かりました。廊下の長さは何mですか。
「狂った巻き尺」問題の基本形です。
けんた君は、6300cm÷45cm=140歩 歩き、
ゆうた君は、7200cm÷45cm=160歩 歩いたので
廊下の長さを、けんた君は63m、ゆうた君は72mだと思ったのです。
歩幅×歩数=歩いた距離(廊下の長さ)ですから、
この問題は下の図のように表せます。
(面積図以外に線分図でもOKですし、
比が使えるお子さんはそれでも構いません。)
廊下の長さは、
けんた君の場合はア+ウ、
ゆうた君の場合はイ+ウですから、
長方形アの面積=長方形イの面積とわかり、
長方形アの面積(廊下の長さの一部)は6cm×140歩=840cm なので、
ゆうた君の歩幅=840cm÷(160歩-140歩)=42cm
廊下の長さ=0.42m×160歩=67.2m
と求められます。