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塾テスト研究 SAPIX・浜学園

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受験算数と塾の使い方 2014年08月02日18時00分
第193回 「塾テスト研究 SAPIX・浜学園 小5」






今回は首都圏で有数の大手進学塾、SAPIXと、
灘中をはじめとした難関中合格実績で有名な関西の浜学園の
小5のテストについて考えてみます。


SAPIX小5のテストは大きく2種類に分かれます。


ひとつが学習到達度を測る、
「組分けテスト」「マンスリー」「復習テスト」です。


組分けテストは年3回の実施ですから、
総まとめ≒実力テストという側面もありますが、
マンスリーや復習テストは、
前回のテストから今回のテストまでに学んだことが出題の中心となる
「試験範囲がある」テストです。


もうひとつは志望校の適正や合格可能性を判定する、
「サピックスオープン」です。


中でも5年生の9月に実施される「志望校診断サピックスオープン」から
6年生の前半に実施される「志望校判定サピックスオープン」では、
Aタイプ(基礎力・問題処理能力重視)とBタイプ(思考力・記述力重視)の
2つのタイプの問題が出題されます。


この2つのテストのちがいについて
もう少し詳しく見ていきます。


次の表はある年の8月マンスリーと
9月サピックスオープンの
出題構成と難度を分類したものです。



これを見ると、
オープンの前半5題(大問1~5)はマンスリーと同レベル、
後半3題(大問6~8)はマンスリー以上のレベルであることがわかります。


別の見方をすると、
オープンの前半5題(大問1~5)がAタイプ(基礎力・問題処理能力重視)、
後半3題(大問6~8)がBタイプ(思考力・記述力重視)
といえます。


後半の3題はお子さんにとって、
ほぼ初めてといえるタイプの問題です。



この初見の問題の中から、
今の自分が正解できる問題を見つけ、
確実に解くことができると、
マンスリー以上の成績が獲得できます。


では、浜学園のテストはどうでしょうか?


浜学園小5のテストは大きく3つに分かれます。


そのうちの2つは、
SAPIXの「組分けテスト」に相当する「公開学力テスト」、
「サピックスオープン」にあたる「小5志望校判定模試」です。


公開学力テストは、毎週の復習テストと合わせて、
結果でクラスが決まるものです。


5年生の既習範囲という「範囲があるテスト」のようにも見えますが、
点数の差がつく問題は完全な実力問題です。


小5志望校判定模試は年2回の実施で、
SAPIX同様、基礎力・問題処理能力重視の算数Ⅰと
思考力・記述力重視の算数Ⅱという、
2つのテストからなっています。


3つ目はテストではないのですが、
「小5灘中対策講座」です。


小5灘中対策講座はテストと授業という組み合わせで、
「難問の特訓を行うと共に灘中に対する確固たる意識を持っていただくため」
(浜学園HPより)
のものです。




このように、5年生になると、
毎週塾で学んでることの定着と復習を測るテストの他に、
学んできたことを使って解く応用問題を中心とした実力テスト
実施されるようになります。


実際の問題をみて、具体的な違いを見てみましょう。




SAPIX 8月マンスリーより
【問題7】次のように、あるきまりにしたがって左から右に数が並んでいます。
1、1、2、1、1、2、3、2、1、1、2、3、4、3、2、1、1、2、…
(1) 左から40番目の数は何ですか。
(2) 7が10回目に出てくるのは左から何番目ですか。








グループ内の個数が増えていく「増殖タイプの群数列」です。


数列は「規則性」の問題ですから、
「表にまとめて規則を発見」が基本方針です。






この表から、
40番目=1個+3個+5個+7個+9個+11個+4個
→ 40番目の整数は、第7群の4番目とわかるので
(1)の答えは 4 とわかります。


各群に並んでいる最も大きい整数は群の番号と同じですから、
「7」が初めて出てくるのは、第7群で1個だけです。


並んでいる整数は左右対称になっていますので、
第8群以降、「7」は2個ずつ並んでいることになり、
10回目の「7」は、
10=1個+2個+2個+2個+2個+1個 → 第12群の7番目 にあります。


第11群の個数は、11×2-1=21個 なので、
第12群の7番目の整数は 1個+3個+…+21個+7個=128番目となり、
これが(2)の解答です。




これがサピックスオープンになると、どう難しくなるのでしょうか?


【問題4】連続する整数を順に書き、数字が何個並ぶかを考えます。たとえば、8から12までの5個の整数を書くと、
8、9、10、11、12(5個の整数)→8、9、1、0、1、1、1、2(8個の数字)
のように、8個の数字が並びます。次の問いに答えなさい。
(1) 90から120までの整数を書くと、何個の数字が並びますか。
(2) 連続する70個の整数を書くと、170個の数字が並びました。いくつからいくつまでの整数を書きましたか。








整数を数字にバラしていく「桁バラし」の問題です。


(1)
90から99までの整数はそれぞれ2個の数字、
100から120までの整数はそれぞれ3個の数字にバラせますから、
2個×10+3個×21=83個が(1)の答えです。


(2)
もし、70個の整数がすべて2けたの整数であれば、
数字は2個×70=140個 にしかなりませんので、
2けたの整数と3けたの整数が混じっていることがわかります。


「つるかめ算」ですね。


「バラすと2個の数字になる整数と3個になる整数があわせて70個あり、
数字が全部で170個になる」
という問題と同じです。


あとは計算式や面積図などを利用してつるかめ算で解いていきます。


(170個-2個×70)÷(3個-2個)=30 → 3けたの整数の個数


ですから、2けたの整数40個と3けたの整数30個が連続しているので、
60から129までが(2)の解答です。



【問題7】3けたの整数Aについて、(百の位の数)×(十の位の数)+(一の位の数)を計算し、その結果を【A】とします。
たとえば、
【123】=1×2+3=5
【405】=4×0+5=5
のようになります
次の問いに答えなさい。
(1) 【A】=20となる整数のうち、最も大きいものと最も小さいものを答えなさい。
(2) 【A】=36となる整数Aは全部で何個ありますか。








(1)
最大の整数は999ですが、【999】=9×9+9=90 で20よりも大きすぎます。
最大の整数に近い900台の整数で考えると、9×□+☆=20 から、
9×2+2 が見つかります。 →最大の整数 922


最小の整数は100ですが、【100】=1×0+0=0 で20よりも小さすぎます。
最小の整数に近い100台で考えると、1×9+9=18 となり、
100台では無理なことがわかります。


そこで200台で考え、2×□+☆=20 から、2×6+8=20 が見つかります。
最小の整数 268


(2)
ア×イ+ウ=36 を考えます。
(1)の答えを見つける過程から、
ウ=0~9 の10通りから考えると良いことがわかっていますので、
場合分けして解くことに気づけます。


ア、イに1けたの整数しか入らないことに注意して表を作ります。






表から、(2)の答えは13個とわかりました。




マンスリーの最後から2題目の問題レベルと、
サピックスオープンの中間点である4題目の問題のレベルはほぼ同じですが、
マンスリーの最後から2題目の問題が、
公式通りに解けば良い問題であったのに対し、
サピックスオープンでは、
数の性質に見えた問題が実はつるかめ算だった、
といったように一工夫なされています。



さらに、
マンスリーの最後から2題目の問題は、
(1)が(2)を解くためのヒントとなってますので、
このことに気づかないと解答作成に時間がかかってしまいます。



サピックスオープンは試験時間の割に問題の難度が高いので、
「モタモタ」していると、最後の問題まで手が回りません。




このように、
学習到達度を測るテストと、
志望校の適正や合格可能性を判定するテストでは、
問題のタイプと問題のレベルが異なり、
結果として時間不足になることもあります。


サピックスオープンでいえば、
Bタイプの問題にこの夏休みの間に一度は触れ、
マンスリーの問題と解き方がどう異なるのかを知って、
9月7日のテストに備えができるといいですね。


次回は浜学園の問題に触れてみたいと思います。


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受験算数と塾の使い方 2014年08月02日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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