2015年 中学受験対策 立体切断1
第180回 「立体切断 1」
今回は「立体切断」の苦手克服がテーマです。
立体切断の問題も他の問題と同様に年々難度が上がり、
2014年度入試では「切断面の面積比」のような、
作図ができなければ正解が困難な問題も、複数の学校で出題されました。
そこで、今回は過去にご紹介しました「切断の3原則(第174回)」や
「スライス解法(第172回)」といった切断の基本解法を習い終え、
「基本的な問題は解けるのだけれど、少しひねられると…」
という足踏み状態を解消する、そんなヒントを考えてみたいと思います。
2014年 ラ・サール中 入試問題 算数
大問6
AB=AC=6cmの直角二等辺三角形を底面とし、AD=6cmを高さとする三角すいがあります。図の点E、Fはそれぞれ辺DB、辺DCのまん中の点です。また、点G、Hはそれぞれ辺DB、辺AB上で、DG:GB=AH:HB=1:2となる点です。この三角すいを、次のそれぞれの平面で切るとき、辺ADを含む方の立体の体積を求めなさい。ただし、角すいの体積は、(底面積)×(高さ)÷3 です。
(1)3点、A、E、Fを通る面で切るとき。
(2)3点、F、G、Hを通る面で切るとき。
図形問題に取り組むときに最も大切にしたいことは、
「問題文の条件を確認する→条件を図に書き込む」という手順です。
「図を見る→問題文の条件を探す」という取り組み方は、
基本問題~中級問題では不都合はありません。
しかし、上級問題~応用問題では条件の整理が不十分になり、
思わぬ間違いや回り道による時間の浪費などにつながることがあります。
ひねられた問題が解けない場合、まずこの点をチェックしてみましょう。
この問題であれば
1行目の「直角」、2行目の「高さ(底面に垂直)」
という条件を図中に書き込めているかどうかでわかります。
(1)は、「立体切断の基本問題+立体図形の体積の中級問題」です。
切断面は「切断の3原則」の「1.同じ面上の点を結ぶ」だけで作図できます。
体積は「区切り面積の利用(底面積比)」で求められます。
図形の向きを変えてみると、
となりますから、
より、
6cm×6cm÷2×6cm÷3×1/4=9cm3が(1)の答えです。
続けて(2)です。
までは簡単です。
問題はこの先です。
「切断の3原則」のうち、
「1.同じ面の点を結ぶ」に使える点は残っていません。
そこで「2.向かい合う面の切り口は平行」を使いたいのですが、
「向かい合う面」というのは「平行な2面」という意味ですが、
三角すいには平行な2面はありません。
そこで「3.延長」を使うことになります。
立方体の場合は「第174回」でもご紹介しましたように、
合同な立方体を隣にくっつければよいのですが、
三角すいの場合はどうすれば良いのでしょう…?
三角すいの場合は、「三角すいは三角柱の一部分」と考えます。
つまり、底面を真上にスライドさせるイメージです。
この図を真上から見ると、
のように見えますから、切断線FGも
のようになります。
ということは、
三角柱を上から下に向かってまっすぐ切ったことになるので、
のような切断面が作図できます。
そしてこの図があると、
体積を求めるのに「高さの平均」が使えることもわかります。
AD=6cm、AB:HB=3:2ですから、GH=6cm×2/3=4cm です。
また、AD=6cm、AC:IC=2:1ですから、FI=6cm×1/2=3cm です。
底面(三角形AHI)の面積は、
AH:AB=1:3、AI:AC=1:2ですから、
隣辺比の考え方を使うと、
三角形ABCの面積の1/3×1/2=1/6 とわかります。
ですから、
6cm×6cm÷2×1/6×(6cm+4cm+3cm)/3=13cm3
が求める立体の体積です。
ところで、「3.延長」の使い方がもうひとつありますから、
そちらもご紹介しておきます。
こちらの方が作図しやすいというお子さんは、もちろんそれでOKです。
底面である三角形ABCの辺BCを延長し、直線GFの延長線との交点Jを使う方法です。
この方法は、
底面からの高さが点Gのほうが点Fよりも高いので、直線GFが右下がりになるはず…
ということがわかるお子さん向きです。
あとは「ベンツ切り(辺の比と面積比)」を利用して
点Iが辺ACのまん中の点であることを求めれば、体積の計算ができます。
立体切断で少しひねられた問題が解けない理由のひとつは、
切断の3原則のうち、「3.延長」が使えない点にあります。
三角すいの切断問題で「3.延長」を使うときには
上記のような2つの方法がありますが、
はじめのうちは「合同な立方体をつぎたす」に考え方が近い、
「三角すいがピッタリ入る三角柱を作図」という練習をして、
「3.延長」のスキルを高めていきましょう。
今回は「立体切断」の苦手克服がテーマです。
立体切断の問題も他の問題と同様に年々難度が上がり、
2014年度入試では「切断面の面積比」のような、
作図ができなければ正解が困難な問題も、複数の学校で出題されました。
そこで、今回は過去にご紹介しました「切断の3原則(第174回)」や
「スライス解法(第172回)」といった切断の基本解法を習い終え、
「基本的な問題は解けるのだけれど、少しひねられると…」
という足踏み状態を解消する、そんなヒントを考えてみたいと思います。
2014年 ラ・サール中 入試問題 算数
大問6
AB=AC=6cmの直角二等辺三角形を底面とし、AD=6cmを高さとする三角すいがあります。図の点E、Fはそれぞれ辺DB、辺DCのまん中の点です。また、点G、Hはそれぞれ辺DB、辺AB上で、DG:GB=AH:HB=1:2となる点です。この三角すいを、次のそれぞれの平面で切るとき、辺ADを含む方の立体の体積を求めなさい。ただし、角すいの体積は、(底面積)×(高さ)÷3 です。
(1)3点、A、E、Fを通る面で切るとき。
(2)3点、F、G、Hを通る面で切るとき。
図形問題に取り組むときに最も大切にしたいことは、
「問題文の条件を確認する→条件を図に書き込む」という手順です。
「図を見る→問題文の条件を探す」という取り組み方は、
基本問題~中級問題では不都合はありません。
しかし、上級問題~応用問題では条件の整理が不十分になり、
思わぬ間違いや回り道による時間の浪費などにつながることがあります。
ひねられた問題が解けない場合、まずこの点をチェックしてみましょう。
この問題であれば
1行目の「直角」、2行目の「高さ(底面に垂直)」
という条件を図中に書き込めているかどうかでわかります。
(1)は、「立体切断の基本問題+立体図形の体積の中級問題」です。
切断面は「切断の3原則」の「1.同じ面上の点を結ぶ」だけで作図できます。
体積は「区切り面積の利用(底面積比)」で求められます。
図形の向きを変えてみると、
となりますから、
より、
6cm×6cm÷2×6cm÷3×1/4=9cm3が(1)の答えです。
続けて(2)です。
までは簡単です。
問題はこの先です。
「切断の3原則」のうち、
「1.同じ面の点を結ぶ」に使える点は残っていません。
そこで「2.向かい合う面の切り口は平行」を使いたいのですが、
「向かい合う面」というのは「平行な2面」という意味ですが、
三角すいには平行な2面はありません。
そこで「3.延長」を使うことになります。
立方体の場合は「第174回」でもご紹介しましたように、
合同な立方体を隣にくっつければよいのですが、
三角すいの場合はどうすれば良いのでしょう…?
三角すいの場合は、「三角すいは三角柱の一部分」と考えます。
つまり、底面を真上にスライドさせるイメージです。
この図を真上から見ると、
のように見えますから、切断線FGも
のようになります。
ということは、
三角柱を上から下に向かってまっすぐ切ったことになるので、
のような切断面が作図できます。
そしてこの図があると、
体積を求めるのに「高さの平均」が使えることもわかります。
AD=6cm、AB:HB=3:2ですから、GH=6cm×2/3=4cm です。
また、AD=6cm、AC:IC=2:1ですから、FI=6cm×1/2=3cm です。
底面(三角形AHI)の面積は、
AH:AB=1:3、AI:AC=1:2ですから、
隣辺比の考え方を使うと、
三角形ABCの面積の1/3×1/2=1/6 とわかります。
ですから、
6cm×6cm÷2×1/6×(6cm+4cm+3cm)/3=13cm3
が求める立体の体積です。
ところで、「3.延長」の使い方がもうひとつありますから、
そちらもご紹介しておきます。
こちらの方が作図しやすいというお子さんは、もちろんそれでOKです。
底面である三角形ABCの辺BCを延長し、直線GFの延長線との交点Jを使う方法です。
この方法は、
底面からの高さが点Gのほうが点Fよりも高いので、直線GFが右下がりになるはず…
ということがわかるお子さん向きです。
あとは「ベンツ切り(辺の比と面積比)」を利用して
点Iが辺ACのまん中の点であることを求めれば、体積の計算ができます。
立体切断で少しひねられた問題が解けない理由のひとつは、
切断の3原則のうち、「3.延長」が使えない点にあります。
三角すいの切断問題で「3.延長」を使うときには
上記のような2つの方法がありますが、
はじめのうちは「合同な立方体をつぎたす」に考え方が近い、
「三角すいがピッタリ入る三角柱を作図」という練習をして、
「3.延長」のスキルを高めていきましょう。