2015年度 中学入試に向けて 3
第177回 「場合の数 3」
明治大学付属明治中(日能研 2014年度入試結果R4偏差値60)
平成26年度用 中学校別入試問題シリーズ(東京学参)
今回は「場合の数」の苦手克服の第3回、「場合分け」です。
「場合分け」は、5段ある「場合の数」の階段の4段目です。
問題の条件から解法の方針を決定し、
積の法則や和の法則、書き出しなどの1~3段目の解法テクニックを使って、
それぞれ何通りあるかを求めます。
この方針を決定するために、
「場合の数」以外の単元の知識も必要となってくることが、
他の階段と異なっています。
今回ご紹介する2014年度の入試問題は、
「数の性質」の知識を必要とする問題です。
【場合分けが使えいるようになっているかを確認する問題】
明治大学付属明治中 2014年度 入試問題 より
大問4
1、2、3の数字のカードがそれぞれ3枚ずつ、合計9枚あります。このとき、次の各問いに答えなさい。
(1)9枚のカードから3枚を取り出して並べ、3けたの整数をつくります。できる整数は全部で何通りありますか。
(2)9枚のカードから4枚を取り出して並べ、4けたの整数をつくります。そのうち、1122や3313のように 2種類の数字だけでできる整数は全部で何通りありますか。
(3)9枚のカードから4枚を取り出して並べ、4けたの整数をつくります。そのうち、3の倍数は全部で何通りありますか。
(1) 「3けたの整数」という条件だけですから、
一の位から数えて3けた目にあたる百の位について、
百の位の数が「1」の場合、「2」の場合、「3」の場合のように
場合分けをしていきます。
同じ数字のカードが3枚ずつありますから、
例えば、百の位が「1」の場合、次のような樹形図になります。
百の位の数は「2」の場合、「3」の場合でも同じ形状になりますから、
積の法則が使えます。
3×3×3=27(通り)
(2) 3種類のカードのうち、「1」「2」を使う場合を考えてみます。
4けたのうち、
「1」が3カ所、「2」が1カ所に使われている場合、
「1」が2カ所、「2」が2カ所に使われている場合、
「1」が1カ所、「2」が3カ所に使われている場合、
の3つの場合に分けることができます。
「1」が3カ所、「2」が1カ所に使われている場合は、
の、4通りです。
「1」が2カ所、「2」が2カ所に使われている場合は、
の、6通りです。
「1」が1カ所、「2」が3カ所に使われている場合は、
の、4通りです。
ですから、
「1」「2」だけで4けたの整数をつくる方法は和の法則で、
4+6+4=14(通り)です。
「1」「3」だけで4けたの整数をつくる方法も、
「2」「3」だけで4けたの整数をつくる方法も、
それぞれ同じ14通りとわかりますから、
14通り×3=42通りが答えです。
この問題を樹形図を書かないで解く方法もあります。
少し難しい場合の数を考えるときは、
①どんな組み合わせがあるか
②それぞれの組み合わせの並べ方は何通りあるか
の順に考えるようにします。
(2)であれば、はじめに
「3カ所で使うカードAと1カ所で使うカードBの組み合わせ」
を考えます。
Aに使えるカードは「1」か「2」か「3」の3通り、
Bに使えるカードはAに使ったカード以外の2通りですから、
3通り×2通り=6通り あります。
次に、
4枚のカード、A、A、A、Bの並べ方が何通りあるか
を考えます。
Bの並べ方は、千の位か、百の位か、十の位か、一の位の4通りです。
ですから、
「3カ所で使うカードAと1カ所で使うカードB」で4けたの整数をつくる方法は、
6通り×4通り=24通り です。
「2カ所で使うカードAと2カ所で使うカードBの組み合わせ」も
同じように考えます。
AもBも2カ所に使いますから、
例えば、Aが「1」、Bが「2」で4けたの整数をつくった場合と、
Aが「2」、Bが「1」で4けたの整数をつくった場合では、
同じ整数ができてしまい、区別がつきません。
「組み合わせ」を使う問題ですね。
しかし、
「2カ所で使うカードAと2カ所で使うカードBの組み合わせ」は、
使わない残りの1枚のカードについて考えると、
より簡単に解くことができます。
このような考え方を「余事象」といい、
難しい問題を解くときにとても便利ですから、
ぜひ使い方を練習してみて下さい。。
さて、余事象の考え方を利用すると、
3枚のカードのうち使わない1枚のカードは
「1」か「2」か「3」の3通りですから、
2カ所で使うカードAと2カ所で使うカードBの組み合わせ」も
3通りと決まります。
次に、
4枚のカード、A、A、B、Bの並べ方が何通りあるか
を考えます。
Aは千の位か、百の位か、十の位か、一の位の2カ所にはいりますから、
「組み合わせ」の考え方を使って、
4×3÷2=6(通り)とわかります。
ですから、
「2カ所で使うカードAと2カ所で使うカードB」で4けたの整数をつくる方法は、
3通り×6通り=18通り です。
これらのことより、24通り+18通り=42通り が(2)の答えとして求められます。
テストでは、
のような書き方もあるでしょう。
(3) では、
整数の性質「倍数判定法」の知識と
(2)の文中にあるヒントを使います。
「3の倍数は、各位の数の和が3の倍数」です。
さらに(2)をヒントにして、
・1種類の数字で4けたの整数をつくる…(A、A、A、A)
・2種類の数字で4けたの整数をつくる…(A、A、A、B)、(A、A、B、B)
・3種類の数字で4けたの整数をつくる…(A、A、B、C)
の3つの場合に分けて、和が3の倍数になるものを求めます。
(A、A、A、A)の場合
A+A+A+A=A×4 なので、
A=3 のときが、3の倍数です。
→「3333」の1通りですが、3のカードは3枚しかありませんので、「3333」をつくることはできません。
(A、A、A、B)の場合
A×3+B 、つまり「3の倍数+B」なので、
A=1または2、B=3 のときが、3の倍数です。
→(2)で調べたように、(1、1、1、3)のときに4通り、
(2、2、2、3)のときも4通りの合わせて8通りです。
(A、A、B、B)の場合
A×2+B×2 なので、
(1、1、2、2)のときが、3の倍数です。
→(2)で調べたように、4×3÷2=6(通り)です。
(A、A、B、C)の場合
A+B+C は、いつでも 1+2+3=6 なので、
A=3 のときA+(A+B+C)が、3の倍数になります。
→一の位~千の位の4カ所のうち、2カ所がAですから、
「3」の並べ方は4×3÷2=6(通り)です。
残った2つの位に「1」「2」を並べるので、2×1=2(通り)です。
ですから、6通り×2通り=12通り となります。
以上のことから、8+6+12=26(通り)が答えとわかります。
この問題からもわかるように、「場合分け」のポイントは、
①どんな組み合わせがあるか
②それぞれの組み合わせの並べ方は何通りあるか
の順に考えるということです。
解法テクニックでいうと、
1.樹形図がいつでも書ける
2.積の法則の発展となる、順列と組み合わせを使い分けることができる
ようになると、樹形図を書かなくても計算で解けます。
場合の数が苦手なお子さんは、この2点をチェックしてみましょう。
明治大学付属明治中(日能研 2014年度入試結果R4偏差値60)
平成26年度用 中学校別入試問題シリーズ(東京学参)
今回は「場合の数」の苦手克服の第3回、「場合分け」です。
「場合分け」は、5段ある「場合の数」の階段の4段目です。
問題の条件から解法の方針を決定し、
積の法則や和の法則、書き出しなどの1~3段目の解法テクニックを使って、
それぞれ何通りあるかを求めます。
この方針を決定するために、
「場合の数」以外の単元の知識も必要となってくることが、
他の階段と異なっています。
今回ご紹介する2014年度の入試問題は、
「数の性質」の知識を必要とする問題です。
【場合分けが使えいるようになっているかを確認する問題】
明治大学付属明治中 2014年度 入試問題 より
大問4
1、2、3の数字のカードがそれぞれ3枚ずつ、合計9枚あります。このとき、次の各問いに答えなさい。
(1)9枚のカードから3枚を取り出して並べ、3けたの整数をつくります。できる整数は全部で何通りありますか。
(2)9枚のカードから4枚を取り出して並べ、4けたの整数をつくります。そのうち、1122や3313のように 2種類の数字だけでできる整数は全部で何通りありますか。
(3)9枚のカードから4枚を取り出して並べ、4けたの整数をつくります。そのうち、3の倍数は全部で何通りありますか。
(1) 「3けたの整数」という条件だけですから、
一の位から数えて3けた目にあたる百の位について、
百の位の数が「1」の場合、「2」の場合、「3」の場合のように
場合分けをしていきます。
同じ数字のカードが3枚ずつありますから、
例えば、百の位が「1」の場合、次のような樹形図になります。
百の位の数は「2」の場合、「3」の場合でも同じ形状になりますから、
積の法則が使えます。
3×3×3=27(通り)
(2) 3種類のカードのうち、「1」「2」を使う場合を考えてみます。
4けたのうち、
「1」が3カ所、「2」が1カ所に使われている場合、
「1」が2カ所、「2」が2カ所に使われている場合、
「1」が1カ所、「2」が3カ所に使われている場合、
の3つの場合に分けることができます。
「1」が3カ所、「2」が1カ所に使われている場合は、
の、4通りです。
「1」が2カ所、「2」が2カ所に使われている場合は、
の、6通りです。
「1」が1カ所、「2」が3カ所に使われている場合は、
の、4通りです。
ですから、
「1」「2」だけで4けたの整数をつくる方法は和の法則で、
4+6+4=14(通り)です。
「1」「3」だけで4けたの整数をつくる方法も、
「2」「3」だけで4けたの整数をつくる方法も、
それぞれ同じ14通りとわかりますから、
14通り×3=42通りが答えです。
この問題を樹形図を書かないで解く方法もあります。
少し難しい場合の数を考えるときは、
①どんな組み合わせがあるか
②それぞれの組み合わせの並べ方は何通りあるか
の順に考えるようにします。
(2)であれば、はじめに
「3カ所で使うカードAと1カ所で使うカードBの組み合わせ」
を考えます。
Aに使えるカードは「1」か「2」か「3」の3通り、
Bに使えるカードはAに使ったカード以外の2通りですから、
3通り×2通り=6通り あります。
次に、
4枚のカード、A、A、A、Bの並べ方が何通りあるか
を考えます。
Bの並べ方は、千の位か、百の位か、十の位か、一の位の4通りです。
ですから、
「3カ所で使うカードAと1カ所で使うカードB」で4けたの整数をつくる方法は、
6通り×4通り=24通り です。
「2カ所で使うカードAと2カ所で使うカードBの組み合わせ」も
同じように考えます。
AもBも2カ所に使いますから、
例えば、Aが「1」、Bが「2」で4けたの整数をつくった場合と、
Aが「2」、Bが「1」で4けたの整数をつくった場合では、
同じ整数ができてしまい、区別がつきません。
「組み合わせ」を使う問題ですね。
しかし、
「2カ所で使うカードAと2カ所で使うカードBの組み合わせ」は、
使わない残りの1枚のカードについて考えると、
より簡単に解くことができます。
このような考え方を「余事象」といい、
難しい問題を解くときにとても便利ですから、
ぜひ使い方を練習してみて下さい。。
さて、余事象の考え方を利用すると、
3枚のカードのうち使わない1枚のカードは
「1」か「2」か「3」の3通りですから、
2カ所で使うカードAと2カ所で使うカードBの組み合わせ」も
3通りと決まります。
次に、
4枚のカード、A、A、B、Bの並べ方が何通りあるか
を考えます。
Aは千の位か、百の位か、十の位か、一の位の2カ所にはいりますから、
「組み合わせ」の考え方を使って、
4×3÷2=6(通り)とわかります。
ですから、
「2カ所で使うカードAと2カ所で使うカードB」で4けたの整数をつくる方法は、
3通り×6通り=18通り です。
これらのことより、24通り+18通り=42通り が(2)の答えとして求められます。
テストでは、
のような書き方もあるでしょう。
(3) では、
整数の性質「倍数判定法」の知識と
(2)の文中にあるヒントを使います。
「3の倍数は、各位の数の和が3の倍数」です。
さらに(2)をヒントにして、
・1種類の数字で4けたの整数をつくる…(A、A、A、A)
・2種類の数字で4けたの整数をつくる…(A、A、A、B)、(A、A、B、B)
・3種類の数字で4けたの整数をつくる…(A、A、B、C)
の3つの場合に分けて、和が3の倍数になるものを求めます。
(A、A、A、A)の場合
A+A+A+A=A×4 なので、
A=3 のときが、3の倍数です。
→「3333」の1通りですが、3のカードは3枚しかありませんので、「3333」をつくることはできません。
(A、A、A、B)の場合
A×3+B 、つまり「3の倍数+B」なので、
A=1または2、B=3 のときが、3の倍数です。
→(2)で調べたように、(1、1、1、3)のときに4通り、
(2、2、2、3)のときも4通りの合わせて8通りです。
(A、A、B、B)の場合
A×2+B×2 なので、
(1、1、2、2)のときが、3の倍数です。
→(2)で調べたように、4×3÷2=6(通り)です。
(A、A、B、C)の場合
A+B+C は、いつでも 1+2+3=6 なので、
A=3 のときA+(A+B+C)が、3の倍数になります。
→一の位~千の位の4カ所のうち、2カ所がAですから、
「3」の並べ方は4×3÷2=6(通り)です。
残った2つの位に「1」「2」を並べるので、2×1=2(通り)です。
ですから、6通り×2通り=12通り となります。
以上のことから、8+6+12=26(通り)が答えとわかります。
この問題からもわかるように、「場合分け」のポイントは、
①どんな組み合わせがあるか
②それぞれの組み合わせの並べ方は何通りあるか
の順に考えるということです。
解法テクニックでいうと、
1.樹形図がいつでも書ける
2.積の法則の発展となる、順列と組み合わせを使い分けることができる
ようになると、樹形図を書かなくても計算で解けます。
場合の数が苦手なお子さんは、この2点をチェックしてみましょう。