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『2014年度 中学入試問題分析9 ~立体切断~』

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中学入試の算数問題 2014年03月08日18時00分
第172回 2014年度入試分析~9~ 「立体の切断」



四天王寺中(日能研 2014年度入試 合格可能性80%偏差値65)
※写真は2014年用です。2015年受験用はまだ発売されていません。



今回は大阪府の女子最難関中、
四天王寺中2014年度の入試問題をご紹介します。


入試は4教科で行われ、
受験者546名、
合格者 医志47名、英数Ⅱ125名、英数Ⅰ228名でした。


合格最低点(400点満点)は、
医志312点、英数Ⅱ274点、英数Ⅰ230点と、
英数コースは昨年並でしたが、
国公立大学の最難関である医・歯・薬系学部を目指すために
新設された「医志コース」は得点率78%というかなり厳しいものでした。


本年度の算数の試験時間は60分で満点は120点で、
問題数は昨年と同じ大問7題(小問数18問)でした。


大問1 小問集合(計算問題2問、仕事算、場合の数)
大問2 ①論理・推理 ②比と割合の文章題
大問3 平面図形(正三角形の均等分割の利用)
大問4 時計算
大問5 規則性(六角数)
大問6 速さ(旅人算)
大問7 立体図形(積み木のくりぬきと切断)


これらの問題難度をA(平易)~B~C(難問)で分類した場合、

大問1 A×4
大問2 ①B ②A
大問3 ①A ②B
大問4 ①A ②B ③C
大問5 ①A ②B ③C
大問6 ①B ②C
大問7 ①B ②C

となり、前年より問題の難度がやや上がったように思われます。




これらの問題の中から今回は、
立体の切断が含まれる大問7をご紹介します。


小問①は「くりぬき」だけですから、
新5年生でもチャレンジできるかもしれません。


小問②は「立方体状に積み上げられた積み木を
1回切断する」タイプの問題ですから、
切断を学習済みのお子さんはチャレンジしてみて下さい。




四天王寺中 2014年度

大問7 1辺の長さが1cmの立方体の積み木を343個貼り合わせ、1辺の長さが7cmの立方体をつくりました。そして、影をつけた部分を、その面に垂直に、反対側の面までくりぬきました。ただし、貼り合わせた立方体はくりぬいてもくずれないものとします。




①くりぬかれた後の立体の体積は何cm3ですか。

②くりぬかれた後の立体を3点A、B、Cを通る平面で切ったとき、切られた積み木は何個ありますか。








「くりぬいてから切断」という問題です。


くり抜き問題は




のようにわかりやすい立体であれば、
下の図のようにくりぬく部分だけを取り出すことも難しくありません。




しかし、問題図のように複雑な立体ですと、
くりぬく部分だけを取り出すことは困難です。


また、②で「切断」をしなければなりません。


となると解き方の方針は決まりますね。


積み木の切断でよく利用する「スライス解法」です。


「スライス解法」は積み木をビルに見立てて、
各フロアごとに真上から見た図を書き、
その図に切断線を書き込んでいくという方法です。


① まずは最上階の7階です。






もちろん積み木はすべて残っていますから、7×7=49(個)です。


次は6階です。






残っている積み木を数えると、10個あります。


5階以下も同じように真上から見た図を書くと、








のようになります。


残った積み木を数えると
5階部分…49-(7×4-3)=24(個)
4階部分…4個
3階部分…49-(7×4-3)=24(個)
2階部分…49-(7×4-4)=25(個)
1階部分…49-7×2=35(個)
なので
49+10+24+4+24+25+35=171(個)→171cm3
が①の答えです。



② 「切断のスライス解法」は、例えば下の図のように
3点P、Q、Rを通る平面で切断するときでしたら、




上の「階」から順に、
切断の開始部分(部屋の天井部分に入る切断線)と
切断の終了部分(部屋の床面部分に入る切断線)を
下の図のように書き込んでいきます。






切断開始部分から終了部分までが切断面ですから、
その面がかかっている積み木はすべて切られています。


その積み木にとつけると




全部で5個が切断されます。


同様にすると、本問は次のようになります。







斜線のついた部分はくりぬかれて、
積み木がないことに気をつけます。


を数えて、
11+2+3+0+2+1+0=19(個)
が答えです。




大問7は時間のかかりそうな問題ですが、
小問①と小問②とで同じ図(真上から見た図)が使えます。


つまり小問②をみすえて小問①で真上から見た図を丁寧に書いておくと、
②に必要な切断線を書き込めるので、結果的に時間の節約ができ、
しかも間違いなく正解にたどりつけます。


演習時に「殴り書き」、「走り書き」をしているお子さんを見かけることがありますが、
このような問題演習を通して、「急がば回れ」ということを学べると、
「試験時間が足りなかった」や「うっかり見落として間違えた」といったような
「もったいない失点」を減らすことができようになると思います。

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中学入試の算数問題 2014年03月08日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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