『平面図形 上級レベルの学習ポイント』
第161回 2014年度入試間近 難関中研究 ~3~
「甲陽学院中の算数20年 中学入試 2014年度」英俊社
今年も残すところ、あと僅か。
関西エリアの受験生はこの冬休みが最後の総仕上げの機会。
第1志望校に向けた学校別の傾向対策もひとまわり、ふたまわりし、
少し気になる問題の解き直しなどがその中心でしょうか。
ということは
「○○という解き方、大丈夫だったかな?」
といった、確認も大切になってきます。
こんなときに確認をしておきたいのは、
「数の性質」「速さ」「図形」「場合の数」ですね。
前回、前々回は「数の性質」をみましたので、
今回は「平面図形」の1問をご紹介します。
2009年度 甲陽学院中学校の入試問題から、2日目 大問3 です。
最近は「正八角形」や「八角形」も出題されますから、
定番の「正六角形」問題は必ず正解できるようにしておきたいものです。
[3] 正六角形ABCDEFの各辺の真ん中の点を図のようにG,H,I,J,K,Lとし,LHとGKの交点をM,HJとIKの交点をN,AIとGK,HL,HJとの交点をそれぞれP,Q,Rとします。
(1)四角形IDJN,NJEK,HNKMの面積の比を最も簡単な整数比で表しなさい。
(2)直線AP,PQ,QR,RIの長さの比を最も簡単な整数比で表しなさい。
(3)三角形PQM,RIN,五角形KMQRNの面積の比を最も簡単な整数比で表しなさい。
正六角形の解法は大きく分けて次の3つがありました。
★均等分割(基本)
★正三角形に内接
★均等分割(応用)
「均等分割(基本)」は、6分割、18分割の利用ですね。
面積比を求めるときなどに利用します。
「正三角形に内接」は、正六角形の辺を延長する方法です。
こちらも面積比(隣辺比)で活躍する解法ですね。
「均等分割(応用)」は「均等分割(基本)」よりも細かく区切ります。
小さな正三角形の個数を数えて面積比を求めるのは「均等分割(基本)」と同じですが、
その他に相似の発見、辺の比の積と面積比などにも活用します。
この3つの解法がすぐに引き出せると、
問題の図が「均等分割(応用)」に近いことがすぐに「ピン!」ときます。
となり、
四角形IDJN=正三角形(小)2個,
四角形NJEK=正三角形(小)3個,
四角形HNKM=正三角形(小)8個 から、
2:3:8 が求められます。
(2)は(1)から、「均等分割(応用)」が使える問題だとがわかりましたので、
「相似の発見」を利用することがすぐにわかります。
問題の図は
ですから、中級レベルの定番問題、
をよく練習していれば、
「ダブル・チョウチョ解法」(砂時計型の相似を2組利用)が
すぐに連想できます。
なので、左図からAP:PI=1:3、右図からAQ:QI=1:2 がわかります。
つまり、
AP:PI:AI:AQ:QI
1 : 3 : 4
3 : 1 : 2
3 : 9 : 12 : 4 : 8
ですから、
PQ=AQ-AP=4-3=1
QR=PI-(PQ+RI)=9-(1+3)=5
(※三角形AGPと三角形INRは合同ですから、AP=RIです。)
がわかり、AP:PQ:OR:RI=3:1:5:3 が求められます。
(3)は、
について面積比を求めるのですから、(2)が正解できれば容易です。
三角形PQM:三角形RIN:三角形PIK=1×1:3×3:9×9=1:9:81 なので、
五角形KMQRN=81-(1+9)=71 となり、
三角形PQM:三角形RIN:五角形KMQRN=1:9:71 とわかります。
正多角形の問題では、
★正多角形は円に内接する → 円問題の解法が利用できる
★偶数角形の向かい合う辺は平行 → 平行線と角の関係、相似などが利用できる
といったことも大切ですね。
受験生の場合は、正六角形の3つの解法とあわせて、
復習ができればよいなと思います。
一方、来年から受験生となる現5年生や、
これから本格的な受験勉強が始まる現4年生の場合は、
このような中級レベルの定番問題で身につけて、
「この問題は、AIを除くと辺と平行な直線ばかりだ。ということは…」
という思考ができ、問題の図が
「均等分割(応用)」に近いことがすぐに「ピン!」
とくるようになりましょう。
いわゆる、「ひらめく」「図形のセンスがある」という状態を目指します。
上級レベルの図形問題=難しい図形問題が解けないお子さんをみて、
「うちの子はひらめきがない」
という相談をいただくことがありますが、
それは単に中級レベルの定番問題が完全に身についていないだけのことも多いのです。
中級レベルの定番問題を、
少しくらいまどろっこしくても基本レベルの解法で強引に解いて、
それでよいことにしてしまうという「答えだけにこだわる学習方法」から、
中級レベルの解法=ベストな解法を用いて解く、
いわゆる「解き方そのものにこだわる学習方法」へ学習方法を切り替えることで、
中級レベルの定番問題を完全に身につけ、
「ひらめき」を会得することが可能になっていきます。
4,5年生のお子さんは、レベルに応じた解法を身につけられるよう、
解き方にこだわる学習方法に、ぜひ取り組んでみてください。
「甲陽学院中の算数20年 中学入試 2014年度」英俊社
今年も残すところ、あと僅か。
関西エリアの受験生はこの冬休みが最後の総仕上げの機会。
第1志望校に向けた学校別の傾向対策もひとまわり、ふたまわりし、
少し気になる問題の解き直しなどがその中心でしょうか。
ということは
「○○という解き方、大丈夫だったかな?」
といった、確認も大切になってきます。
こんなときに確認をしておきたいのは、
「数の性質」「速さ」「図形」「場合の数」ですね。
前回、前々回は「数の性質」をみましたので、
今回は「平面図形」の1問をご紹介します。
2009年度 甲陽学院中学校の入試問題から、2日目 大問3 です。
最近は「正八角形」や「八角形」も出題されますから、
定番の「正六角形」問題は必ず正解できるようにしておきたいものです。
[3] 正六角形ABCDEFの各辺の真ん中の点を図のようにG,H,I,J,K,Lとし,LHとGKの交点をM,HJとIKの交点をN,AIとGK,HL,HJとの交点をそれぞれP,Q,Rとします。
(1)四角形IDJN,NJEK,HNKMの面積の比を最も簡単な整数比で表しなさい。
(2)直線AP,PQ,QR,RIの長さの比を最も簡単な整数比で表しなさい。
(3)三角形PQM,RIN,五角形KMQRNの面積の比を最も簡単な整数比で表しなさい。
正六角形の解法は大きく分けて次の3つがありました。
★均等分割(基本)
★正三角形に内接
★均等分割(応用)
「均等分割(基本)」は、6分割、18分割の利用ですね。
面積比を求めるときなどに利用します。
「正三角形に内接」は、正六角形の辺を延長する方法です。
こちらも面積比(隣辺比)で活躍する解法ですね。
「均等分割(応用)」は「均等分割(基本)」よりも細かく区切ります。
小さな正三角形の個数を数えて面積比を求めるのは「均等分割(基本)」と同じですが、
その他に相似の発見、辺の比の積と面積比などにも活用します。
この3つの解法がすぐに引き出せると、
問題の図が「均等分割(応用)」に近いことがすぐに「ピン!」ときます。
となり、
四角形IDJN=正三角形(小)2個,
四角形NJEK=正三角形(小)3個,
四角形HNKM=正三角形(小)8個 から、
2:3:8 が求められます。
(2)は(1)から、「均等分割(応用)」が使える問題だとがわかりましたので、
「相似の発見」を利用することがすぐにわかります。
問題の図は
ですから、中級レベルの定番問題、
をよく練習していれば、
「ダブル・チョウチョ解法」(砂時計型の相似を2組利用)が
すぐに連想できます。
なので、左図からAP:PI=1:3、右図からAQ:QI=1:2 がわかります。
つまり、
AP:PI:AI:AQ:QI
1 : 3 : 4
3 : 1 : 2
3 : 9 : 12 : 4 : 8
ですから、
PQ=AQ-AP=4-3=1
QR=PI-(PQ+RI)=9-(1+3)=5
(※三角形AGPと三角形INRは合同ですから、AP=RIです。)
がわかり、AP:PQ:OR:RI=3:1:5:3 が求められます。
(3)は、
について面積比を求めるのですから、(2)が正解できれば容易です。
三角形PQM:三角形RIN:三角形PIK=1×1:3×3:9×9=1:9:81 なので、
五角形KMQRN=81-(1+9)=71 となり、
三角形PQM:三角形RIN:五角形KMQRN=1:9:71 とわかります。
正多角形の問題では、
★正多角形は円に内接する → 円問題の解法が利用できる
★偶数角形の向かい合う辺は平行 → 平行線と角の関係、相似などが利用できる
といったことも大切ですね。
受験生の場合は、正六角形の3つの解法とあわせて、
復習ができればよいなと思います。
一方、来年から受験生となる現5年生や、
これから本格的な受験勉強が始まる現4年生の場合は、
このような中級レベルの定番問題で身につけて、
「この問題は、AIを除くと辺と平行な直線ばかりだ。ということは…」
という思考ができ、問題の図が
「均等分割(応用)」に近いことがすぐに「ピン!」
とくるようになりましょう。
いわゆる、「ひらめく」「図形のセンスがある」という状態を目指します。
上級レベルの図形問題=難しい図形問題が解けないお子さんをみて、
「うちの子はひらめきがない」
という相談をいただくことがありますが、
それは単に中級レベルの定番問題が完全に身についていないだけのことも多いのです。
中級レベルの定番問題を、
少しくらいまどろっこしくても基本レベルの解法で強引に解いて、
それでよいことにしてしまうという「答えだけにこだわる学習方法」から、
中級レベルの解法=ベストな解法を用いて解く、
いわゆる「解き方そのものにこだわる学習方法」へ学習方法を切り替えることで、
中級レベルの定番問題を完全に身につけ、
「ひらめき」を会得することが可能になっていきます。
4,5年生のお子さんは、レベルに応じた解法を身につけられるよう、
解き方にこだわる学習方法に、ぜひ取り組んでみてください。