小川大介の中学受験合格を実現する逆算受験術

中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 -> 主任相談員の中学受験ブログ -> 前田昌宏の中学受験が楽しくなる算数塾 -> 算数の成績アップ勉強法  -> 『周期算の学習ポイント』

『周期算の学習ポイント』

このエントリーをはてなブックマークに追加
算数の成績アップ勉強法 2013年09月28日18時00分
第149回 入試の定番問題を攻略しよう ~2~

m_20130928_01.jpg

「雙葉中学校 26年度用―中学過去問シリーズ (10年間スーパー過去問)」 声の教育社




早いもので9月もあと2日です。


台風のため延期になったSAPIXの学校別オープンも来月14日にありますし、
受験生はこの時期の模試の結果をみながら、
受験校を本格的に絞り込み始めるころですね。


そんな模試で大切だなと思うのは、
合格する受験生が失点しない問題を自分も失敗しないことです。



トップ合格を目指している受験生には当たり前すぎることでしょうが、
「まずは合格」を目指している受験生には、
こんな「当たり前のことが当たり前にできる」ことが重要なんです。


合格する受験生が失点しない問題が、いわゆる「定番の問題」です。


「定番の問題」は、解き方は何度も練習しているので、
受験生が問題を見ればどうすれば解けるかがすぐに分かる問題です。


それでも受験生の正答率が100%にならないのは、
「処理=整理&計算」が正確に行えないからです。



そのような受験生は、
練習不足の他に、まちがい直しの質の低さによって、
「処理」能力が磨かれていません。


まちがい直しを
「どこでまちがえたのかを自分で見つけてから、もう一度解き直す」
という正しい手順ではなく、
ただ「もう一度解くだけ」
というまちがい直しをするために、
また同じような問題で同じような間違い方をくり返してしまうのです。



「定番の問題」を正確に「処理」して正解するためには、
練習量とまちがえたときの直し方にポイントがあるのです。


そこで今回も前回に引き続き、
2014年入試に向けて、
「ちょっと難しいけれどこれは正解しないと…」という
定番の問題をご紹介します。


受験生だけでなく、5年生もチャレンジしてみてください。


そしてもしまちがえたら、どこでまちがえたかをまずは自分で発見して下さいね。




2013年 雙葉中学 入試問題より

[4]千羽鶴をA、B、Cの3人で折りました。3人が鶴を折る速さはいつも変わらず、10分間にAさんは5羽、Bさんは8羽、Cさんは11羽です。最初は、3人で4時間20分折りました。その後は、A、B、C、A、…の順に交代で1人50分ずつ休み、残りの2人で折り続けました。
(1)4時間20分で何羽折りましたか。
(2)最後に鶴を折り終わったのはだれですか。また、それは折り始めてから何時間何分後ですか。







はじめはA、B、Cの3人が全員で折り、
途中から折り手が「BとC→CとA→AとB」の順にくり返すという、
「のべ算タイプの仕事算と繰り返し(=周期算)」という
「定番」の問題です。


小問(2)の「最後に鶴を折り終わった」あたりを
丁寧に書き出して処理することができるかどうかが、
正解と不正解のの分かれ道です。


(1)は、A、B、Cの3人が全員で折ると、
10分間で 5羽+8羽+11羽=24羽 の鶴を折ることができます。
4時間20分÷10分=26セット ですから、
24羽×26セット=624羽とわかります。




(2)は、順番に調べていくだけです。


ポイントは「見やすさ」です。


4:20~5:10 折り手…BとC (8羽+11羽)×5=95羽 → 残り281羽
5:10~6:00 折り手…CとA (11羽+5羽)×5=80羽 → 残り201羽
6:00~6:50 折り手…AとB (5羽+8羽)×5=65羽 → 残り136羽
6:50~7:40 折り手…BとC (8羽+11羽)×5=95羽 → 残り41羽


ここまでの計算で、
2人1組で50分折ると少なくとも65羽は折れることがわかっていますから、
ここからは10分刻みで考えます。


7:40~7:50 折り手…CとA 11羽+5羽=16羽 → 残り25羽
7:50~8:00 折り手…CとA 11羽+5羽=16羽 → 残り9羽


最後は数直線を利用しておきましょう。


Cさんが10分間で11羽折りますから、
8:10までを書き出せば十分ですね。

m_20130928_02.jpg


上記から、最後に A が折り、その時間は8時間6分後とわかりました。



まちがえるお子さんは、しばしば最後を「走り書き」にしてしまい、失敗します。


そんなお子さんには
「走り書き」と「数直線」で所要時間に何秒差があるのかを
一度計ってみてあげて下さい。


30秒も差がないことを経験すれば、
そのわずか30秒でテストの得点が5点あるいは6点増えることの大切さに
きっと気がつくと思います。


定番の問題で、
解き方を知っているのにまちがえることは、
入試本番では致命傷になりかねません。


この秋の模試で定番の問題をもしまちがえることがあれば、
「どこでまちがえたかを自分で発見してから、解き直す」という
正しい手順でまちがい直しをしてみて下さいね。


このエントリーをはてなブックマークに追加
算数の成績アップ勉強法 2013年09月28日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
Copyright (c) 2008- 中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 All rights reserved.