『場合の数の学習ポイント』
第148回 入試の定番問題を攻略しよう ~1~
「武蔵中学校 26年度用―中学過去問シリーズ (10年間スーパー過去問)」 声の教育社
秋分の日も目前です。
昼と夜の長さが入れ替わると、いよいよ入試が間近に感じられます。
今回からは2014年入試に向けて、
「ちょっと難しいけれどこれは正解しないと…」という
定番の問題を見ていきます。
受験生だけでなく、5年生もチャレンジしてみてください。
2013年 武蔵中学
1-(2)5匹のやぎA,B,C,D,Eがいて、図のようなそれぞれのための小屋があります。あるとき、5つの小屋にやぎが1匹ずつ入っていましたが、自分の小屋にいたのは5匹のうちの1匹だけでした。5匹のやぎの、このような小屋への入り方は全部で何通りですか。
武蔵中学は総合講座の一環ということで校内でやぎを飼育しているそうです。
そのせいか、算数の入試問題にここ数年はやぎが毎年登場しています。
さて問題の方はといえばおなじみの「攪乱順列」ですが、
ちょっとだけひねりがはいっています。
「攪乱順列」は場合の数ですが、
場合の数には4つの難しさがあると前回ご紹介しました。
1.順列や組み合わせといった基礎知識そのものが難しいこと
2.大テストや入試問題では応用テクニックが必要な問題があること
3.他の単元の問題との融合問題があること
4.難度の高い初見の問題があること
今回のテーマ「攪乱順列」は「2」に属します。
ですから、入試本番ではぜひ正解したい問題です。
書きだしで解いていきましょう。
「自分の小屋にいた」のがAで、しかもCがBの小屋にいた場合は表の3通りです。
「自分の小屋にいた」のがAで、しかもDがBの小屋にいた場合も同様に3通り、
「自分の小屋にいた」のがAで、しかもEがBの小屋にいた場合も同様に3通りですから、
「自分の小屋にいた」のがAの場合、3通り×3=9通り です。
「自分の小屋にいた」のがBでもCでも同じようになりますから、
9通り×5=45通りが答えです。
場合の数では、
「パターンの書きだし → くり返すのでかけ算」という解き方を
身につけることは重要です。
この解き方ができるから、ひねりの入った問題も解けるようになるのです。
しかし最難関中や御三家レベルを目指す場合は、それにもう少し知識をつけておきましょう。
「やぎA~Gの7匹が小屋A~Gに1匹ずつ入るのですが、
やぎと小屋の記号が同じにならないようにする」
という問題を考えます。
ここでは先ほどと少し違う書き出し方をします。
「踏み台方式」(秋山仁氏)と呼ばれるものです。
やぎが2匹の場合から順々に調べていきます。
やぎが4匹になったところで「工夫」があります。
まず、やぎAが小屋Dに、やぎDが小屋Aに必ずいる場合を考えます。
すると残ったのは「やぎB、Cと小屋B、C」ですから、
「やぎA、Bと小屋A、B」のときと同じだけの入り方になります。
つまり、1通りです。
次に、やぎAが小屋Dに必ずいる場合を考えます。
すると残ったのは「やぎB、C、Dと小屋A、B、C」ですが、
やぎDが小屋Aに入る場合は今調べましたから、
「やぎB、C、Dと小屋A、B、Cが残っているが、やぎDは小屋Aに入れないので、
小屋AにDを上から書いても条件は変わらない」のです。
と
は同じです。
ということは「やぎB、C、Dと小屋B、C、D」は、
「やぎA、B、Cと小屋A、B、C」のときと同じだけの入り方になりますので、
2通りです。
つまり、やぎAが小屋Dにいるときは、1+2=3通り とわかりました。
やぎAが小屋Cにいるとき、やぎAが小屋Bにいるときも、
やぎAが小屋Dにいるときと同じことができますから全部で、
(1通り+2通り)×3=9通りです。
やぎがA~Eの5匹になった場合も今のように場合分けをすると
(1)やぎAが小屋Eにいて、やぎEが小屋Aにいる → 3匹のときと同じ2通り
(2)やぎAが小屋Eにいて、やぎEが小屋Aにいない → 4匹のときと同じ9通り
なので、(2+9)×4=44通り とわかります。
やぎがA~Fの6匹になった場合は
(1)やぎAが小屋Fにいて、やぎFが小屋Aにいる → 4匹のときと同じ9通り
(2)やぎAが小屋Fにいて、やぎFが小屋Aにいない → 5匹のときと同じ44通り
なので、(9+44)×5=265通り とわかります。
ですからやぎが7匹の場合は、(44+265)×6=1854通りです。
かなり以前に開成中の入試問題で攪乱順列が出題されたときは、
この考え方にたどりつけるように誘導形式になっていました。
とはいうものの受験生は相当困ったことと思います。
1.順列や組み合わせといった基礎知識そのものが難しいこと
2.大テストや入試問題では応用テクニックが必要な問題があること
3.他の単元の問題との融合問題があること
4.難度の高い初見の問題があること
の「4」です。
しかし、それ以降いくつかの学校で出題されるようになり、
現在では攪乱順列は「2」に分類できます。
やぎ5匹までの問題ならば通常の書きだしで解けますので、
まずは書きだしの技術を強化しましょう。
そして最難関中受験生は、「踏み台方式」、
つまりすでにわかっていることを利用して次に進んでいく方法も習得しておくといいですね。
「武蔵中学校 26年度用―中学過去問シリーズ (10年間スーパー過去問)」 声の教育社
秋分の日も目前です。
昼と夜の長さが入れ替わると、いよいよ入試が間近に感じられます。
今回からは2014年入試に向けて、
「ちょっと難しいけれどこれは正解しないと…」という
定番の問題を見ていきます。
受験生だけでなく、5年生もチャレンジしてみてください。
2013年 武蔵中学
1-(2)5匹のやぎA,B,C,D,Eがいて、図のようなそれぞれのための小屋があります。あるとき、5つの小屋にやぎが1匹ずつ入っていましたが、自分の小屋にいたのは5匹のうちの1匹だけでした。5匹のやぎの、このような小屋への入り方は全部で何通りですか。
武蔵中学は総合講座の一環ということで校内でやぎを飼育しているそうです。
そのせいか、算数の入試問題にここ数年はやぎが毎年登場しています。
さて問題の方はといえばおなじみの「攪乱順列」ですが、
ちょっとだけひねりがはいっています。
「攪乱順列」は場合の数ですが、
場合の数には4つの難しさがあると前回ご紹介しました。
1.順列や組み合わせといった基礎知識そのものが難しいこと
2.大テストや入試問題では応用テクニックが必要な問題があること
3.他の単元の問題との融合問題があること
4.難度の高い初見の問題があること
今回のテーマ「攪乱順列」は「2」に属します。
ですから、入試本番ではぜひ正解したい問題です。
書きだしで解いていきましょう。
「自分の小屋にいた」のがAで、しかもCがBの小屋にいた場合は表の3通りです。
「自分の小屋にいた」のがAで、しかもDがBの小屋にいた場合も同様に3通り、
「自分の小屋にいた」のがAで、しかもEがBの小屋にいた場合も同様に3通りですから、
「自分の小屋にいた」のがAの場合、3通り×3=9通り です。
「自分の小屋にいた」のがBでもCでも同じようになりますから、
9通り×5=45通りが答えです。
場合の数では、
「パターンの書きだし → くり返すのでかけ算」という解き方を
身につけることは重要です。
この解き方ができるから、ひねりの入った問題も解けるようになるのです。
しかし最難関中や御三家レベルを目指す場合は、それにもう少し知識をつけておきましょう。
「やぎA~Gの7匹が小屋A~Gに1匹ずつ入るのですが、
やぎと小屋の記号が同じにならないようにする」
という問題を考えます。
ここでは先ほどと少し違う書き出し方をします。
「踏み台方式」(秋山仁氏)と呼ばれるものです。
やぎが2匹の場合から順々に調べていきます。
やぎが4匹になったところで「工夫」があります。
まず、やぎAが小屋Dに、やぎDが小屋Aに必ずいる場合を考えます。
すると残ったのは「やぎB、Cと小屋B、C」ですから、
「やぎA、Bと小屋A、B」のときと同じだけの入り方になります。
つまり、1通りです。
次に、やぎAが小屋Dに必ずいる場合を考えます。
すると残ったのは「やぎB、C、Dと小屋A、B、C」ですが、
やぎDが小屋Aに入る場合は今調べましたから、
「やぎB、C、Dと小屋A、B、Cが残っているが、やぎDは小屋Aに入れないので、
小屋AにDを上から書いても条件は変わらない」のです。
と
は同じです。
ということは「やぎB、C、Dと小屋B、C、D」は、
「やぎA、B、Cと小屋A、B、C」のときと同じだけの入り方になりますので、
2通りです。
つまり、やぎAが小屋Dにいるときは、1+2=3通り とわかりました。
やぎAが小屋Cにいるとき、やぎAが小屋Bにいるときも、
やぎAが小屋Dにいるときと同じことができますから全部で、
(1通り+2通り)×3=9通りです。
やぎがA~Eの5匹になった場合も今のように場合分けをすると
(1)やぎAが小屋Eにいて、やぎEが小屋Aにいる → 3匹のときと同じ2通り
(2)やぎAが小屋Eにいて、やぎEが小屋Aにいない → 4匹のときと同じ9通り
なので、(2+9)×4=44通り とわかります。
やぎがA~Fの6匹になった場合は
(1)やぎAが小屋Fにいて、やぎFが小屋Aにいる → 4匹のときと同じ9通り
(2)やぎAが小屋Fにいて、やぎFが小屋Aにいない → 5匹のときと同じ44通り
なので、(9+44)×5=265通り とわかります。
ですからやぎが7匹の場合は、(44+265)×6=1854通りです。
かなり以前に開成中の入試問題で攪乱順列が出題されたときは、
この考え方にたどりつけるように誘導形式になっていました。
とはいうものの受験生は相当困ったことと思います。
1.順列や組み合わせといった基礎知識そのものが難しいこと
2.大テストや入試問題では応用テクニックが必要な問題があること
3.他の単元の問題との融合問題があること
4.難度の高い初見の問題があること
の「4」です。
しかし、それ以降いくつかの学校で出題されるようになり、
現在では攪乱順列は「2」に分類できます。
やぎ5匹までの問題ならば通常の書きだしで解けますので、
まずは書きだしの技術を強化しましょう。
そして最難関中受験生は、「踏み台方式」、
つまりすでにわかっていることを利用して次に進んでいく方法も習得しておくといいですね。