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『場合の数の学習ポイント』2

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場合の数の練習問題 2013年09月14日18時00分
第147回 場合の数に強くなろう!
~場合の数 初見の問題で勝負するには?~

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「中学受験 超難関校合格! 頭のいい子にも勝てる算数まとめノート」
望月俊昭(ダイヤモンド社)




「中学への算数」でもおなじみの望月氏がおすすめする「まとめノート」について、
実例がたくさん掲載されています。


amazonにかかれたこの本の説明によれば、
「算数ができる頭のいい子どものノートを一挙大公開! 単元ごとに
文章題、規則性、図形(平面)(立体)、場合の数、整数の250例を大量に網羅して、
覚えるための「まとめノート」づくりのノウハウを満載。中学受験はもとより、
算数嫌いにしないためのヒントが詰まった、すべての小学生の役に立つ本。」
とあります。


お子さんのお友達や学友、親戚のお子さんのノートなどを見る機会はあると思いますが、
この本のようにたくさんのノートを見る機会は少ないと思います。


望月氏があげられた「頭のいい子にも勝てる」というノートは、
実際に教室現場でこれまでに見てきた「算数で得点ができる」「算数の得点が読める」、
そういったお子さんのノートと共通点が多くあります。


6年生のお子さんは「思考力」を必要とするこれからの難しいテストのまちがい直し、
学習内容自体が難しくなる5年生のお子さんの家庭学習の参考になるだろうと思います。


さて、前回は「場合の数」について、その難しさを次の4つに分けました。


1.順列や組み合わせといった基礎知識そのものが難しいこと
2.大テストや入試問題では応用テクニックが必要な問題があること
3.他の単元の問題との融合問題があること
4.難度の高い初見の問題があること


「1」~「3」はチェック用の問題を通して、その難しさの実際と対策についてみましたので、
今回は「4」のケースを考えたいと思います。




甲陽学院中 平成20年 1日目
4 図のように小さな長方形を30個並べて大きな長方形を作りました。

m_20130914_02.jpg

(1) 左から2つめ、上から3つめの斜線の長方形をふくむ長方形は全部で何個ありますか。ただし、斜線の長方形自身も1個と数えます。

(2) 最初の大きな長方形の右側と下側に小さな長方形をそれぞれ何列か並べてさらに大きな長方形を作ったところ、左から2つめ、上から3つめの斜線の長方形をふくむ長方形は、斜線の長方形自身も1個と数えて336個ありました。右側と下側にそれぞれ何列増やしましたか。考えられるだけ、すべて答えなさい。(答えは4通りとは限りません。)




麻布中 2009年度
3 ボールが48個あります。これらのボールを以下の条件1,2にあてはまるように、5つの箱に入れることにします。
(条件1)どの箱にもボールを5個以上入れます。
(条件2)どの2つの箱についても、入っているボールの数の公約数は1だけです。
このとき、5つの箱に入っているボールの数の組をすべて求めなさい。
ただし、それぞれの場合に、入っている数が小さいものから順に答えの欄に書きなさい。また答の欄をすべて使うとは限りません。




これらの問題には共通点があります。


一つめは、「すべて求めなさい」という点です。


「何通りですか」という問題と違い、5個くらいの答えではあっても
書きだしていかなければいけません。


ここでモノを言うのが「場合分け」です。


「場合の数」である程度難しい問題が都いけるようになるためには、
この「場合分け」ができるようになっておかなければ厳しいと思います。


場合分けの練習には、
「0,1,1,2,2,2,3,3,3,3の10枚のカードから4枚のカードを選んで並べ、
4桁の整数を作ります。全部でいくつの整数が作れますか。」
のような「カード並べ問題」や、
「次の図を赤、青、白、黄の4色でぬり分けます。使わない色があってもよく、
また隣り合う部分に同じ色は使えません。全部で何通りのぬり方がありますか。」
のような「ぬり分け問題」がいいと思います。




2つめの共通点は、場合の数以外の単元もからんだ融合問題になっている点です。


甲陽学院中の問題は図形が与えられ、また規則性の問題のようにも見えます。
麻布中の問題は「公約数」といった言葉から「数の性質」と関連性があるように思えます。


つまり、場合の数の知識だけでは正解できない可能性があるということです。


こちらは他の単元の演習が必要ですが、特に数の性質や規則性が大切です。




3つめの共通点は「調べ上げ」の力が必要な点です。


場合の数の「初見の問題」は「改題」しにくいため、
「あ、これといたことがある気がする!」という問題に出会うことが非常に稀です。


場合の数は「ネタバレ」してしまうと短時間で正解できるため、
「そっくり問題」がとても少ないのです。


ということは、入試当日に正解できることが求められます。


問題を読んでその裏側に隠された数理を探しだせるチャンスはそうありませんから、
場合分けをしたら一つずつ調べ上げて、
問題にあてはまるかどうかチェックしていくことになります。


今日、冒頭で紹介した本にあるノートのように、
見やすく書く練習をしていくことで、この「調べ上げ」の力を磨き上げていきましょう。


それでも甲陽学院中の問題の(2)のように、調べ上げられない問題も出てきます。


「調べ上げられないな…」と感じたらその問題をパスしなければ、
他の問題を解く時間が無くなってしまいます。


問題に取りかかってすぐに「無理な問題」だと判断できるか、
時間をかなり費やしてから「無理だと思ってあきらめる」かは、
残りの問題での得点に大きな差を生み出します。


早めに正確な判断ができるようになるために、
いろいろな問題を解いて「調べ上げ」の力を磨いて下さい。


場合の数の学習方法は、このような点から最も高度なものかもしれません。


お子さんが「場合の数が苦手」と言われたら、

1.順列や組み合わせといった基礎知識そのものが難しいこと
2.大テストや入試問題では応用テクニックが必要な問題があること
3.他の単元の問題との融合問題があること
4.難度の高い初見の問題があること

のどの段階で困っているかを、お父さんやお母さんが正確に把握して、
場合の数の勉強に時間をさくのか、それとも他の単元に時間をさくのかを
冷静に見極めてあげましょう。



【問題の解答】
甲陽学院中
(1)90個
(2)右2列・下5列、右3列・下4列、右9列・下1列

麻布中
(5,6,7,11,19)
(5,6,7,13,17)
(5,7,8,9,19)
(5,7,8,11,17)
(5,7,9,11,16)
(5,7,11,12,13)
(7,8,9,11,13)
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場合の数の練習問題 2013年09月14日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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