2013年 中学入試 平成26年度に向けて⑬
~今回も「大問形式」、テーマは「計算技術」です。~
学習院中等科
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今回の問題のテーマは、5年生にもチャレンジできそうな問題です。
6年生でしたら、類題を演習したことがあるかも知れません。
今回使用する解法は、計算技術の一種といってもよいでしょう。
2013年入試 灘中 算数2日目-3 は、そんな問題でしたから、
この問題を正解した受験生は多かっただろうと思います。
3 図1の四角形ABCDと図2の四角形PQRSはともに長方形です。これらの長方形の内部は、図のようにいくつかの正方形だけですき間なく敷きつめることができます。ただし、図は正確とは限りません。
(1)ABの長さとADの長さの比を、最も簡単な整数の比で表しなさい。
(2)PQの長さとPSの長さの比を、最も簡単な整数の比で表しなさい
このような問題では、
「最も小さい正方形の1辺の長さを1とする」
いうのが「定石」です。
これは「受験算数の知識」にあたる部分です。
この問題は、それさえできればただの計算問題といっても過言ではないでしょう。
「正方形」以外の条件が一切ありませんから、このままではどうしようもなさそうです。
そこで、「小さいほうから2番目の正方形の1辺の長さを①」としてみましょう。
「小さい方から」というところがコツです。
大きい正方形の1辺を1としても解けますが、正方形が小さくなるにつれ、
1辺の長さが分数になっていくので少し厄介かも知れません。
すると、大きい正方形の1辺もわかってきます。
このとき、正方形の1辺の長さを「②-1」のように「ひき算の形」しないことも
この問題のコツです。
※「②-1」としても解けますが、
計算技術の低いお子さんによっては混乱することがあります。
ここでADの長さに着目すると、①+3+①+2 です。
また、BCの長さに着目すると、①+①+①+1 です。
AD=BCですから、①+3+①+2=①+①+①+1 → ①=4 となります。
したがって、AB=7+4=11、BC=4+4+5=13 とわかり、
答えが 11:13 と求められます。
なお、1を①、①を1としても同じようになりますが、
「消去算」的な要素が加わる分だけ、
計算技術が低いお子さんには不利になるかも知れません。
次は(2)です。
(1)よりも少し正方形の個数が多いだけですから、
同じ解き方が使えそうだと判断できます。
(1)を間違えたお子さんも、ここからもう一度挑戦してみてください。
「最後に、横(上)=横(下) または たて(左)=たて(右)に着目して、計算をする。」
ということを意識して下さい。
ここでPQの長さに着目すると、②+0.5+②+1 です。
また、SRの長さに着目すると、①+3+①+2 です。
PS=QRですから、①+3+①+2=②+0.5+②+1 → ①=1.75 となります。
したがって、PQ=1.75×3+3.5=8.75、PS=4.75+3.75=8.5 とわかり、
答えが 35:34 と求められます。
今回の大問は、(1)、(2)とも、全く同じ解法で解くことができました。
さらに、他の中学校の過去の入試問題に類題がありますので、
2問とも正解できた受験生も多かったことでしょう。
「最も小さい○○を1とする」という考え方は、方程式の考え方に近いのですが、
それだけに1本道で、短い時間で正解にたどり着けます。
この「①解法」と呼ばれる解き方は、
計算技術の一種として5年生の間にマスターできていると、
6年生での演習がスムーズになっていいですね。