2013年 中学入試 平成26年度に向けて⑨
~今回からは、いよいよ「切断」です。~
早稲田中学校
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今回は2013年度の灘中入試 算数1日目の12です。
ここからは立体図形です。
「灘中の立体図形」と言えば「切断」というくらい、
毎年、切断の問題が出題されています。
「切断」というテーマは「難しい!」と思われている方も多いようですが、
実際はどうなんでしょう?
切断はこれまでにもご紹介しましたように、
「切断の3原則」をマスターすることが、第一歩です。
原則1. 同じ面の2点の結ぶ。
原則2.平行な面の切り口は平行。
原則3 (原則1&2が使えないときは)延長。
理解したり、問題で使ったりするときの難易度は、
原則1<原則2<原則3 です。
切断が苦手だというお子さんの場合は、
「どの原則まで正確にマスターできているか?」を
チェックしてあげてみてください。
12 展開図が右の図のような立体の体積は□cm3です。ただし、四角形の面は正方形で、三角形の面のうち4個は正三角形、残り4個は直角二等辺三角形です。
前回の「11」に引き続き、
この「12」も灘中がお得意とする出題テーマのひとつ、
「正多面体から切り出した立体の展開図」です。
すべての面が正方形や正三角形、直角二等辺三角形という
「きれい」な平面図形であり、
しかもそれぞれが合同(除く:正方形)です。
この特徴から「正多面体から切り出した立体の展開図」と予測できます。
展開図から見取り図を考える問題では、
1.どの頂点とどの頂点がくっつくのか?
2.元の正多面体は何なのか?
の2点を同時に意識するようにします。
この「12」は決して易しくはありませんが、
「図形学習の4つのポイント」という点から見ると、
1.基礎にあたる図形の計算技術をマスターする。
→切断された立体図形の体積を求められる。(含む:2回切断)
2.図形の特徴を知識として覚える。
→立方体を切断して、切り口が正三角形や直角二等辺三角形になる切り方を覚える。
3.工夫した解き方を身につける。
→立体図形の1つの頂点には少なくとも面が3つあることを知る。
4.正確な作図を自分の手で書く。
→ここでは最も大きい正方形を底面とすると図を書きやすい。
のどの点がマスターできていて、どの点が不十分なのかを見定める格好の材料ですね。
体積を求めるためには、どんな立体なのか見取り図を書くといいですね。
「どの頂点とどの頂点がくっつくのか?」を考えたとき、
隣り合う2点がくっつくというのが一番考えやすい部分でしょう。
ここで一番大きい正方形を除いて考えると、
展開図が点対称図形になっていますから、
「どこから見ても同じに見える=きれいな立体」になると予想できます。
こんな感じで、少しずつくみ上げていくと考えやすいと思いますし、
ノートに書くこともそんなに難しくないと思います。
折り紙などになれていると、よりイメージしやすいかも知れません。
すると、こんな立体ができました。
あとはこの立体図形の体積を計算するだけです。
この問題は「正多面体から切り出した立体の展開図」と考えられましたから、
元の正多面体が何かを考えていきます。
とはいっても、正多面体は
・正四面体…正三角形が4つ
・立方体…正方形が6つ
・正八面体…正三角形が8つ
・正十二面体…サッカーボール風な立体
・正二十面体…最も球に近い立体
の5種類ですから、できあがった見取り図から考えて、
最有力候補は立方体ですね!
立方体の半分から、小さな三角すいを4つ引けばOKです。
計算を楽にするためには、比を利用するといいですよ!
底面積の比 立方体:小さな三角すい=8:1
高さの比 立方体:小さな三角すい=2:1
体積比 立方体:小さな三角すい=8×2:1×1÷3=48:1
立方体:立方体の半分:小さな三角すい4つ:求める立体
=48:48÷2:1×4:(24-4)
なので、6cm×6cm×6cm×20/48=90cm3が答えです。
「12」は、塾の教材や市販教材には次のように
立方体を2回切断する問題が掲載されていることが多いのですが、
この「2回切断の定番」ともいえる問題を上手にくみ上げた問題だったんですね。
このような定番問題(とはいえ、「2回切断」は上級問題です)で、
点Pと点Qを結ぶことを学び、自分の手で見取り図が書けるように練習していけば、
このレベルの入試問題でも解けるようになるでしょう。
そういった気持ちをもちながら塾教材や市販教材の問題演習をしていくと、
「難しい」といわれる立体図形も得意になれると思いますよ。