2013年 中学入試 平成26年度に向けて⑤
筑駒中
京王井の頭線 駒場東大前 徒歩7分、東急田園都市線 池尻大橋駅 徒歩15分
これまで何回かに渡ってみてきましたように、
2013年度入試は、いわば「どんな知識を使えばよいかわかりますか?」
いう問題が多く見られました。
問題の素材は誰もが知っているもの。
しかし、その扱い方が目新しいもの。
そんな問題の典型が、今回ご紹介する、平成25年度 灘中1日目-8 です。
時間をかければ新5年生でも正解が可能な問題です。
新6年生は、少し手早く処理したいところでしょうか。
2013年度 灘中 1日目
8 たくさんのマス目に、ある規則に従って1から400までの整数を書き入れていきます。1回目は図1のように書き入れました。それを消して、2回目は図2のように書き入れました。整数が2回とも書き入れられたマス目は、全部で□個あります。
前回の7とは異なり、どこの中学でも出題されたことのある「数表」に関する問題です。
しかし、「2回とも書き入れられた」という扱い方は目新しいと思います。
「2回とも書き入れられた → 重なっている」までは、すぐに理解できると思いますが、
そこでお子さんたちは思うんでしょうか…?
「え~~~、400まで書き出すの!!」
ここで放棄するか、「なんだ、簡単じゃん!」と思うかの違いが生まれます。
それは「問題を解くときの知識と方針を持っている」かどうかです。
文中に方針を決める「ヒント」が2つありました。
これを見落とさないお子さんは、「なんだ、簡単じゃん!」組です。
ひとつ目は「規則」、ふたつ目は「400」です。
「400まで書き出すはずがない! きっと規則があるはずだ!」
これが、問題を解く方針の第一歩です。
そして、「規則を発見するには、小さい値で調べる」が方針の二歩目です。
これで方針が決まりました!!
さらに、知識として
「正方形タイプの数表は平方数に着目」、
「三角形タイプの数表は三角数に着目」を使えば、
もう手を動かすことができますね。
このように調べてみると、
とりあえず正方形タイプのうち、→の重ならない個数を引けばよさそうかも…
というところにたどり着きます。
ここまでくれば、あとは作業をするだけです。
これが、「どんな知識を使えばよいかわかりますか?」という問題の正体なんです。
問題文中のヒントから、
受験生として学んだ知識と解法の方針を
組み合わせる力を尋ねられているのです。
では「作業」を完了させておきましょう。
400=20×20 ですから、
1辺に20個のマス目がある正方形があればOKです。
また、1+2+3+…+25+26+27=378 ですから、
400=(1+2+…+26+27)+22です。
すると、下の図のようになります。
ア(=379)からイ(=379+7=386)は8マスなので、
→には387~398の12個(20マス-8マス=12マス です)の整数が
太枠の正方形の中に書かれ、
399と400は正方形からはみ出します。
※もちろん、「22-20=2 なので2個はみ出す。」に気づくことができれば、
その方がグッドですね。
以上から、太枠の正方形から、11+10+…+2+1=66 をひけばよいので、
400-66=334(個)が答えです。
1+2+3+…という等差数列の計算力
400=20×20という平方数の知識
マス目のの数え方
図をまっすぐに書く「手(を制御する)力」(私は「てぢから」と読んでいます。)
のように、ひとつひとつの知識は平易です。
規則を調べるときは、
「(N=)1のとき…、2のとき…、3のとき…」のように
小さい方から順に調べるという調べ方も、単純です。
しかし、これらを「組み合わせる」ことは、
そのような意図を持って訓練しないと身にはなかなかつきません。
知識が少ないお子さんはまず知識からですが、
すでに一定の学習を積まれたお子さんは次のステップとして、
このような意図を持った解法の学習をするとよいと思います。