2013年 中学入試 ~平成26年度に向けて ③~
武蔵中(東京都練馬区 西武池袋線江古田より7分、都営大江戸線新江古田より7分)
これまで2回に渡って平成25年度の関東地方の中学入試から、
開成中、桜蔭中の入試問題をみてきました。
今回は、再び灘中の入試問題を振り返りながら、
2014年入試に向けた学習の取り組み方を考えたいと思います。
2013年度 灘中 1日目
5 2×2=4から始めて、2つの数の間のかけ算で新しい数を作ることをくり返します。その際、2および一度作られた数は、以降の計算に何度でも使えるという決まりにします。
例えば、2×2=4、4×2=8、8×2=16とすると、3回のかけ算で16が得られますが、2×2=4、4×4=16とすると、2回のかけ算でも16が得られます。
このような決まりに従って、かけ算を最低 ① 回すれば512(2を9個かけた数)が得られ、かけ算を最低 ② 回すれば32768(2を15個かけた数)が得られます。
入試当日、受験生の多くは書き出して調べたことと思います。
もちろん、解答だけが採点対象の灘中1日目の算数では、
正解することが最優先ですから、書き出しで十分です。
このとき、2×2×2を23のように表して考えると書きやすいですね。
①の512=29は、はじめ21→1回で22→2回で24→3回で28ですから
少なくとも4回目の「2×28=29」という計算で作ることが可能です。
しかし、3回では
「21、22、23、26」
「21、22、23、25」
「21、22、23、24」
「21、22、24、28」
「21、22、24、26」
「21、22、24、25」
という「新しい数」の組み合わせしかありませんので、
3回の計算では作れません。
ですから、答えは4回です。
②の32768=215は、はじめ21→1回で22→2回で24→3回で28→4回で216ですから
少なくとも4回の計算で作ることが可能なようにみえます。
しかし、3回では
「21、22、23、26」
「21、22、23、25」
「21、22、23、24」
「21、22、24、28」
「21、22、24、26」
「21、22、24、25」
のいずれかの組み合わせでしたらか、
4回の計算では作れる「新しい数」の組は次の通りです。
「21、22、23、26」→「21、22、23、24、25、26、27、28、29、212」
「21、22、23、25」→「21、22、23、24、25、26、27、28、210」
「21、22、23、24」→「21、22、23、24、25、26、27、28」
「21、22、24、28」→「21、22、23、24、25、26、28、29、210、212、216」
「21、22、24、26」→「21、22、23、24、25、26、28、27、210、212」
「21、22、24、25」→「21、22、23、24、25、26、28、27、29、210」
※2ケタ以上の指数はこのブログページではうまく表記できません(涙)
このように、4回の計算では215をつくることができません。
4回の計算で最大216=65536が作れるので、
それより小さい32768ができそうだと決めつけてしまうと不正解になってしまいます。
このあたりの慎重さは、これからのいろいろな模擬テストで身につけていけるといいですね。
②の答えは5回目の「210×25=215」という計算(一例です)で
作ることが可能ですから、答えは5回です。
6 A町とB町を結ぶ一本道の途中に、230mの間隔で交差点が4か所あります。どの交差点にも信号機があり、青が28秒間、黄と赤が合わせて32秒間点灯することをくり返します。A町からB町に向かって毎秒11.5mの一定の速さで進む車は、最初の信号を青から黄になる瞬間に通過すると、残りの3つの信号も青から黄になる瞬間に通過します。B町からA町に向かって一定に速さで進む車が、一度も止まらずにどの信号も青で通過するには、車の速さは最も速くて毎秒□mです。ただし、赤から青に変わる瞬間と、青から黄になる瞬間は、青が点灯している時間に含めます。
このような問題も
灘中などの最難関中を受験するお子さんならば、
一度は解いたことがあると思います。
一般に「信号機通過+速さの範囲」問題は、「ダイヤグラム」を活用します。
幸い灘中の場合は「定規(直定規)」の持ち込みが認められていますから、
限られた時間内に正確なグラフを書くことが成否を左右するだけです。
今年の受験生もふつう、信号機通過の問題は
「解答用紙にマス目が印刷されている問題」で練習をしていることが多いため、
解き方はわかっていても正確なグラフを書くのに時間がかかってしまったか、
あるいは時間がかかりそうなのでこの問題をパスしたかも知れませんね。
普段の演習から、解き方はノートに書いて練習をしておくと
「いつもと違う問題」「新傾向の問題」にも
対応が可能なお子さんになれるでしょう。
230m÷11.5m/秒=20秒…交差点から交差点までの移動時間
「A町からB町に向かって毎秒11.5mの一定の速さで進む車は、
最初の信号を青から黄になる瞬間に通過すると、
残りの3つの信号も青から黄になる瞬間に通過」したのですから、
それぞれの信号機が黄色になる瞬間の時刻がわかります。
次に「B町からA町に向かって~一度も止まらず~車の速さは最も速く」とありますから、
傾きが最も急になるように直線を書き込みます。
コツは
「(B町には信号機がないのですから)B町のとなりの信号機から書き始める」
ことです。
上のグラフのように、書き込んでみるとアとイの2通りが考えられそうです。
しかし、よくみると「ア」は230mの区間を「12秒→8秒→12秒」をかけて進んでいますから
実は直線になっていないことがわかります。
たとえ定規を使っても印刷されたグラフ用紙を使っているわけではありません。
手書きであることには変わりがないんです。
ですから、上記のように計算をしながら確認することがミス防止に有効です。
「イ」は112-20=92秒間で、230m×3=690m進みましたから、
車の速さは 690m÷92秒=7.5m/秒です。
定規を使ってノートにグラフを書く練習の機会は少ないのですが、
少ないからこそ正確に書く練習が大切ですね。
また、
「数値はメモリにそって書き込まなければならない」といった固定観念にとらわれず、
上のグラフのように「正確な作図と計算がしやすい」書き方を
自分なりに見つけていくことも大切な練習だと思います。
中学入試の勉強では、
グラフを書くこと事態が採点対象である場合を除いて、
今回のような工夫をすることにも積極的に取り組めるといですね。
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