立体切断の3原則 来年受験生になる5年生のお子さんへ
菊!
お元気ですか?
キクです。
キクには菊花展に出品される大輪のものから、路傍に咲く小さなものなど多くの種類があります。
写真のキクは「スプレー菊」といわれる小輪の花を多くつけるタイプで、
「フィロリポップ」や「ナボナ」の商品名で種苗店から販売されている菊だと思います。
山中や 菊はたおらぬ 湯の匂ひ 芭蕉
温泉を愛した芭蕉が
「菊を手折るにも及ばぬ、かぐわしい湯の匂」という言葉で
山中温泉の泉質を賞賛した句です。
菊の花はこのたとえのように「菊は延命の花」ともいわれています。
さて、「延ばす」といえば、「延長」。
そこで今回のテーマは、「立体切断の3原則 来年受験生になる5年生のお子さんへ」です。
立体切断の問題は難関中入試問題の定番ですね。
さらに「切断」の考え方は、
「立体図形の作る影の問題」、「水を入れた容器を傾ける問題」にも共通しています。
いずれも模試や入試での得点を伸ばすことができるかどうかを分ける重要な問題です。
この重要な切断の問題が解けるようになるためには、
以前にご紹介した「切断の三原則」をマスターすることが必要です!
原則その1…「2つ点が同じ面にあれば、結ぶことができる」
原則その2…「平行に向かい合う面の切り口(切断線)は平行になる」
原則その3…「以上の2原則を使ってもうまくいかないときは、延長する」
今回は、このうちの3番目の原則、「延長する」を中心にみていきましょう。
【問題】
1辺の長さが12cmの立方体ABCD-EFGHがあります。この立方体を辺AB、BF、DAの真ん中の見せ点P,Q,Rを通る平面で切断したとき、点Eをふくむ立体の体積を求めなさい。
切断の原則その1「2つ点が同じ面にあれば、結ぶことができる」を利用すると、
点Pと点Q、点Pと点Rを結ぶことができます。
しかし、その先がうまくかけないお子さんもいると思います。
立方体の切断面のパターン、
二等辺三角形、正三角形、台形、平行四辺形、ひし形、正方形、五角形、正六角形 を
知っているお子さんは、この時点で作図できる場合もあると思います。
切断のパターンを覚えることは大切ですが、
今回は「延長」がテーマの中心ですので、この部分は触れないことにします。
となると、「切断の原則その2」なのですが…。
そうですね、切り口PRと向かい合う面は面EFGHなのですが、
この面にはまだ切断面の通過する点が示されていないので
「切り口を平行にかく」ことができません。
切り口PQについても同様です。
切断の原則その1、その2とも使えなくなりましたので、切断の原則その3「延長」の出番です。
延長するときは、延長したいところに「もう一つ立方体をくっつける」と作図しやすいですよ。
この図を見れば、「PRをPの方に延長」しやすいですね!
ここで大切なことは、
点Sができたことで、切断の原則その1「2つ点が同じ面にあれば、結ぶことができる」を
再び利用できる状態になったことに気づかせることです。
「新しい点を作ったら、もう一度三原則のその1に戻る」ということを教えてあげてください。
さあ、次はどうなるのでしょうか?
実は先ほど断念した
「切り口PRと向かい合う面、面EFGHに平行な切り口をかく」が可能な状態になっているのです。
それは面EFGHに点Tがあるからです。
切断の原則その2を使うときは、
「使いたい面が重なる方向」から投影するのがポイントです。
この場合は面ABCDと面EFGHなので、真上または真下からの投影図をかきます。
この図でPRと平行にTから直線を引くと次の図のようになります。
これを見取り図にもどします。
PQと向かい合う面CGHDでも、今と同じように投影すると点Vも作図できますので、
点Vと点Rを結べば図は完成です。
あとは図をよ~く見ると簡単ですよ。
赤い図形(正六角形PQTUVR)で切断された立体は、どちらも同じ図形です。
つまり、体積は元の立方体の半分です。
ですから、12×12×12÷2=864cm3がこの問題の答です。
立方体を正六角形で2等分するこの問題は、答となる正六角形に気づきやすいので、
次にどの切り口を書けばよいかが想像しやすいですね。
このことを利用すると、切断の3原則の練習に最適な問題とすることができます。
切断の問題が解けるようになるためには、
1.切断面のパターンを覚える
2.切断の3原則を練習し、使えるようになる
3.豆腐などを実際に切ってみる
4.「博士のIQ パズル」(株式会社モリセイ)や「立方体の切断の攻略」(学研教育出版)などを利用する
5.正確な指導を受けながら問題演習をする
6.自分の力で問題を解く
といった過程を経ることになります。
このように立体の切断問題をマスターするためには時間と演習量が必要です。
家庭学習の時間に余裕がある現4年生、現5年生のお子さんと一緒になってする
「冬休みにチャレンジ学習」のひとつに、この立体の切断を加えてみませんか。