串刺し ~立体図形 その3 後半~
秋桜!
コスモスです。
刈り取り間近の黄金色した稲をバックにレモン色の秋花が風にそよいでいます。
「あきざくら」という和名のとおり、秋の風物詩のひとつですね。
コスモスといえばピンク色のものを連想しがちですが、
白色の花、赤色の花のほかに、この写真のような黄色いコスモスもあるんです。
このほかにコスモスの仲間には
キバナコスモスという、やや背が低く山吹色の花を咲かせるものや、
チョコレートコスモスというちょっと食べたくなるような名前のものもあります。
「一面がコスモスの花」という畑もありますが、
町や村の景観や観光協力という点以外に、
このコスモスを緑肥として鋤きこみ、
繊維質を畑に戻すことで肥料持ちの良い豊かな土に改良することも目的で植えられているんです。
花が咲き終わったコスモスを畑の土の中に「すきこむ」≒「つっこんでいく」ということで…。
今回のテーマは「串刺し ~立体図形 その3 後半~」です。
前回は下の図のような「串刺し問題」は、真上からの図を見ると解きやすいところまでご紹介しました。
真上から見た図からは次のようなことがわかります。
・たてに2列に立方体がならんでいるので、立方体が接する面は1つの長方形である。
・横に3列に立方体がならんでいるので、立方体が接する面は2つの長方形である。
・だからこの3つの面を赤色の直線が通過するので、通過する立方体の個数は1つ多い4個だ。
つまり、
通過する立方体の個数=(たてにならんでいる個数-1)+(横にならんでいる個数-1)+1
とわかります。
しかし、ここでカンのいいお子さんは「?!」となったかも知れませんね。
「もしかしたら格子点(青色の線と赤色の線の交点)を通るときもあるんじゃないの?」
そこで、
「図はある1辺の長さが1cmの立方体を積み上げた、たて2cm、横4cm、高さ1cmの直方体です。点Aと点Bを結ぶ直線が通過する立方体の個数を求めなさい。」という問題を見てみましょう。
もし先ほどの個数を求める式の通りであれば、
(4-1)+(2-1)+1=5個 のはずですが…。
さきほどと同じように真上から見た図を書いてみると、通過する立方体は4個です。
これは、赤色の線をたて方向に2等分する(=1/2)点と横方向に4等分する(=2/4)点が
重なっているのです。
(4-1)+(2-1)=4…青色の線と紫色の線の合計
しかし、格子点(②の点)で青色の線と紫色の線に同時に交わりますから、
交点は(4-1)+(2-1)-1=3個です。
ですから、通過する立方体の個数は(4-1)+(2-1)-1+1=4個となります。
ということは、
青色の線の本数+紫色の線の本数-格子点の個数+1=通過する立方体の個数
となりますから、
格子点の個数の求め方がわかれば計算で答えを出すことができますね。
格子点は図のように、「等しい分数」になるところです。
上の図では「4等分」と「2等分」が重なるところですから、
分母が「2と4の最大公約数」になるところという意味です。
確かめてみましょう。
「図はある1辺の長さが1cmの立方体を積み上げた、たて4cm、横6cm、高さ1cmの直方体です。点Aと点Bを結ぶ直線が通過する立方体の個数を求めなさい。」
交点の個数は、(6-1)+(4-1)-1 ですから、
通過する立方体の個数は、(6-1)+(4-1)-1+1=8個 です。
格子点の個数は、大きさが等しくなる分数ですから、
分母が2ならば1/2の1個、
もし分母が3ならば1/3と2/3の2個のように、
「格子点の個数=分母(たてと横の等分した数の最大公約数)-1」とわかります。
ですから、たて○cm、横△cmの場合、通過する立方体の個数は
(○-1)+(△-1)-(○と△の最大公約数-1)+1=○+△-○と△の最大公約数
となります。
このイメージはベン図で表すとわかりやすいかもしれません。
「格子点」は「重なり」といった風に考えるんですね。
すると、
の場合は、次のようなベン図になりそうです。
ですから、
通過する立方体の個数
=(たて+横+高さ)-(たて・横のGCM+横・高さのGCM+高さ・たてのGCM)+(たて・横・高さのGCM)
のように、ベン図の「結び」を求める考え方と同じになるわけです。
※「G.C.M.」は最大公約数のこと。
というわけでブログ2回にわたる長い問題でしたが、以上のことから答えは
(8+12+6)-(4+6+2)+2=16(個)と求められます。
じゃあ、最初から
「通過する立方体の個数
=(たて+横+高さ)-(たて・横のGCM+横・高さのGCM+高さ・たてのGCM)+(たて・横・高さのGCM)」を覚えておけばという考え方もあると思いますが、
中学入試を作問される先生方は「丸覚えが通用しない」用に考えておられます。
今回の問題と次の問題はよく似ています。
【おまけ問題】
図はある1辺の長さが1cmの立方体を積み上げた、たて4cm、横6cm、高さ3cmの直方体です。点Aと点Bを結ぶ直線が立方体の辺と交わる個数を求めなさい。ただし、立方体の頂点で交わる場合をのぞきます。
答えが「通過する立方体の個数」から「立方体の辺と交わる個数」に代わっていますね。
このわずかな違いを読み間違えると、「正解できた!」と思った問題で不正解となってしますのです。
問題を多く練習して類題が解けるようになることや解法を覚えることは重要です。
同時にその考え方がなぜ使えるのかを考えること、
問題文を一言一句正確に読み取ることの2点も、
問題演習のときに取り組めると最高だと思います。
「おまけ問題の答え」
問題図を真上と正面から投影図で表します。
この問題図がジャングルジムのように鉄棒でできていると考えて見ましょう。
すると正面から見たときの「格子点(P,Q)」は、
真上から見たときの青色で着色した鉄棒(直線)の断面(円)だということになります。
つまり、PやQで赤色の直線が交わっているのですから、
それは真上から見たときの「交点ア、イ」で赤色の線が立方体の辺(青色の直線)と交わっている
ということです。
ですから、この問題の答えは「格子点の数を求める問題」だとわかります。
たて方向の辺との交点の数=正面から見た格子点=3と6の最大公約数-1=2個
横方向の辺との交点の数=真横から見た格子点=3と4の最大公約数-1=0個
高さ方向の辺との交点の数=真上から見た格子点=6と4の最大公約数-1=1個
2+0+1=3個
投影図も最大公約数も使いますが、その見方や使い道がまったく逆といってもよい問題ですね。
問題の条件を正確に読み取るということはこのような違いを読み取ることだと考えています。